表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/59

ゴブリンとだって戦えます

 ウサギとゴブリンを相手にするのに慣れた俺は、せっかくだからもう1段階強い敵を求めて森へと足を運んでみた。

 そしてすぐの森に入ったところで、5人組の冒険者(プレイヤー)を見かけた。

 ちらりと漏れ聞こえてきた彼らの言葉によれば、この先にゴブリンダンジョンがあるみたいだ。

 恐らくお決まりの初心者用ダンジョンだろう。

 なら今の俺でも行けるかもしれない。

 ゴブリンなら多少増えても勝てるだろう、きっと。


 俺は彼らの邪魔にならない程度に離れて後を付いていけば、程なくして洞窟の入口が見えた。

 どうやらあそこが目的地のようだ。


「ん?」


 入口に着いた彼らは中に入ろうとせずに立ち止まって何かを操作しているように見え……消えた!?

 どういう事かと慌てて俺も入口に行ってみると原因がわかった。


<インスタントダンジョン【ゴブリンの巣】に入りますか?>


 入口に出てくるウィンドウ。

 こういうのを見るとゲームなんだって安心する。

 インスタントダンジョンっていうのは入る度に別空間が用意されている場所だ。

 お陰で他人に獲物を横取りされたり満員で入れなくなる心配がない。


 出てきた選択肢の『はい』を押すと、いつの間にか洞窟の中に入っていた。

 後ろを振り返れば、<外に出ますか?>と出てくるので出入りは簡単に出来るようだ。


「なら行けるとこまで行ってみますか」


 声に出して気合いを入れた俺は奥へと進んだ。

 すると出てくる出てくる。ゴブリン祭りだ。

 3体、5体と団体なのは当たり前、時々剣を持ってる上位種?まで混ざり出した。

 でもスライム投げをマスターした俺の敵ではないな。

 いやごめん。言い過ぎた。

 時々逃げながらスライム投げしたり、格闘も交えて何とか捌けている。

 お陰でスライムの投げすぎでちょっと肩が凝って来たかもしれん。


ポンっ

<召喚スキルレベルが10に上がりました。スキル『高速召喚Lv1』を覚えました>


 そうしてB2階に降りてゴブリンの群れ(8体)を相手にスライム投げ戦法で戦っていたところ、新たなスキルを手に入れた。

 しかしもうレベル10か。レベルの上りがずいぶん早いけど序盤だからそんなものか?

 いやスライムだしな。必要な経験値が少ないのかもしれない。

 どれどれ、早速新スキルの内容を確認してみるか。


『高速召喚:

 通常の召喚魔法において再召喚に必要な時間をレベルx5%短縮する。

 また召喚の開始から完了までの時間をレベルx10%短縮する。

 最大レベル10』


「こ、これは!」


 いらねぇ~~~~~。

 いやだってさ。スライムって召喚にかかる時間って1秒も無いし、再召喚だって0.1秒だし。

 あれから掲示板や攻略サイトを見て回ったところ、他の召喚魔獣は最低ランクの角ウサギは召喚に2秒、再召喚は20秒掛かるらしい。

 もちろんもっと上位の魔獣になれば再召喚に1時間とかもあるらしいので、それだったら有効かなって思うけど、うちのスライムにはいらねぇの一言だ。


「ま、あっても困ることはないからいいか」


 気楽にそう思わないとやってられんな。

 ちなみに今の俺のステータスはこんな感じだ。


名前:シュージ

種族:人間

ジョブ:固有召喚士(スライム)

基礎レベル:3

ジョブレベル:4

HP:82/105

MP:118/155

STR:18

INT:24

VIT:22

DEX:20

AGI:17

LUK:20


スキル:

投擲術 Lv2、格闘術 Lv1、盾術 Lv1、高速召喚 Lv1、MP自然回復Lv1


魔法:

召喚(スライム)Lv10、身体強化(自) Lv1、身体強化(他) Lv1


称号:

