表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/269

依頼を受ける

 どの依頼を受けようか。ギルド内の掲示板で雑多に貼られている依頼書たちを見ながら考えていた。

 隣にはリフがいる。

 素人の俺に対するハンデのようなものらしい。ただし力を借りてはいけないとのこと。



 依頼よりも先に俺はふと思った。



「おまえらって暇なのか?」

「なんじゃ唐突に」

「いきなり勝負吹っ掛けていたり俺なんかに構ってくれたりしてるから、他にやることないのかなーって」

「クエナのことか? あやつはこれに勝てばSランクの道が近づくと思っておるからのう。あれはあれで指名依頼もあったりして忙しい身ではあるのじゃぞ?」



 ほー。

 指名依頼ってのはおそらく、文字通り指名の依頼を受けるって感じだろう。まぁSランクに拘っているようだが、世間一般から見ればAランクも雲の上の存在……ってのも聞いたことがある。

 あいつもあいつですごいやつなのだろう。知らんけど。



「おまえにも言ってるんだよ。一応組織の管轄的な存在なんだろ?」

「一応っていうか正にそうじゃ」

「……俺が言いたいのは偉いねってことじゃなくて、暇を持て余してないかってことだぞ。だから胸張って威張っていいことじゃないぞ?」



 リフが幼女らしいぺたぺたーんな胸を張って偉そうに鼻を伸ばす。



「わらわには優秀な部下たちがおるからの、問題はない。それよりも依頼どれにするか決めんか」

「そんなあっさりと済ませていいものなのか……?」



 かなり無責任なギルドマスターだな。

 本当にこんなところに入っても大丈夫なのだろうか。いや、まあギルドに所属するわけじゃなく、あくまでも下請け的な存在だからマシと考えるべきか。



 まぁでも。

 受付や、たまに見る職員的な人らは活気にあふれていて楽しそうだ。

 少なくとも俺がいた騎士団とは違い、ゾンビと見紛うほどの死にかけの人々はいない。

 良い環境なのだろう、ここは。



 さて依頼だな。

 掲示板には無数の依頼がある。それらは薬草摘みやゴブリン討伐と子供でもできるようなものから、オークの集落を潰してほしいだとかフェンリルの毛を取ってきてほしいという高ランクに指定されたものまである。



 だが……



「うーん、どれもあんまりだな」

「ほう。言うのう」



 大体の目安だが、

 Fランクの依頼は1ポイント

 Eランクの依頼は3ポイント

 Dランクの依頼は5ポイント

 Cランクの依頼は10ポイント

 Bランクの依頼は30ポイント

 Aランクの依頼は50ポイント

 て、な感じだ。

 しかし、肝心のSランクがない。

 それにAランクも数が少ない気がする。



「ほかに依頼を掲示している場所はないのか?」

「本部はこれだけじゃな。あとは指名依頼や緊急で来る依頼以外はないの」

「そうか……」



 それもそうだよな。

 掲示されている数少ないAランクの依頼を見るだけでも村一個が壊滅するレベルのものだ。

 それがバンバンと依頼されているわけがない。その上に位置するSランクが一個もないのは当たり前だ。



 それになによりここは王都。王国の中枢だ。

 ほとんどの場所が開拓されているし、騎士団の目も光っているから……



 待てよ。



「辺境の地とかだったらSランクの依頼もあるのか?」

「良い着眼点じゃな。しかし、辺境の地であれば依頼金を払うほどの金持ちはおらん。だからAランクすらない支部まである」

「そんな甘くはないかぁ」



 と、ぐだぐだ考えていたらパーティーを組んでいる奴らが数少ないAランクの依頼を取っていった。



「あっ、Aランクが」

「どうするんじゃ、王都はそれなりに稼ぎに来てるやつらもいるでの。依頼にも限りがあるぞ」

「そうだな。そろそろ行かないと」



 クエナはもうすでに依頼を受けてギルドから出発した。

 俺もぐずぐずしている暇はないのだ。



「ちなみにじゃが、クエナはAランクを一個とBランクを二個取っていったぞ」

「え。そんなのありなのか?」

「同時依頼受理は特認じゃな。クエナは信頼があるからの」

「それ俺もできるか?」

「わらわが認める実力ではあるがの、ジードは依頼遂行経験がないから厳しいじゃろうなあ」



 クエナが言っていた有利ってのはそういうことか……。

 そう考えると不利だな。

 もうこうなったらなにも考えずに依頼受けてくるか。



「はぁ、今週まだ三時間しか寝てないのに」



 愚痴をこぼしながら、とりあえず掲示板から一番ポイントの多い依頼を取った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
原作書籍版と漫画版が発売されております。
書籍版、漫画版も是非よろしくお願いします
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