上級クラス
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貴族院は各学年、3クラスある。下級、中級、上級だ。希に魔力が少なすぎる人がいる。そう云う人達の為に、特別下級がある。特別下級は学年の別は無く、1クラスとなる。アルベティウス様が、セレスティナ母様に真の魔力を測定してもらった際、特別上級クラスを作ろうと云う話が上ったらしい。しかし、数年に一度しか現れない魔力持ちなので、先生が個別に見る方向となり、特別上級クラスは作られなかった。
下級、中級クラスが教室に移動するのに、上級クラスは何故か待たされていた。
「如何して時間が掛かっているのかしら?」
「如何してでしょうねえ?あ、あそこに先生方が集まって話をされていますよ」
リーネが指す方を見ると、院長を始めとする先生方が、難しい顔で話をしている。
「リーネ、聞いてきてくださる?」
「承知しました」
リーネが先生方の方へ飛んで行こうとした時、ルルーシェ先生が、こちらへやって来た。
「お待たせしました。上級クラスの生徒たちは私に付いて来てください」
ルルーシェ先生に後に続いて、ホールの塔を出る。そして、同じ高さの塔が3本ずつ並んでいる場所に出た。一番背の高い塔が並んでる内の、右端の塔に入る。
中に入ると、フリアの手習いの神殿と同じ様な造りになっていて、先生が促す教室に入った。手習いの教室とと同じ様にすり鉢状に席が並んでいる。
「お好きな席へ座りなさい」
私は一番高い場所にリーネと座った。前の方に行こうとしたら、リーネに「システィーナ様は一番高い場所に座らねばなりません!」と強制的に座らされた。
「皆さん、ご入学おめでとうございます。上級クラス担任、学年主任のエストラーダ・アトワーフ・ルルーシェと申します。貴族院で教師は王侯貴族の序列外におります。心にお止めくださいませ。」
…ふむ。先生は序列関係なく自分より上位でも従えって事ね。ただ気になったの『教師は』って所ね。生徒間では序列あるのね。
その後、貴族院の各施設の場所や今後の日程、等の話があった。一人ずつ自己紹介…みたいなのはなかった。
今日はこれでお開きだ。明日から通常の授業が始まる。ルルーシェ先生が教室を出て行くと、生徒達も帰っていく。私はリーネにテスとレッドが来るまでここで待つように言われた。
リーネと他愛も無い話をしていると、視線を感じて振り向いた。女の子が三人此方へ飛んでくる。
…何となく嫌な雰囲気がするなぁ。人から紹介された時等例外は有るが、基本的に下位の身分から声を掛けるのは無礼となる。敢えて放置したろかな。
「貴女、見ない顔ね」
―ええ〜。話し掛けられたよ。リーネも驚いて目を見開いている。
「私、まだご挨拶を頂いていないわ」
「貴女、新入生代表の挨拶をなさっていたけれど、どんな手を使ったのかしら?このエスメラルダ様がご挨拶なさる筈ですのに」
…見事に、女王様と取り巻きって感じだな。本とかであるある悪役令嬢ってヤツ。新入生代表挨拶で、名乗ったのに、聞いてなかったな。よし、人の話を聞かない失礼なヤツはとことん無視だ。
「リーネ、テスはまだかしら?」
私が三人をフル無視でリーネに話し掛けてたので、リーネもびっくりしておる。
「なっ!何て人なの?私が話し掛けてあげているのに、無視するなんてっ!」
「エスメラルダ様に失礼ですわっ」
「ご自分の立場を分かっていらして?」
雑魚が吠えている。
私が無視を続けていると、テスがレッドとやって来た。レイモンドも何故か一緒だ。
「「レイモンド様っ!」」
悪役令嬢たちの声が黄色くなった。
…レイモンドってモテるんだね。
私達の状況を一目見て理解したテスが、バッテンポーズで待機する。
