Q2、『水筒』はマジックアイテムになっていましたか? A、はい、なっていました。
荘厳な『神殿』の中で慌てふためくクラスメイト達。
その中でただ一人だけ『水筒』を手に持ってたたずむ俺。うん、異質だな。
あぁーー!これどうなってんだよ!確かに異世界召喚とかたまに妄想なんかもしたよ!?だって男の子だもん(意味不明)
ふぅー落ち着け。まだこれが異世界召喚って決まったわけじゃない。
もしかしたらもう少ししたらヨネスケ……は違うか、とりあえず「ドッキリ大成功」の看板が出てくるかもしれない。
すると突然俺たちの頭上に映像が浮かび上がった。
うん、落ち着けまだホログラムかもしれないしな、なんかキリスト教の司祭みたいな服きた白髪のおっさんが映ってるけど、このおっさんヨーロッパ風でめっちゃ厳つい顔してるけどこの顔のままで「ドッキリ大成功」って言うかもしれない。むしろこのおっさんが元祖ヨネスケかもしれない。
「まずこういった対応になってしまったことを詫びよう。」
「こいつっ…直接脳内にっ……!」
なんか頭に直接声が聞こえてくる。他の生徒も混乱しているようだ、そらそうだ、頭の中に爆弾もないのに直接声が聞こえたら混乱する。一部混乱しすぎてなんか口走っているけど俺も混乱しているから感知できない。
「ふむ、『念話』も慣れておらぬようだな。それについても重ねて詫びよう。しかし貴殿たちが善良な人である確証はなかったからこのような対応になってしまった。ついては現状について事実の摺り寄せをしたい。誰か適当な人物はいないだろうか。」
そんなことをおっさんが言うが、クラスメイト達はまだ混乱の最中にあった。しかし、一人だけ素早く混乱から回復した『勇者』がいた。
「皆落ち着け!とりあえずこの人の話を聞いてみよう!」
「「「キャーッ!遮仁く~ん!」」」
お前ら遮仁が話すたびにそれ言って疲れねえのか。ってかホントにぶれないな、一種の現実逃避かもしれんが。だが、おっさんは周りの女子には反応しなかったが遮仁の発言には好意的に反応した。
「ふむ、落ち着いて話ができるような者がいるようでよかった。では今から貴殿らに『この世界』について話そう。」
そういっておっさんは何故俺たちがここにいるのかを話始めた。
「この世界はアントラノスといい、貴殿らがいた世界とは異なる。」
その発言に幾人かの男子はおっさんに向かって怒鳴り声をあげたり、女子は泣き崩れたりもした。
「貴殿らの怒りももっともだ。私もこのようなことが身に降りかかればただではいられまい。しかし、この世界がまた危機に瀕しているのも事実なのだ。」
そういうとおっさんは今度はこの世界の歴史を話始めた。
「この世界、アントラノスはクルガ様という存在に創られたといわれている。原初クルガ様は人間と動物のみをこの世界に生み出し、育まれた。しかしある時、この世界で奇妙なことが起こり始めた。
世界各地で奇妙な現象が起こり始めたのだ。その現象は人を『魔族』に、動物を『魔物』に変えた。しかしすべての人々が魔族にされようとしたとき、クルガ様よりこの世界を任されておった『五体の精霊』が降り立ったのだ。その精霊たちは次々に魔族にされた人をもとに戻し、魔物にされた動物を元に戻していったそうだ。しかし、後少しで精霊が全ての人間を元の戻せるという時、巨大な『邪悪』が立ちはだかった。そのあまりに邪悪な瘴気に精霊たちは力を弱らせた。このままではいけないと思った精霊たちは残りの力で『邪悪』を封印した。しかし、残りのすべての力を使い果たした精霊たちはまだ残っておった魔物や魔族を元に戻すことはできなかった。そこで精霊たちは自らの体を分裂させ、人々に力を与えた。
それが『魔法』だ。」
そこで一息つくと、おっさんはクラスメイト達に見せるように手の平に炎を生み出す。
えーっとあれもまだホログラムで説明がつくな、会話は生であててこの話は脚本通りと、脳内に聞こえてくる声も指向性スピーカーみたいなので説明できたはず。
すぐ近くにいた戸上も同じことを思ったのだろう。声を張り上げおっさんに話しかける
「まってくれ、今のままではまだ納得できない。こういった演出をすれば信じられると思ったのだろうが、この程度は、仮にこの世界が異世界ならば我々の世界で出来た、その『魔法』といった代物がなくとも。」
