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ブラックな騎士団の奴隷がホワイトな冒険者ギルドに引き抜かれてSランクになりました  作者: 寺王
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登場

 騎士団がラインを引いて敷いた陣営。

 俺は前にも前線で会った指揮官の青年と顔を合わせていた。

 さらに数名、同じテントに騎士もいる。



「ク、クゼーラ王国の第三騎士団が今回の魔物の大量発生を起こしたというのですか!?」



 俺が突き出した王国騎士団の団員を目にしながら問い詰めてきた。



「はい。これが証拠のマジックアイテムです」

「これは……?」

「魔物を呼び寄せるものです。話では禁止されているようですが、まぁこうして使われているみたいですね」

「そんな、王国がこれを使って……。でもどうしてですか!?」



 どうしても信じきれない、という顔をして青年が問う。

 この様子だと俺が続きを言っても信じられなさそうだな。だが、まぁ事情は説明する必要がある。

 ボロボロになっている王国騎士団の団員を一瞥する。



「侵略、だそうですよ」



 団員が居辛そうに顔を背けた。



「侵略!? お、王国が神聖共和国に対してですか!? で、ですが第三騎士団はこうして危機に際して援助に来てくれているではないですか……」



 想像通り、あまり俺の話は信じられていないようだった。

 まぁそれもそうだろう。ぽっと出の俺が変なことを言っても信じられない。ただそれはギルドの信頼がないというわけじゃないはずだ。

 単純にSランクとはいえ急に昇格しただけの男が信じられないのだ。

 てかそもそも個人と国じゃ国を選ぶのは当たり前のこと。

 だが、傍らにいたクエナも口添えしてくれた。



「たしかにそこの騎士が言っていたわよ。ジードに尋問されて『王国は神聖共和国を侵略するつもりです』って」

「……それは。いささか信じられませんが……」



 随分と歯切れが悪い。

 まぁ彼も指揮官クラスなのだろうが、一介の兵士であることに変わりはない。



 だがこっちとしてもこのままというわけにはいかない。

 依頼内容は大量発生した魔物の討伐。つまり掃討戦になる。

 魔物は第三騎士団が裏で操っているのだから、そちらの駆除も依頼の一部に入ってしまうのだ。

 実際に騎士団の団員を捕まえてしまっているわけだし。



 このままだとじり貧だ。上を呼んでくれ、と言いかけた瞬間。

 陣地のテントがめくられた。



「けが人はどこですか!?」



 入ってきたのは快活そうな桃色の髪を持った美少女だった。

 彼女の姿を見た者達が一斉に顔を明るくパっと微笑ませ、みんなが一様に口を揃えて言った。



「ソリア様!!」

「ソリア・エイデン……【光星の聖女】」



 隣にいるクエナもかなり意表を突かれたようだ。唖然としていた。

 かくいう俺も少し驚いている。

 この子が俺をギルドに強く推薦してくれた子の一人のようだ。Sランクにして聖女とまで呼ばれている――。



 まだ十代半ばか後半くらいの歳だろうか。

 大きな瞳に色素の薄い白い肌、線は細いが芯はしっかりとしている。女性らしい身体つきか。

 なんだろう。ザ・聖女というオーラが漂っている。

 そんなことをジロジロと見すぎていたせいだろうか。ソリアと目が合った。



「…………」

「…………」



 一瞬、空気が固まった。かのように思えるほどの静寂が流れた。

 あれ。

 俺なんかした?

 答えが見つからない。

 とりあえず、



「どうも」



 と頭を下げた。

 俺は覚えていない顔だが、俺を推薦するほどなのだ。おそらく彼女は俺のことを知っているのだろう。

 そしてその予想はおそらく当たっていたのだろう。

 顔をカーッと効果音が付くほど綺麗に赤く染め上げた。



「ジ、ジ、ジード……さんっ!! すっ、すみっ、すみませんが今は治療に専念するのよ私っ! そうよ、ジードさんとお、お、おっお話……! 今は治癒っ!!」



 かなり混乱しているようだ。

 だが言いたいことはなんとなく察しがついた。



「俺には構わず、まずは治癒してやってください」



 彼女は治癒専門の人間だと聞いている。なら怪我人が出たということで放ってはおけないのだろう。



「!! ありがとうございます!!」



 なにもしていないのに心底嬉しそうにお礼された。

 さっきまで話していた青年が恭しい態度でテント内にいる騎士たちに指示した。



「ソリア様を怪我人のいるテントまで案内してくれ! ソリア様、わざわざお越しいただきありがとうございます。仲間のことお願いします!」

「はい、善処します!」



 にこにこの笑顔で去っていく。怪我人を治しに。



「あれがソリア・エイデン様よ。大陸最高峰の癒し手と言われているわ」

「ああ、すこし同じ空間にいただけで分かったよ。あれはすごい」

「そういうの分かっちゃうもんなのね。私はオーラがある、くらいにしか思えなかったけど」



 もう俺との会話に驚きも戸惑いもないようだ。クエナが慣れたように言った。

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