「テス、レッド、ご苦労様。レイモンド様もご機嫌よう。何故此方へ?」
相変わらず三人を無視しながら言った。
「不敬ですわっ!」
「レイモンド様に声を掛けるなんて!」
「信じられないっ」
ハエがうるさい。
レイモンド様も察した様で、バッテンポーズになり、さっきとは違って改まって話し出す。
「システィーナ様、恐れ入ります。私のお部屋にご招待をと馳せ参じました。ご予定無ければお茶など如何でしょうか?先程のお話の続きでも」
レイモンドはあくまで信徒の礼を崩さない。
「…何故特別高位王族のレイモンド様が信徒の礼を?」
「ま、まさか…」
「う、うそでしょ?」
レイモンドの態度を見て、私の身分を察した様だ。
「羽虫が静かになった様ですね。レイモンド様、宜しければ、私のお部屋にお招き致しますわ」
「光栄です。特別高位王族塔の最上階の景色を見てみたかったのです」
清々しい笑顔でレイモンドが悪役令嬢達にとどめを刺す。悪役令嬢達は、顔色を失くして黙り込む。
爽やかイケメンだが、中々黒いなこの男。嫌いじゃない。思わずニヤっと笑う。レイモンドも笑う。
どっちが悪役か分からなくなったな。
「さぁ、参りましょうか」
さっさと謝罪すれば、傷口も小さくて済むのに、黙り込んだままだ。私はサッと飛び上がる。扉に向かって5人で飛ぶ。
「あ、あの」
声を掛けられ、振り返ると、悪役令嬢ではない女子生徒に声を掛けられた。
「何かしら?」
「お声掛けのご無礼を致しまして、申し訳ございません。テンペランス・ベルエルと申します」
ベルエルは聞かない家名だな。
「今、システィーナ様が此方を落とされまして」
テンペランスが、近寄って私に渡す。
…あ!これは…
セレスティナ母様がくれた、平民時代の納の石が入ったペンダントだ。掛け金が壊れている。
「有り難う存じます。とても大切な物でしたの。そうですわ。貴女もご一緒にいらして。私の部屋でお茶を致しましょう」
―こんな大事なものを拾ってくれたのだ、お礼をしなくくては。
「えっ?私の様な者が特別高位王族塔に入るなど…」
…めっちゃ恐縮してるな。ぎゃくに迷惑だったかな?
「先程のお礼をさせてくださらない?」
「貴女!不敬よ!」
―何なんだ?行き成り。
さっきの悪役令嬢達が、テンペランスに詰め寄る。
「このお方が何方かお分かりになっているの?」
「たかが、貴族がお声を掛けて良い方では無いのよ」
「身の程をお知りになった方が宜しくてよ」
―衝撃のおまゆう。
悪役令嬢達に詰め寄られて、テンペランスは青くなっている。
「テンペランス様、お気になさらないで。私、序列には拘りませんの。最低限の礼儀さえ弁えて頂けるなら」
チラッと悪役令嬢を見て、テンペランスに微笑みかける。
「ラン、大丈夫だ。お言葉に甘えなさい」
「ウルフレッド様」
どうやら、テンペランスとウルフレッドは既知の様だ。
「レッド、テンペランス様とお知り合いなの?」
「はい、ランはフリアの家令の娘にございます」
「まぁ、そうでしたの。フリア邸には何度かお邪魔しているのよ。お父様と会っているかもしれないわ」
―もしかして、寝心地の良い箱用意してくれた執事さんかな?
「では、お言葉に甘えさせていただきます」
テンペランスが、おずおずと近寄ってくる。
テスやリーネ、レッドがテンペランスの緊張を解すように、話し掛けている。
悪役令嬢達を放置して、私室に向かった。
―あんな、ザ・悪役令嬢って居るんだね。余りにベタ過ぎて、寧ろ面白かった。
そっと振り返ると、呆然とする悪役令嬢達が見えた。
ルルーシェ先生は御遣い様なので王族です。名前訂正しました。
※体調不良により、毎日更新が難しくなりました。更新不定期とさせていただきます。申し訳ございません。




