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うちのスライムが弱いはずが・・・・・・くっ!  作者: たてみん


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36/59

邪な気持ちは無かったんです。信じてください

今更ですけど、後書き掲示板は本作が初めての試みなんですけど、受け入れて貰えてるんでしょうか。

 王城から外に出ると、そこには見知った人が立っていた。


「リャンさんに、ミーシャも。どうしてここに?」

「シュージ君が王城に呼ばれたと聞いてね。

 早速色々面白いことをしているそうじゃないか」

「俺としてはもっと平穏無事が良いんですけどね」


 楽しそうに俺を見るリャンさんにため息交じりに答える。


「私はおじ様の付き添いよ」


 そう言ってフンっと鼻を鳴らすミーシャ。

 それを見たリャンさんが目を細めながら俺に耳打ちしてきた。


「(ああ言ってるけど、君の事が心配で待っていたみたいだよ)」

「(そうなんですね)」

「(この子は見た目通りのツンデレだからね)」

「ちょっと、二人でなにコソコソ話してるのよ」


 ミーシャが睨んでるので慌てて離れつつ話を逸らすことにした。

 ここで会えたのは丁度良かったしな。


「そうそう。ミーシャにお願いしたいことがあったんだ」

「私に?何かしら」

「『スライムガード』っていう技があるんだけど、俺以外の人の体感を知りたいんだ。

 ミーシャに使わせて見てもらえないだろうか。

 リャンさんも良かったら手伝ってください」

「また妙なスキルを手に入れたのね。名前からして防御系のスキルよね。なら別に良いわよ」

「私も構わないよ」

「ありがとうございます」


 実際にそんなスキルが増えた訳じゃない。

 こういえば断られにくいかなと思ったんだけど無事に受け入れてもらえて良かった。


「ではふたりとも足を肩幅に開いて、両手を横に広げて大の字になってもらって、ミーシャは翼も広げて欲しい」

「えっと、こうかしら」

「そうそう。じゃあそこから少しの間、動かないで。

スライム達、ごにょごにょごにょ」

「すらっ……すらっ!」


召喚したスライム達がミーシャとリャンさんにぽよぽよとくっ付いていく。

最初は足元から次第に上に上がって頭を除く全身をすっぽり包み込んでいった。


「さて、着け心地はどうかな?」

「そうね。ふわふわの羽毛布団に包まれた感じかしら。

 重くも無いし特に不快な感じも無いわ。

 ゆっくり動く分には特に支障はないけど本気で動くとマズいかしら」

「あ、そうかも。上位冒険者の動きには耐えられないかもしれない」


 というか、ミーシャも冒険者ランクで言えばAに達してそうだしな。

 俺のスライムじゃ強く撫でられただけで倒されてしまいそうだ。


「リャンさんはどうですか?」

「私も着け心地は問題ないね。でもこれで防御力があるとは思えないよ」

「まぁ実際これで攻撃を受けられるのは貫通性能の低い攻撃1発が限界でしょうね。

 よし、ありがとうございます。貴重なデータが取れました」

「これだけで良かったの?」

「はい。大助かりです」


 お礼を言って二人からスライムを離していく。

 自由になった二人は着衣の様子を確認して問題ない事を確かめていた。

 うん、大丈夫そうだな。


「えっと、俺はこれから魔王様からの依頼をこなしに行くんですけど、二人はどうしますか?」

「あら、スライムタワーに行くんじゃないのね」

「まぁ、そっちに行きたい気持ちは変わってないけど、別に急がないからね」


 俺の答えに一瞬考えるそぶりをしたミーシャは小さく頷いた。


「そう。なら私は当分王都に居るわ。

 どんな依頼を受けたのか知らないけどさっさと終わらせて戻ってきなさい」

「あれ?もしかしてスライムタワーに一緒に行ってくれるつもりだったとか?」

「そ、そんな訳ないでしょ!?自意識過剰にも程があるんじゃないかしら」

「それは残念だな。ミーシャが一緒なら楽しい旅になりそうだけど」

「ま、まぁ。もし今から行く依頼が終わった時にまだ私が暇してたら一緒に行ってあげないでもないけどね」