意志を貫くもの



 レベルと一緒に各種ステータス値は順調に上がっている。

 意外とどの値も伸びているのは純粋な魔法使いじゃない分、自分自身も前衛として戦えるようになっているのだろう。

 魔法の身体強化はジョブレベルが3に上がったタイミングで手に入った。

 ただしこれも割合強化なので、現状俺のスライムにはほどんど効果が無く、もっぱら自分用と言ったところだ。

 まぁ、使わないとレベルが上がらないからスライムを召喚する度に使ってはいるけど。

 他に魔力の使いどころも無いしな。

 そして、スキルのうち一番レベルが高いのが『投擲術』。

 戦闘はずっとスライム投げをしてたからな。仕方がない。

 今なら大リーガー顔負けの剛速球(スライム)を実現できる。

 空飛ぶ鳥だって落とせるぜ!(あ、いや嘘ついた。きっと当てれても落ちてはこないわ)

 格闘術、盾術は魔物に接近された時に自力で迎撃していたら取れた。

 正直近づかれるとスライム召喚して直接攻撃させても全く意味はないからな。

 足止めにもならない。


「ギャギャッ」


 おっと、どうやら新手のゴブリンが来たみたいだ。

 声のした方を覗けば、7体のゴブリンが辺りを窺いながらこちらへと近づいてくるところだった。

 後ろに居る2体が弓を持っていることからあれはゴブリンアーチャーなんだろう。

 さて、初の遠距離攻撃との戦いだ。

 これまでは近づかれるまでは一方的に先制攻撃が出来てたけど今回はそうはいかないだろう。

 ま、やること(出来る事)は変わらないけどな。


(よし、行けスライム)

(すらっ)


 アーチャーたちの視線が外れたタイミングで、その1体にスライムを投擲する。


「グギャッ」

(ストラーイクッ)

「ゲギャギャ!?」

「ギャギャッ」


 俺の投げたスライムが見事アーチャーの頭に直撃。

 当たりどころが悪かったのかスライム諸共光となって消えた。

 残ったゴブリン達が喚きながらこちらへと走ってくる。

 距離にして10メートルほど。


「距離が空いている間に数を減らさせてもらうぞ。召喚『スライム』。行け」

「すら(グサッ)」

「なっ、スライムーーー!」


 投げたスライムがゴブリンアーチャーの矢に当たって消えた。

 ゴブリンの癖にまさかの命中精度である。


「よくもうちのスライムを!(自分の事は棚に上げているのは気にしたら負けだ)

 召喚『スライム』」

「すら(ぼこっ)」

「スライムーーー!」

「「ギャッギャッギャッ」」


 今度は近寄ってきていたゴブリンの1体が投げた石が命中。

 もちろんスライムは光になって消えていく。

 って、ゴブリンが石投げとかありなのか?まさかこいつらも上位種なのか。


 ゴブリン達はその様子が可笑しかったのか消えたスライムを指さして笑っていた。

 舐めやがってぇ。


「くそっ、投げ合いなら負けるか。行くぞ。スライム連射!」

「すら(ぼこっ)」

「すら(ぼこっ)」

「すら(ぼこっ)」

「すら(ぼこっ)」

「グギャッ」

「すら(ぼこっ)」

「すら(ぼこっ)」

「グギャッ」

……

……

……


 ゴブリン達の投石を避けながら、隙をみてスライムを投げていく。

 それでも多勢に無勢でかなり打ち落とされたけど、なんとかゴブリンの投げる石x5 対 スライム投げは、見事スライム投げに軍配が上がった。

 投擲術 Lv2は伊達じゃないぜ!!(スライムの強さではない)


