犯罪行為は許しません
うーむ、なぜか魔王ルートに入ったような気がしなくもない今日この頃。
あ、今回の後書きは後半病んでるのでご注意ください。
(読まなくても何の問題もありません)
そして総合評価がいつの間にか100PTの大台?に。
皆様ありがとうございます。
大司教達が帰って行ってから、いや、正確にはクディが来てから日中は毎日大勢の参拝者が訪れるようになっていた。
ローラさんや子供たちもその対応に追われている。
参拝者は値の大小はそれぞれだけど、お布施を置いて行ってくれる。
それもあって教会は俺が初めて来た時に比べてかなり立派になった。
……って、あれ?
「この教会ってこんなに荘厳な造りでしたっけ?」
「え、ああ。恐らく格が上がったのでしょう」
「格?」
俺の疑問にローラさんが答えてくれる。
何でも教会を始めとした施設は、建設する際に魔法が掛けられているらしい。
そのお陰で大工仕事で増改築を行わなくても格、つまり施設レベルが上がればいつの間にか大きく立派になっていくらしい。
うーん、流石ゲーム世界。
ただ、有名になるというのは何も良い事だけを連れてくるものじゃあない。
日中は参拝者の目もあって特に何も問題はないんだけど、夜になると教会の敷地に忍び込む者が現れるようになった。
彼らの狙いはクディだろう。
誰の差し金かは分からないが、今週だけで10回は襲撃に遭っている。
いずれも敷地に入った所でスライム達に撃退されているが。
この事態を受けて、有難い事に一般市民から有志で夜間の警備を行おうという話も出ているそうなので、今後襲撃の頻度は落ちてくれると期待しているが。
問題は教会の外に子供たちが出歩く時だ。
教会の子供たちの顔は当然知られているし、常にスライムを1体以上連れているので一目で分かる。
その為、誘拐未遂も何度か発生した。
子供を人質にクディを寄越せっていう腹積もりなんだろうけど、これもまたスライムと子供たち自身によって撃退されている。
子供たちも大人を圧倒出来る程に強くなっているのだ。
いつの間に?って思ったら良く庭でスライムと訓練している光景を見かけた。
いつかスライムが先生と呼ばれるのだろうか。
ただ、良く分からないのは時々プレイヤーも子供たちを狙ってくることがある。
プレイヤーからしたら子供たちは何の価値もないと思うんだけど。
もしかしたら闇ギルド関連かもしれない。
これ以上邪魔してくるようなら一度一掃しないといけないかな。
と警備隊の詰め所で一言こぼしたら、慌てて全員から引き留められた。
俺ってそんなに黒い笑みをしてたんだろうか。よく分からない。
まぁお陰で警備隊も巡回を強化してくれることになったので、期待しよう。
俺もずっとこの街に拘束される訳にはいかないしな。
「という事で、多少落ち着いてきたので以前言われていたランクアップの試験を受けようと思うんですけど」
「何がという事なのかはさっぱり分かりませんが、ランクアップ試験ですね」
冒険者ギルドのエリーゼさんは若干呆れながらもテキパキと書類を処理していく。
「シュージさんは、討伐依頼、採集依頼は十分に達成されていますが護衛、運送依頼はまだでしたね?」
「そうですね」
「Dランク以上に上がる為には最低でも1回は達成実績があると評価判定だけでも行けそうなのですが。
もちろんBランク以上の冒険者との模擬戦を通じて実力を確認し、ランクアップというのも可能ではありますが今は該当の冒険者が皆さんで払ってますので時間をいただくことになります」
「それなら何か適当な依頼があれば受けますよ?」
「ありがとうございます。
普段だったら王都に向かう商隊の護衛依頼があるのですが、生憎そちらは既に別の冒険者の方々が受けられています。合同ではランクアップの為には不適切。
なのですぐにご案内出来るのは、こちらの北東に荷馬車で1日半程進んだところにある村への行商の護衛依頼はいかがでしょう?