「じゃあその時は改めて頼むよ」

「忘れずにね。って折角なら今から行く依頼も一緒に行ってあげましょうか?」

「いや、そっちは遠慮してほしい。多分俺一人の方が都合が良いから」

「そう」


 実際問題、行き先が死の大地である以上、死に戻り前提だ。

 そんなところに現地の人達と一緒に行くわけには行かないだろう。

 そう思っていたらリャンさんが難しい顔をしているのに気が付いた。


「リャンさん?」

「ん?あぁ。すまない、少し考え事をね。

シュージ君。私は行商をしている関係で魔界の中なら道には詳しい。

良かったら商売も兼ねて途中まで道案内をしてあげよう」

「あ、それは有難いですね。俺は土地勘は無いですから」

「ちょっと!」


 リャンさんの提案に頷くと何故かミーシャから抗議の声が飛んできた。


「私の誘いは断っておいておじ様のは受けるってどういう事よ」

「え、いや。リャンさんだって現地まで付いてくる訳じゃなくて途中までだし。

 それにミーシャが付いて来てくれても、ミーシャにメリットはないだろうしなぁ」

「っ!! 良いわよもう。勝手に二人でどこへでも行ってくれば良いわ!」


 何故かミーシャは怒って立ち去ってしまった。

 俺何か悪い事言ったかな。

 首をかしげているとリャンさんからため息が聞こえてきた。


「はぁ。シュージ君はもう少し女性の機微を理解出来るようにならないといけないね」

「後で謝っておいた方が良いでしょうか?」

「いやいや。そっとしておいてあげよう」

「分かりました。百戦錬磨のリャンさんが言うならそうなんでしょう」

「はっはっは。私の場合百戦ではないけどね。修羅場は色々潜ってきたよ。うん、色々とね」


 そう言って笑うリャンさんにはどこか哀愁が漂っていた。

 うーん、過去に何があったのか怖くて聞けないな、これは。


「それより行こうか」

「はい、よろしくお願いします」


 そうしてリャンさんと一緒に王都を歩いていると色んな人達から声が掛けられる。

 声を掛けてくる人の職種はバラバラだ。

 飲食店もあれば職人ぽい人、商人ぽい人、夜のお店のお姉さんなどなど。


「リャン様~。次はいつ来てくれるの~」

「隣のお兄さんも好みだわぁ~」

「ほんとだ~。ねぇねぇ今夜一晩どう?あなたなら安くするよ~」

「後ろのスライムはペット?かわいい。ちょっと触らせて~」


 一緒にいるお陰でお姉さま方から俺もたくさん声を掛けられる。

 これはミーシャが居たら危なかったかもな。


「リャンさんモテモテですね」

「はっはっは。シュージ君もね」

「というか、街の外に出るのに随分遠回りしてません?」

「分かるかい? シュージ君も折角王都に来たのに観光もせずに出ていったら勿体ないと思ってね。

 ちょっとばかり寄り道してみたのさ。

 どうだい、王都は?」

「そうですね。すごく活気があるように見えますね」

「うん。それもこれも先代と今代の魔王が頑張った成果さ。

 私が子供の頃はまだ争いに次ぐ争いで、王都でさえ殺気立っていたね」

「先代っていうとリャンさん達のお父さんですか?」

「いや祖父さ。父は将軍として魔物たちとの争いを鎮めるために活躍していたよ」

「……そうでしたか」


 活躍していたって過去形なのは、つまりそう言う事なんだろう。


「今は東の海で出会ったセイレーンと結婚して向こうで楽しくバカンスしているそうだ」

「って元気なんですね!!」


 心配して損した。

 リャンさんの自由人ぷりは父親譲りか。

 ちなみにこの世界では一夫多妻は当たり前だから、国の外で奥さん増やしても問題ないらしい。

 お、あれは外壁か。どうやらようやく王都の端に着いたらしい。

 門の前にはいつの間にかモモが待っていた。

 俺達をみて嬉しそうに駆け寄ってくる。


「おーい、モモ~、元気にしてたか?」

「モモモ~~!!」

「どわっ、飛びつくな、潰れる~」

「モモ?」


 多少俺のレベルも上がってるとはいえ、モモに全力で飛び込まれたら支え切れる訳がない。

 見事俺はもこもこの毛皮に押しつぶされてしまった。

 ちゃっかり俺から離れていたリャンさんが僕らを見て楽しそうに笑っている。


「はっはっは。モモは君が大好きだからね」