その言葉に泣き崩れていた女子生徒たちが一斉に戸上の方を向く。この言葉におっさんも驚いたような表情をする。これも演技だろうか、俺としては最初の転移っぽい魔法で半分くらい信じてしまっているが戸上はなにかあるんだろうか。
「光魔法と念話が貴殿らの世界でもつかえたのか。」
「『魔法』ではない、『科学』だ。」
「ふむふむなるほど……これは信じてもらうには目の前でやらねばならないの。」
おっさんが俺らも魔法が使える的な発言をしてたから心の中で突っ込むと同時に戸上が声をだした。それにおっさんは何か考えるようなポーズを取ると、突如浮かんでいた映像が消えた。
突然のことに俺を含めほとんどがざわついていたが、
「みんな、あの人は何かを話たそうにしていた。だから向こうからまた何か接触があると思うそれまでまず待とう。」
「まじか……。」
戸上や遮仁が皆を落ち着かせて回ったため何とか落ち着いた。その遮仁のセリフに俺はついつい言葉がもれてしまった。俺はそれを飲み込むように水筒の水を飲んだ。
◇◆◇
おっさんの映像が消えてから十分ほどが経った。別におっさんの映像が見たいわけじゃないが暇だ。
すると、俺の念が通じたわけではないだろうがにわかに扉の方が騒がしくなった。
この十分間、遮仁や戸上を中心にこの『神殿』を少し探索していて、俺も目視程度だが確認していた。
まあ、俺が目視で確認できた通りこの『神殿』には他に部屋はなく、窓すらない。だから俺は目視で十分だと判断して探索には加わらなかった。
そして今現在騒がしくなっている扉とはこの部屋にある唯一の扉のことだ。そしてそれに際して男子のほとんどはいつでも動けるようにしていた。かくいう俺も水筒の紐の部分を持っていつでも振り回せるようにしていた。あの攻撃があたると痛いからな。
そんな俺たちの心中を知ってか知らずか両開きになっている扉が、ゆっくり開く。
そこから出て来たのは豪華な鎧を着た、壮年のナイスミドルだった。そしてそのあとから来たのは映像に映っていたおっさん、さらにその後ろからナイスミドルより煌びやかさが足りないがそれでも立派な鎧を着た騎士風の屈強な男たちが入ってくる。
「すまない、待たせてしまった。」
「教皇様!このような者たちにそんなことをおっしゃる必要はございません!」
「なにを言う。この方達はこの終末に染まりそうな世界に降りそそぐ一筋の希望だぞ。口に気をつけろよ。」
「しかし……。」
そして映像のおっさんが開口一番に詫びを入れてくる。やっぱり薄々感じてたがこのおっさんは豪華な司祭服を着ている割にはライトノベルみたいな傲慢な宗教家じゃないみたいだな。ただ、一番に入ってきたナイスミドルは教皇と呼ばれたおっさんを敬っているのが分かるが敬いすぎているようなきらいがあるな。しかし、もし異世界じゃないとしたらこの茶番はいつまで続くのだろうか。
「部下が迷惑をかけた。まず貴殿らにここが貴殿らの言う異世界であることを証明しよう。メルロッテ!」
「はッ!」
「彼女はこの騎士団一番の魔法の使い手だ。」
「教皇様よろしいでしょうか。」
「うむ。」
おっさん改め教皇が魔法の存在の証明をすると言い、一人の女性を呼んだ。メルロッテと呼ばれた女性は麦の穂を思わせる綺麗な金に近い茶髪で滅多にお目にかかれない美貌を持っており、今は鎧を着ているが、それでも美しいと予想できそうな華奢な体だった。
その美貌にほとんどの男子生徒は釘づけになっていたが、メルロッテさんの声にはっとして今度は彼女のことを違う意味で注視する。
「我は望む、万物を破壊する精霊の炎を!」
ああーイテテテ、とは思わない。なぜならそう詠唱をしている彼女の手にはまず火種程度の火がともり、どんどんそのその体積を増やしていく。そして彼女の顔程度大きさになったところで彼女の詠唱が終わりその手をふるう。
そしてふるった手から放たれた炎は部屋の隅に飛んでいくと、ドガァァン!という音がして、荘厳な部屋の一部が大爆発を起こす。
え、うそでしょ。もしかしてマジで異世界なの……。
◇◆◇
