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うちのスライムが弱いはずが・・・・・・くっ!  作者: たてみん


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夜営のひと時

 日が暮れ始めると俺たちは街道脇の草原で夜営の準備を始めた。

 携帯用のかまどとテーブルを出して食材を用意する。


「シュージくんは料理も得意なのかい?羨ましいね」

「一人暮らしが長いもので、それなりに食べられるものは作れるようになりました。

 この世界では半分趣味みたいなところもありますね。色んな食材が自由に使えますし。

 でもリャンさんが料理苦手なのは意外ですね。何でも出来そうなのに」

「はははっ。何でもは無理だよ。

 特に私は食に拘りが薄い。だからどうしても覚えようという気にならないね」

「なるほど。ちなみに好き嫌いとか食べられないものとかはありますか?」

「私は何でも大丈夫さ。モモは肉類も食べられるけど、一番は甘い果物だね。

 一仕事終えた後は季節の果物を上げてるよ」


 ふむふむ。

 甘い果物、か。ということは先日作ったこれも大丈夫かな?


「じゃあ、僕らはこのホッケっぽい魚の開きと山菜スープで。

 モモにはドライフルーツをあげよう」

「モモっ!!」


 アイテムボックスから取り出した柿っぽい果物のドライフルーツ、つまり干し柿を取り出すとモモが目の色を変えて駆け寄ってきた。


「ほらモモ。お座り」

「モンっ」


 俺の言葉にシュタッと音が立ちそうな勢いでお座りをするモモ。

 それを見たリャンさんが面白いものを見たと大笑いする。


「はっはっはっ。これじゃあ誰がモモのご主人か分からなくなるね」

「モフッモフッ」

「いやいや。口いっぱいに頬張って首を振られても」

「『彼は友達、ご主人はご主人』だそうですよ」

「そうか」


 俺の通訳を聞いて笑顔になりつつも何かを考えこむリャンさん。

 その視線が一瞬俺のスライムに向いた後、俺の方に向き直った。


「モモと最初に会った時からそうじゃないかと思っていたけど、シュージくんはモモの言葉が分かるのかい?」

「はい。魔物言語っていうスキルを身に付けたおかげで大体のところは分かりますよ」

「それはまた珍しい」

「そうなんですか? リャンさんだってモモと会話しているように見えましたけど」

「私の場合はモモとは長年つきあってるからね。

 雰囲気で喜怒哀楽が分かる程度さ。でもそうか……。

 シュージくん。君さえ良ければぜひ境界の向こう側を見てきてほしい。

 君ならより良い道を見つけてくれる気がする」

「はぁ」


 困った。まだ見ても居ないのに色々期待されてもな。

 これまでの話から多少は想像がつくけど、だからと言って1プレイヤーが、それも攻略組でもなんでもない俺に出来ることなんてたかが知れている。


「ま、それは明日実際に境界村に着いてからで良いだろう。

 それより今夜の警備はどうするか考えているかい?」

「あ、はい。それなら僕に、というよりスライムに任せてもらって大丈夫です。

 教会の警備でも実績がありますし、暗闇でも敵を見逃さないのは確認済みです」

「まったく、君のスライムは何でも出来てしまうんだね。

 ではここの事は頼むよ」


 そう言って立ち上がったリャンさんは少し離れたところにある森に視線を向けた。


「もしかしてこれから森に入るんですか?」

「ああ。ちょっと散歩にね。一日中馬車の上だと体がなまるからね。

 なに、心配はいらない。明日の朝には戻るよ」

「もしお邪魔じゃなければスライム連れていきますか?」

「いやいや。そこまでは大丈夫さ。ここいらの魔物に後れを取ることは万に一つもないからね」


 リャンさんはまるで近所の公園に行くような足取りで真っ暗な森へと向かっていった。

 あの感じだと付いてこなくていいと言うより、来てほしくないって感じだろうな。

 周囲を警戒していたスライムも後を追ったりせずに見送らせる。


 さて、時間が出来たし俺は俺でやれることをやるか。

 まずはこういう長時間クエの場合、途中でログアウトとかできるかどうかだけど……うん、問題なく出来るな。

 ただログアウト画面に、


『○時間以内に戻る様にしてください。そうしないとクエスト放棄と見做されます』


 と警告文が付いている。

 恐らくゲーム内で明日の朝になってもログインしなかったらリャンさん達は俺が戻ってくるのを待たずに出発してしまうってことなんだろう。

 リアルは今日明日は休みだから良いけど、今後こういうクエを受けるときは金曜の夜にした方が良さそうだ。


「スライム。俺は4時間くらい休んでるからその間、頼むな」

「すらっ!」


 びしっと敬礼して答えるスライムに見送られて俺はログアウトした。

 そして諸々済ませてログインすると、全身がもこもこに覆われていた。

 これは、モモか。

 ちゃんと顔を出しているところを見ると、俺が風邪をひかないようにしてくれたってところだろうな。

 ただ、これじゃあ身動きが取れないんだけど。


「モモ。出してくれ~」

「モフ?」


 寝ぼけ声が返ってきたけど無事に体にかかっていた重さは無くなったので、もぞもぞとモモの下から這い出した。

 辺りはまだ暗く夜明けまではまだ時間がある。

 焚火の方を見ればスライムの1体が火の番をしてくれていた。


「火の番ごくろうさま、スライム」

「すらっ」

「俺が寝ている間に変わったことはあったか?」

「すら……すらっ」


 こっちは何もなし、か。

 代わりに教会の方に大規模な襲撃があったけど無事に撃退できたと。

 俺が街を離れたって情報は簡単に手に入るだろうし好機と見たのか?