「うぅ、笑ってないで助けてください~」

「いやいや、そうなったモモはただでは動かないよ」

「ぐっ。ならモモ。退かないと干し柿あげないぞ!」

「モッ!?」


 ズバッとバックジャンプを決めたモモはそのまま忠犬よろしくお座りをしていた。

 まったく調子良いんだから。


「1個だけな。後は何かした時のご褒美だ」

「モフぅ~」


 俺から干し柿を器用に両手で受け取ったモモはペロペロと舐めては幸せそうな顔をしていた。

 その姿を見てると自分でも食べたくなってくるな。


「すら~」

「ん?なんだお前も食べたいのか?」

「すら!」

「仕方ないなぁ。お前達は数が多いからな。みんなで分けて食えよ」

「すらっ」


 3つほど差し出すと皆で回し飲みならぬ回し食いをしていた。

 こいつらも段々グルメになってきたなぁ。

 まぁ俺が作れるもので満足してくれる間は良いんだけど。

 皆が食べ終えて街から外に出た所で、俺はリャンさんに一つ頼みごとをすることにした。


「リャンさん。リャンさんの人脈に期待してお願いがあるんですけど」

「おや、なにかな?」

「ミーシャに服をプレゼントしたいなと思いまして」

「ほほぉ。シュージ君もやるね。デザインとかの案はあるかい?」

「そうですね。やっぱり女性ならドレスとか良いんじゃないでしょうか。

 とくにミーシャはドレスとか普段着なさそうですし」

「ふむふむ、ドレスか。なるほどそれは面白いことになりそうだね。

 しかし問題はあの子に贈っても着れない可能性が……」

「ええ、彼女の事情は以前聞きました。

 なのでリャンさんには、ミーシャさん用の特注の衣装と換装の魔道具を用意して頂きたいんです」

「換装の魔道具か。確かにそれがあれば形さえあってれば着れないことは無いね」

「本当なら俺が魔界を旅する中でそれぞれの職人の所に行くつもりだったんですけど、魔王様からの依頼を受けてしまったのでその時間をとれそうにないんです」

「魔物領、それも死の大地方面に行くならそんな時間は無いだろうね」


 そう言ってウィンクするリャンさん。

 途中まで・・・・案内してくれるって言った時点でそうじゃないかと思ってたけど。


「やっぱり俺の行き先分かりますか」

「他に彼が君に頼みそうな事に心当たりは無いからね。

 さて。君の頼みを聞くのは吝かではない。

 が、どちらもあの子の体形が正確に分からないと厳しいよ」

「はい。そう思ってさっきの『スライムガード』です。

 スライム、行けるか?」

「すらっ」


 俺の合図でスライムが1か所に集まって積み上がっていく。

 そうして出来たのは、中身の入っていない『スライムガード』。つまり鋳型だ。

 その中に粘土を流し込んで固めれば、無事にミーシャの全身トルソーの完成だ。

 両手を広げてこちらを迎える姿は聖母様の像と言われたら納得できそうだ。

 欠点を挙げるなら、服を着た状態で型を取ったので、実際のボディラインよりちょっとゴワゴワしている。

 そのあたりを繊細に削ってあげれば……。


「これは……マズいかもしれないですね」

「そう、だね。少なくともあの子が見たら真っ赤になって破壊されるだろうね」


 元々生地面積の少ない服装だったミーシャだ。

 その分を考慮して削るのは難しくは無い。

 結果として俺達の前にはミーシャをモデルとした裸婦像が出来上がってしまった。

 うん、やり過ぎた。これは今にも動きそうな生々しさがある。


「頭部が無くて良かったですね」

「いや、そういう問題じゃないからね。

 この出来なら貴族たちがこぞって大金を出して求めるレベルだよ」

「……売らないでくださいね」

「もちろんさ。これを売ったら私があの子に殺されるよ」


 神妙な顔つきで頷くリャンさんにミーシャ像を渡すと、リャンさんは急いでアイテムボックスの中にそれをしまった。

 そしてついでとばかりにリャンさんのも作ろうとすると待ったが掛かった。


「シュージ君。出来れば素材は私の持っている砂を使っても良いかね?」

「あ、はい。どうぞ」

「あと折角だからポーズも変えよう」


 そう言って型を取り直した後、リャンさんがアイテムボックスから取り出した青い砂を流し込むのを見届ける。