こちらは明日か明後日出発となります」
「分かりました。ではそれでお願いします」
「……詳細を聞かなくて大丈夫ですか?」
「エリーゼさんが俺に変なクエストを紹介するとは思えませんから。時間的にも問題ないですし」
「うーん、その信頼は嬉しいのですが、きちんとご自身の目で確認してくださいね」
「はい」
クエスト票を見せてもらう。
・イニトの北東にある境界村バリーまでの護衛依頼
・護衛対象は依頼者のリャン氏および荷馬車
・依頼料は3000G
・難易度E
・推奨人数はEランク2名
「何かご質問はありますか?」
「そうですね。これは片道のみの依頼ですか?」
「はい。ですので向こうに着いた時点でクエスト完了となります。
報告も向こうのギルド出張所に伝えて頂ければ大丈夫です」
「なら護衛専門の冒険者には割に合いにくいクエストであり、俺なら帰りに色々採取も出来るし、向こうにコネも作りやすいから安くてもうま味の多いクエストってところですね。
依頼主について気を付ける事とかはありますか?」
「シュージさんなら普段通りにしていていただければ特に問題はないかと思います。
依頼人のリャンさんは元々向こうの人で、この街には時々仕入れにいらっしゃるんです。
普段であればご自身で魔物の撃退も出来るそうですが、先日の騒動のせいで東側はまだ街道に魔物が出やすくなっており、念のため依頼を出したそうですよ」
街道には普段から多少は魔物も出るからな。
行商人も自衛くらい出来ないと生きていけないか。
聞いた感じ、先日の大司教みたいに気難しいところもないだろう。
「あと直接依頼とは関係ないですが、境界村というのは何との境界なんですか?」
「それは……多分シュージさんなら行ってご自身の目で見た方が良いかと思います」
「ネタばれは避けると?」
「はい。危険の見極めもランクアップ試験の一部と考えてください」
ふむ。つまりは何かはあるけど、首を突っ込むかどうかは俺の判断に任せるって事なんだろう。
君子危うきに近寄らず、とも言うけど、虎穴に入らずんば虎子を得ずともいう。
自分の実力も加味して考えろ、か。
「まぁ、冒険者なんてのは未知のものがあったら危険と分かっていても踏み込んでしまう生き物なんですけどね」
「命あっての物種、とも言いますよ」
「そうですね。ま、ちゃんと帰ってきますよ。待っていてくれる人達もいますからね」
「そうしてください。
ではクエストを受理するということで、出発は明日の朝になります。
また明日こちらまでいらしてください」
冒険者ギルドを出た俺は商店街に向かった。
今回の依頼は1日半掛かるって事は夜営を1回行うことになるし、往復で考えれば4日は見込まないといけない。
これがただの護衛で何もトラブルが無いなんてことは考えにくいし余分に荷物を持って行った方が良いだろう。
あれ? そういえばこの世界でアイテムボックスってどういう位置づけなんだ?
広く一般的なものなら流通もかなり楽になるし荷馬車も必要ない気がするんだけど。
その辺の事も明日聞いてみるかな。
「すらっ」
「ん、そうだな」
気付いていたけど、さっきから付けられている。
冒険者が3人。イベント装備だしプレイヤーか。前衛が2人、遊撃が1人ってところかな。
ひとまず素人だな。尾行の仕方がお粗末すぎる。
俺の事を追っているんだからスライムの事も知っているだろうに、なぜ警戒しないのかな。
庇の上に居るのとか、樽の上に鎮座してるのとか、所々に俺のスライムが目を光らせてるのに。
ま、明日の依頼に彼らが付いてきたら迷惑だしな。今日中に話をしておくか。
さっと行き止まりの路地に入ってみれば、追手の冒険者達も慌てて路地に駆け込んでくるし。
「なっ、居ないぞくそっ。どこに行った!?」
「確かにあいつ、ここに入ったよね?」
「俺達に気づいたそぶりはなかったのに」
そう言う彼らを俺はのんびりと見下ろしていた。
しきりに左右を見渡してるけど、明らかに行き止まりの袋小路で、地面にマンホールがある訳でもない。
なら上だってすぐに分かりそうなものだけど。
(スライムの方がよっぽど賢いな)
(すらっ)
心の中でため息をつくと、スライムからも同意のため息が聞こえてきた。
はぁ。このままだと話が進まないから降りてやるか。
「よっと」
「なっ、いつの間に後ろに」
「私たちをどうする気!!?」
「また何かズルしやがったのか」
「はあ?」
路地の入口に降り立った俺を見て、慌てて武器を抜くプレイヤー達。
やっぱ馬鹿なんだろうな。
「何を見てズルと言ってるのかは分からないけど、俺を尾行してたのはお前達だよな?
