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女装メイド大戦  作者: T
第2章 9人の精霊編
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第20話 世界精霊同盟

 「主君! ベッドがふかふかだぞ!!! 」

 「凄い… 」


 ヤナギの新たな武器を求め、ギリシャについた海道らは高級ホテルのスイートルームにいた。本来ここまで高いホテルに泊まる必要はないのだが、海道は蒼井をゆすった結果旅の資金として限度額無制限のブラックカードを貰っている。武器集めついでに全力で観光を楽しもうとするのは必然だった。


 「主君! 早速ルームサービスを頼んでいいか? 」

 「駄目だよ。高いんだから」

 「ああ、いいぞ。金なら蒼井さんにいくらでも要求できるからな」


 海道は日本政府の援助を得たおかげでやりたい放題だった。海道らかキリコしか「パワー9」への対抗策がない蒼井ら政府の精霊使い達は、彼らに強く出ることができない。キリコが戦力として全く計算できない以上、海道をギリシャに行かせるほかなかったのだ。


 「さて、とりあえず。情報集めからだな」


 高級チーズを頬張りながら、海道はノートに魔方陣を書いていく。その横ではカムイがここぞとばかりに、大量のステーキを幸せそうにかみしめていた。


 「さて、遠藤よく見ておけ。これから下級精霊の召喚方法を解説する」


 下級精霊を召喚する方法自体は簡単だ。対応する精霊の魔方陣を紙に書き、呪文を唱えながら魔力を注ぎ込むだけである。しかし魔方陣、呪文、魔力量の全てが寸分違わない状態じゃないと召喚に失敗するので、慣れていない精霊使いはちょっとした精霊を召喚するだけでも丸一日かかったりするのだが。


 「よし、召喚完了だ」


 召喚した精霊は、諜報用の下級精霊の中では最も高性能な「カメラン」だ。「カメラン」はその名の通りカメラのような見た目だが自力での飛行が可能で、映像媒体に魔力をつなげばリアルタイムで映像、音声が再生できるという優れものである。


 「とりあえずこいつを街に放った。後はとりあえず、こいつが何か見つけるのを待とう」


 高級ホテルの思った以上にラグジュアルな空間に、完全にバカンス気分になってしまった海道は夏休みを全てギリシャで過ごす気でいた。一ヶ月以内にギリシャ全土を見渡せばいい。そう考えると精霊一体放つだけでも十分なのである。


 「とりあえず高い魔力を感知したら、俺に魔力を送るように言ってあるからな。それまで俺たちは、ホテルでのんびりだ」


 そういうと海道は食事の時間までの暇をつぶすべく、探索に出かけるのであった。


 ギリシャにあるごく普通の民家。その地下室に、彼ら『世界精霊同盟』の基地はあった。


 「それで、ボルバがやられたっていうのは本当か」

 「はい。私どもでは召喚出来なかった『キリコ』を、日本政府は召喚に成功したみたいでして」

 「ふむ。『パワー9』の召喚に成功したのは、我々だけではないということか」


 世界精霊同盟とは、ギリシャ人精霊使いの「ニコス・マクラス」を中心とした秘密結社だ。精霊使いによる人類の支配を目標に掲げ、ギリシャ政府のみならず各国と繋がりがある。ジャックを脱獄させボルバを召喚させたのも彼らだった。


 「私自ら日本に行こうか。私の精霊以外で『キリコ』に勝つのはなかなか難しいだろう」

 「それが日本に派遣した久保曰く私どもでやらせてくれと。ジャックを見つけてきたのは彼ですから、責任を感じているのでしょう」

 「しかしそれで返り討ちになれば、精霊大戦序盤にして3体の『パワー9』を失うことになる。それはまずい」

 「わかりました。一応迂闊な行動はとらないよう忠告はしておきます」


 ニコスの話し相手。ドイツ人精霊使いのルーカスはため息をついた。久保が自分たちのいうことを素直に聞くわけないことはわかりきっていたからだ。


 「それで、発掘の方はうまくいっているのか」

 「いえ、地主の人が絶対に土地を売らないといってきまして」

 「まだ土地の確保すら出来てないのか… 仕方ない。アンドレイに力ずくで取りに行かせよう」

 「大丈夫ですかね」


 ニコスは面倒くさそうに、携帯を取り出した。


 一方その頃。海道は最高級ホテルの夕食を楽しんでいた。


 「ハッハッハッハ。他人の金で食べる高級ステーキは最高だな」 

 「ふぉんふぉうふぁふぁ(本当だな)」 


 カムイはさっきまでルームサービスを食べまくっていたにも関わらず、別腹と言わんばかりにステーキをほうばっている。ステーキばかりで飽きないのかと遠藤は思いながらも、自信もナイフとフォークを動かすのをやめられないほど美味しかった。


 「いや。腹一杯だな」

 「もう少し食べたいな… ルームサービスでピザでも頼むか」

 「まだ食うのかよ」


 カムイの底なしの食欲に戦慄しつつも、4人は食事を終えた。しかし食事を終えた直後、海道の脳に電流が走る。


 「カメランの魔力反応が… 消えた!? 」

 「え? 」 

 「何者かが俺たちの索敵に気づき、カメランを破壊したんだ」

 「そんな」

 「くそっ。俺の魔力結界を張り巡らせてそう簡単には見つからないようにしてたんだが」


 嘆いていてもしょうがない。海道はすぐさまカメランが破壊された座標を特定すべく、ギリシャの地図を開いた。


 「ここは… 」


 カメランの反応が途絶えたのは、ここから数十キロ離れた山の奥だった。


 「セイクリッドの例もあるが、人目に見つかりにくい山奥を根城にする精霊使いは多い。おそらく他の魔術師の領地にたまたま侵入してしまったんだ」


 海道はすぐにでも行きたかったが、現地まで飛んでいったら速攻で見つかってしまう。海道らはバスの時刻表を確認し山へのルートを確かめると、体力確保のためふかふかのベッドに身を落とすのであった。

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