 リャンさんは肩まで流し込み終わったところで俺に振り返った。


「これ、頭部は作れないのかね?」

「型を取れば行けるかと思いますよ」

「なら頼むよ」


 頷いてスライム達にリャンさんの頭部を包むように指示を出す。

 そうして取れた型を胴体にセットして頭頂部から青い砂を流し込んでいく。

 その後リャンさんは魔法で水を生み出すと青い砂に染み込ませるように型に入れていった。

 3分待って型を外すと砂が綺麗に固まって青く透き通った石で出来たリャンさんの全身像が出来上がった。

 あ、もちろんこっちはばっちり服を着たバージョンだ。胸の紋章まできれいに再現されている。

 それを見たリャンさんはホクホク顔だ。


「うんうん。良い出来だね。

 依頼の代金代わりにこれを私の家に飾らせてもらっても良いかね?」

「はい、それはもちろん」

「それは良かった。あと後日これを見た友人たちがこぞって自分も欲しいと言い出すと思うけど、その時もお願いして良いかい?」

「え、あ、はい。分かりました」

「私の方で仲介するから君には極力迷惑を掛けないようにするよ。

 あ、1つ1000万Gにはなるだろうから楽しみにしててね」


 彫像1つに1000万か。

 やっぱり貴族っていうのはこういうのが大好きな人種なんだな。



後書き掲示板:

No.435 通りすがりの冒険者

夏だーー海だーーー


No.436 通りすがりの冒険者

リアルだとまだ春だけどな。ギリ桜咲いてるし。


No.437 通りすがりの冒険者

細かいことは良いんだよ

皆イベントの準備で忙しいみたいだけどエンジョイ勢の俺としては海を満喫したい


No.438 通りすがりの冒険者

【緊急】水着が存在しない件


No.439 通りすがりの冒険者

ガタッ


No.440 通りすがりの冒険者

ガタッ


No.441 通りすがりの冒険者

ガタッ


No.442 通りすがりの冒険者

ガタッ


No.443 通りすがりの冒険者

ガタガタッ


No.444 通りすがりの冒険者

いやおまいらどんだけよw


No.445 通りすがりの冒険者

海って言ったらなぁ


No.446 通りすがりの冒険者

もっと他にあるだろ


No.447 通りすがりの冒険者

例えば?


No.448 通りすがりの冒険者

不味い焼きそば、伸びたラーメン、溶けたかき氷……


No.449 通りすがりの冒険者

>>448

言いたいことは分かるけど、最後のただの色付き砂糖水

せめてアイスにしようぜ


No.450 通りすがりの冒険者

というか、無いなら作れば良いんだよ!!


No.451 通りすがりの冒険者

おま、天才か!!


No.452 通りすがりの冒険者

よっしゃ!

これは船なんて作ってる場合じゃない!!


No.453 通りすがりの冒険者

そうだ。

要塞なんて作る暇があったら海の家だ!!


No.454 通りすがりの冒険者

被服、洋裁部隊は全力で水着製作だ!!


No.455 通りすがりの冒険者

だがしかし、集まるのは男だけだった罠


No.456 通りすがりの冒険者

ノォォォォォ


No.457 通りすがりの冒険者

ブーメランパンツなどいらん!


No.458 通りすがりの冒険者

女性だって夏の海で遊びたいだろ!!


No.459 通りすがりの冒険者

……はぁぁぁ。

プライベートビーチとか無いかな

ゲームなんだから浜辺の一部をインスタントダンジョン化して欲しい


No.460 通りすがりの冒険者

>>459

今から要望出しておけば行けるかもね


No.461 通りすがりの冒険者

>>460

それだ!クランメンバーに声かけて嘆願してみる!!


No.462 通りすがりの冒険者

くっ。なんてこった。

結局はリア充しか満たされないというのか!?


No.463 通りすがりの冒険者

今からでも女性を勧誘すればワンチャンあるか?


No.464 通りすがりの冒険者

それが出来たら最初からしてる罠


No.465 通りすがりの冒険者

確かにw

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