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プロローグ
「生きづらいのよ。苦しい。どうしても」
目の前にいる彼女はそう言い薄く笑った。
「アンタだってそうじゃないの。分かるでしょ。……分かってくれるでしょ」
芦原なら。
彼女の言葉を否定も、肯定もできない。何も言えない俺はやっぱりみみっちぃ、紛れもない弱虫だった。
≪ふたりぼっち同盟≫
彼女の話をしよう。
直井凛一。首元で切り揃えられたブラウンの髪。いつも目の上で輝くシャドウと綺麗に引かれたライン。目つきが悪く睨みつけてくる眼光が鋭い。ぶっちゃ言うと怖い。短気。ギャルのような風貌をしているくせに、そう呼ぶと怒る。
嫌いなものが多い。野菜が嫌い。肉も嫌い。魚はすこし嫌い。こしあんが嫌い。
それと同時に好きなものも多い。最近彼女の興味を引くのは海外のもの。他にも趣味多数。
彼女との出遭いは2学期の頭。まだ夏の匂いが残る蒸し暑い日だった。