どうする気だってのは俺のセリフだよな。
それとも俺の熱烈なファンで、無自覚なストーカーってやつか?」
「ファンな訳ねぇだろ。馬鹿かお前は」
「あんたには賞金が掛けられてるのよ。だから大人しく私達に殺されなさい」
賞金だってさ。
いつから賞金首になったんだろう。
可能性があるとしたら先日の大司教達か。
この分だと教会の皆にも賞金が掛かっていてもおかしくないな。
まぁそれを考えるのは後にして俺は素早くGMに質問を投げかけた。
……よし。流石の返信速度だ。有難い。
ちなみに質問内容は『街中で他のプレイヤーから武器を抜かれ明確な殺害予告をされました。この場合反撃して殺しても罪に問われないでしょうか?』だ。
返信は2通。1通目は『問題無し。殺ってよし』。2通目には事細かに問題ない事が綴られていた。
「スライム、今後この3人は敵だ。近づいて来たら問答無用で攻撃して良いからな」
「すらっ」
「おまっ、なに魔物に話しかけてるんだよ。馬鹿じゃねぇの? 伝わる訳無いじゃん」
「やっぱ頭おかしいんだよこいつ」
「二度とログイン出来ないようにしてやろうぜ」
いちいち言動がガキ臭いな。
社会の厳しさを教えるのは大人の役目かね。
「いけ、スライム」
「すらっ」
「なん、ぐえっ」
「ランスロッぶふっ」
「トリスばはっ」
スライム投げを顔面に受けて仰向けに倒れる3人。
スライム達はレベルが上がったお陰で昔みたいに消えたりしない。
顔に張り付いたまま、毒撃、麻痺撃で相手の抵抗を封じつつ窒息させていく。
あ、そう言えばプレイヤーはHPバーが出ないんだな。
なんて場違いな感想を抱いていると3人の顔が青くなってきた。
「あースライム。そいつら異界の住人だからただ殺してもそんなに反省しないんだ。
だから、もっとじわじわ真綿で首を締めるように殺してあげなさい」
「すらっ」
「「んー!んー!!」」
器用に鼻の部分だけ開けて呼吸出来るようにしつつ、目と耳を塞いで四肢を拘束しつつ毒ダメージを与えていく。
本当はもっと色々やってるけど、そこは自主規制。
俺はそれを見送ってその場を後にした。
ま、このゲームは痛覚とかほぼ感じないし、リアルに影響は出ないだろう。
後書き承認制アングラ掲示板:
No.221 通りすがりの人攫い
くそやってられねぇ
No.222 通りすがりの暗殺者
また出たか
No.223 通りすがりの暗殺者
どうせあの教会関連だろ?
No.224 通りすがりの暗殺者
これで12人目か?
No.225 通りすがりの人攫い
鳥1羽捕まえるだけの簡単な仕事だって聞いてたのに、敷地に入った途端即死トラップとか絶対オカシイだろ
No.226 通りすがりの強盗団
>>225
ナカーマ
No.227 通りすがりの暗殺者
ただの捕獲なら100万とか無いから。
No.228 通りすがりの強盗団
しっかし、あれはいったい何にやられたんだろうな
俺の罠感知が一切役に立たないんだけど
No.229 通りすがりの暗殺者
あれじゃね?スライム
No.230 通りすがりの強盗団
いやいや
あれってただのマスコットだろ?
No.231 通りすがりの闇ギルド員
そう思ってた時期が俺にもあったな………………ふっ
No.232 通りすがりの強盗団
231に何があったのか怖くて聞けねぇ
No.233 通りすがりの賞金稼ぎ
ぎゃーーーーーーー!!!
No.234 通りすがりの強盗団
がたっ
No.235 通りすがりの賞金稼ぎ
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
No.236 通りすがりの賞金稼ぎ
くぁwせdrftgyふじこl;@
No.237 通りすがりの暗殺者
>>233,235,256
何があったんだ。気をしっかり持て!!
No.238 通りすがりの賞金稼ぎ
……………………はっ
良かった。やっと死ねたんだ。
No.239 通りすがりの暗殺者
>>238
いや全然良くねえって。死んだ方がマシってなにがあったんだよ。
もしかしてお前たちもスライム教会関連か!?
No.240 通りすがりの賞金稼ぎ
うわああああああ
No.241 通りすがりの賞金稼ぎ
スライムこわいスライムこわいスライムこわいスライムこわいスライムこわい…………
No.242 通りすがりの闇ギルド員
あれの名前聞いただけで禁断症状ってw
No.243 通りすがりの賞金稼ぎ
あははははははっ、ガクッ……
フ、フフっ。やっぱり俺にこの道は向いてなかったんだ。
田舎に帰って明日からは真っ当な人生送るよ……
No.244 通りすがりの闇ギルド員
お、おう
No.245 通りすがりの強盗団
た、達者でな




