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第21話 確かめる為に

 幾度となく考える思いを確かめる為に受話器を取った。最近は携帯ばかりで受話器を握るのは久しぶりだ。携帯じゃなく、あの頃みたいにこの電話から電話をしたかった。当てている耳にプルル…プルル…と音がする。何度目かの呼び出し音に受話器を握りしめて、もう無理に決まってると諦めの色を浮かばせた。

「はい。野村です。」

「小倉…小倉大河くんのお宅ではありませんか?」

 違う名字に落胆して声は小さくなっていく。卒業アルバムの後ろに載っている住所録。その住所からは引っ越したらしい小倉大河。俺が紙ひこうき届け屋を引き継いだ時にはこの町にいなかった。電話番号だって変わってるに決まってる。

「あぁ、大河ね。いるわよ。いるいる。ちょっと待ってて。えっとあなた何くん?」

「あ、俺、久人です。大坪久人。」

「そうそう。久人くんね。待ってて。」

「あの!あの中学校に…中学校で待ってるって伝えてください。」

「え?ちょっと?久人くん?」

 まだ何かを伝えようとしている電話口の人を無視して受話器を置いた。心臓がドクドクと音を立てて服を握りしめる。それから自分の部屋へと駆け上がった。

 天袋から出したままのクッキーの缶と卒業アルバムをリュックに入れて家を出た。

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