 また若干偉そうな奴も捕まえたらしいから調査がはかどるかもしれない。

 まぁあっちはローラさんとエリーゼさんに任せよう。

 他に今出来るのは……アイテムボックスの整理だな。

 最近は気が付けば大量の採集品が溜まっている。

 薬草類を始め、魔物のドロップアイテムも湖で取れる魚も日々順調に増え続けている。

 ただ、時々どこで手に入れたのか分からない品まで入ってるんだよな。


『隷属の首輪(呪術レベル2):

 嵌められた相手の抵抗する意志を奪う呪具。

 品質が低く命令を強制する力はない。

 また異界の住人には本来の性能を発揮できない』


『魅了の首輪(呪術レベル3):

 嵌められた相手が嵌めた者に好意を抱くようにする呪具。

 品質が低く思考を強制する力はない。

 また異界の住人には本来の性能を発揮できない』


 何この怪しいアイテム。

 このゲームに奴隷制度ってあるんだっけ?

 出元は恐らく教会を襲撃してきた闇ギルド構成員なんだろうけど。

 こんなの持ってるだけで捕まりそうだ。

 問題は今回は大丈夫だったけど今後もこう言ったアイテムを使われる危険性があるって事だな。

 何とか対策が取れると良いんだけど。


「……」

「すらっ?」


 以前スライムが毒薬を食べて毒耐性とかが付いたことがあったな。

 もしかしたら呪いも耐性取れたりするだろうか。


「スライム。これを使って呪い耐性とれたりするかな?」

「すら……すらっ!」

「『分からないけど、やってみる』か。なら頼んだ。他にもいくつかあるから色々試してくれ。

 ただ壊しても良いけど紛失には気を付けてな」

「すら!」


 そうして計5点の呪いアイテムをスライムに預ける。

 どれも呪術レベル1~3だし、スライムには嵌める首がそもそも無いから危ない事にはならんだろう。


 さて、日の出まではまだ2時間くらいあるし、あと出来る事と言ったら……たまには戦闘訓練でもするか。

 最近、スライムに戦闘を任せっきりにしてしまってるからな。

 ステータス的にも俺よりスライムの方が少し高いくらいだし訓練相手には丁度良いくらいだろう。


「よし、やるかスライム」

「「すらっ」」


 声を掛けると待機していたスライム10体が一斉に手を上げた。

 いや、流石にそれは俺が死んじゃうから。

 まずは1対1でな。



後書き掲示板:

No.333 通りすがりの冒険者

こちらブルーチーム、配置完了。


No.334 通りすがりの冒険者

レッドチーム、グリーンチーム、共に配置完了。


No.335 通りすがりの冒険者

こちらホワイト。

イベント開始まであと3分。

これより無線封鎖を行う。

各員の健闘を祈る。




No.342 通りすがりの冒険者

はじまた


No.343 通りすがりの冒険者

くっそ、しょっぱなからどんだけ戦力投入してるんだよ

裏口にこんだけって


No.344 通りすがりの冒険者

右舷弾幕薄いぞ!!


No.345 通りすがりの冒険者

なっ。正面に要塞砲だと!?


No.346 通りすがりの冒険者

とめろーー!

あんなの撃たれたら全員死ぬぞ!!


No.347 通りすがりの冒険者

無念。後を頼む


No.348 通りすがりの冒険者

>>347

お前の死は無駄にはしないぞ。

食らえ、バーニングファイヤー!!!


No.349 通りすがりの冒険者

バリヤー、だと……!!


No.350 通りすがりの冒険者

撃て撃て撃てーー!

エネルギーは無限じゃないんだ。

物量で押し切れ!!


No.351 通りすがりの冒険者

おい待て、そういえばさっきから左側から連絡が無いぞ?


No.352 通りすがりの冒険者

なっ。

ダメだ。全員死んでる


No.353 通りすがりの冒険者

いつの間に!?


No.354 通りすがりの冒険者

くそっ防壁突破された!!


No.355 通りすがりの冒険者

まずい、本陣が!!


No.356 通りすがりの冒険者

総員退避~~~!!


No.357 通りすがりの冒険者

ぎゃああああぁぁぁ!?!?!




No.412 通りすがりの冒険者

ふぅ、

おわったな。


No.413 通りすがりの冒険者

ああ、お疲れ。


No.414 通りすがりの冒険者

結局、最終防衛ラインを突破出来たプレイヤーはゼロか。


No.415 通りすがりの冒険者

いや、あれは無理ゲー過ぎるだろ。


No.416 通りすがりの冒険者

まあなぁ~


No.417 通りすがりの冒険者

というかぶっちゃけ俺らの防衛要らなくね?


No.418 通りすがりの冒険者

いうな。

それは言わないお約束

ぶっちゃけギルドポイント貰えるから良いんだけどな


No.419 通りすがりの冒険者

そもそもここって誰かの拠点だろ?

なんで1個人の拠点がイベントになってるんだって話。


No.420 通りすがりの冒険者

それな



※シュージの教会を巡る攻防イベント風景でした。

 要塞砲=強力な魔法攻撃プレイヤーです。

 無線っぽいのはグループチャットです。傍受は出来ません。




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