「よしよし。よく頑張ったな」

「すらっ」


 5体のゴブリンが光となったのを見届けた俺は召喚したスライムを胸元に抱きしめて頭を撫でてやった。

 まぁ、さっきまで頑張ったスライムとは別固体なんだろうけどな。

 そうして一息ついた俺は重大な事を忘れていた。


ぐさっ。きらんっ。

「スライムーーーー!」


 撫でていたスライムに矢が生えたと思ったら光になって消えてしまった。

 って、そうだよ。ゴブリンはもう1体アーチャーが居たんだった。

 しかも見ればいつの間にかゴブリンアーチャーは3体に増えてるし。

 さっきまで矢が飛んでこないと思ってたら増援を呼んでたのか。

 俺は慌ててスライムを再召喚するも、再び飛んできた矢によって光に変えさせられた。

 再度召喚しても同様に矢が刺さって消えるスライム。

 何度も、何度も。


「ふ、ふふふっ。

 ゴブリン風情が舐めやがって。

 てめぇらの矢なんて所詮うちのスライムを倒すのが精いっぱいなんだよ!

 その証拠にさっきから俺にはノーダメー……ジ?」


 自分で言ってて何かが頭をよぎった。

 その間も無意識にスライムを召喚しては矢によって光に変えさせられるのを繰り返している自分を冷静に見つめてみる。

 うーん、高速召喚スキルのお陰もあるのか飛んでくる矢に負けない速度で召喚が出来ているな。

 MPの回復速度が追い付かなくなって来てるから、このままだとじり貧だけど。

 でも俺のHPは全然減ってないな。


「これって、もしかして……」


 もしかするかもしれない。

 俺はスライムを召喚しながら猛然とゴブリンアーチャーたちに駆け寄った。


「ギャギャッ」

「ふはははっ、無駄だ!」


 次々にスライムに突き刺さる矢は、スライムと共に跡形もなく消えていく。

 そう、こいつらの矢に貫通能力は無いんだ。だからスライムに当たった時点でその威力は失われる。

 スライムも矢に当たってから光に変わるまでに若干のタイムラグがあるようで、矢は1匹に何本も突き刺さってくれる。

 そして再召喚は光に変わり始める瞬間から有効だ。

 つまり!


「無限スライムシールドの完成だ!!」


ゴブリンアーチャーを殴り飛ばして壊滅させた俺は、新たなスライムの活用法を見出したのだった。

……うーん。こんなことしてると、いつかスライムに呪われそうだな。



後書き掲示板:

No.211 通りすがりの冒険者

くっそ、狼多すぎ。初級ダンジョン推奨レベル15ってマジかよ。


No.212 通りすがりの冒険者

何お前。ジョブは?何人で行ったんだ?


No.213 通りすがりの冒険者

ソロ狩人。レベル17なのに第1階層も突破できない。


No.214 通りすがりの冒険者

馬鹿だねお前。ダンジョンは基本3人以上のパーティー推奨。

ソロで行くなら+5くらいは見込まないと。


No.215 通りすがりの冒険者

もしくは相応のリアルテクニックが無いとな。


No.216 通りすがりの冒険者

召喚士なら召喚獣呼びまくればワンチャンあり?


No.217 通りすがりの冒険者

相当良い召喚獣引かないと無理。

ただ、その場合、再召喚にすげぇ時間掛かるから召喚獣がやられると逃げるしかないけどな。


No.218 通りすがりの冒険者

召喚士本人は得意武器のない戦士っていう中途半端っぷりだからな。

デフォルトで召喚以外の魔法も使えないし。


No.219 通りすがりの冒険者

ゴブリンダンジョンクリア♪


No.220 通りすがりの冒険者

おつかれー


No.221 通りすがりの冒険者

なんとか攻略板推奨のLv10の5人で行けました~


No.222 通りすがりの冒険者

おぉやるじゃん。

あそこ1匹1匹は強くないけど近距離、遊撃、遠距離ってバランス良いからな。


No.223 通りすがりの冒険者

魔法使いの魔力切れたときはダメかと思いました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 「無限スライムシールドの完成だ!!」 面白くなってきましたね! こんな風に自分だけの武器を活かす話って大好きです! 続きもコツコツと読みたいと思います!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