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第23話 やっと受け取れた

 しばらく昔話や自分の近状を話した。大河は大工をやっていると話してくれた。

「俺、いつか自分の家を自分で建てるのが夢なんだ。お前は早々に夢を叶えやがって。」

「俺の…夢?」

「じいちゃんみたいな紙ひこうき届け屋になるんだろ?」

 そうだった。俺の夢…俺は…。

「まだまだだよ。俺なんて。」

 じいちゃんに思いを馳せる。じいちゃんから大河の思いが届いて、じいちゃんにまで大河と一緒にいるのをやめろと言われてるみたいで悲しかった。だけど、たぶん…違ったんだ。

「じゃどっちが先に夢を叶えるか競争だな。」

「あぁ。そうだな。そうだ。俺の連絡先…。」

「おう。久人に連絡したくても思いは届かないだろうなって思ってた。」

 鞄から携帯を出す大河に疑問が転がり落ちた。

「もしかしてそれで家の電話番号…。」

「あ?あぁ。引っ越ししても変えるな!ってお袋に言ってた。久人から連絡来るかもしれないだろって。」

「…んとに恋人かって。」

「馬鹿。やめろよ。俺、女大好きだからな!」

「ば、馬鹿!俺も女がいいに決まってるだろ。」

 プッ。顔を見合わせて笑い合う。

 じいちゃん。ごめん。じいちゃんの思いをやっと受け取れたよ。

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