ようやくここが異世界だと信じた俺たちは教皇の話をおとなしく聞くことにした。
その前に戸上がまだトリックだと言い張っていたが、まああれは違うな。確かに理屈は付けられる。
まずメルロッテの詠唱最中におっさんのを映したホログラムで炎の映像を映す。ただこれも見れば炎が本物であることぐらいはわかるが、まあいったん置いといて。次にホログラムをあらかじめ決めておいた位置に向かわせ、そのホログラムが着弾すると同時にダイナマイトなど爆薬を爆発させる。
ただ、これは実際に見ればトリックかどうかなんてわかる。メルロッテという女騎士はまぎれもなく
『魔法』を使ったのだ。
戸上もそれはわかっていたのか、遮仁になだめられる形でここが異世界であると認めていた。
そして、教皇は自分の名前をアンヘルス・クルギスと名乗り、俺たちが召喚された『クルガ教国』の教皇であると説明した。そして自己紹介を終えた教皇は先ほどの話を続ける。
「ここが異世界だということが分かってもらえてよかった。さて、話の続きだったな。この世界に
『魔法』があるのは先ほど見てもらった通りだ。そして魔法は『五体の精霊』が自らの体を分解して創られたというのも話たと思う。ここまではいいか?」
その教皇の問いに、全員頷いて答える。それを満足そうに見た教皇は続ける。
「そして、封印に成功し魔法を創った精霊たちは死んでしまったという。しかし、いまだ魔物や魔族はかなりの量が残っておった。そこで人々は早速魔法の力を使い魔物の数を格段に減らしたという。しかし、その封印も完璧なものではなかった。『邪悪』が発する瘴気でいまだに動物が魔物になっておる。そして近年魔物の数が増えておる、さらに長い間なりを潜めておった魔族どもが頻繁にみられるようにもなっている。このことから『邪悪』に対する封印が緩んでおるのではないかとにらんでおる。そこで、貴殿らには魔物どもを駆逐しながら『邪悪』を打ち滅ぼしてほしい。この通りだ頼む。」
そういうと教皇は頭をさげる。おいおい、そんなに軽々しく頭を下げていいのかね。なんてことを思っていると、
「いくつか質問をして……よろしいですか。」
遮仁が質問をしようとする。一瞬迷ったのは教皇がこの国の国家元首であるため敬語を使うか否かを決め兼ねたためだろう。まあ使うようにしたようだが。
「おお、なんでも聞いてくれてかまんよ。」
と、教皇がいう。そんなことを聞くと俺なんかはまず収入が気になるんだがな。
ただ、遮仁はそういったことは思わなかったようだ。当たり前か。
「何故教皇猊下は我々がその『邪悪』を倒せると思われたんですか。」
まあ、あたり前の質問だな、俺たちは何の変哲もな一般市民だ。そいつらに何をさせようとしているのだろうか。
「言ってなかったか。実はな、『神託』があったのだよ。その神託によって我々に授けられた特殊な魔法により貴殿らを召喚することで『邪悪』が討ち取れる、といわれたためそのお言葉に従い召喚をしたのだ。」
「なるほど、しかし私たちは元の世界では一般市民でしたそのようなことが本当にできるのでしょうか?」
「ふむ、これも実際に見てもらおうか。おい!あれを持ってきてくれ。」
なるほど、よくある俺たちの世界はこの世界より位階が高いとかなんとかで俺たちは普通より強い人間という感じか。
教皇は騎士達に何かを持ってくるうように告げた。そしてすぐに騎士達が持ってきたのは定期券サイズのカードのような物で、それを俺たちに一つずつ渡して回る。当然俺のところにも来た。
これはなんだ?定期券サイズで質感は金属っぽいし、重さもそのくらいだ。しかし、何も書かれていないな。
と、俺以下かなりの人数がそのようなことを思っていると教皇が皆にいきわたったのを確認するとこのカードの説明を始める。
「それは『ステータスカード』といってな、そこに血を一滴垂らすと自分のステータスなどが映される古代の遺産だ。ステータスについての説明は……いらないようだな。」
なるほど、ステータスか。ファンタジーだね、素晴らしい。変なテンションになってしまったが、大なり小なり他のクラスメイトも同じような感じだ。
それを見て教皇はステータスの説明はいらないようだと感じたようだ。なかなか鋭いな、俺たちがはしゃいでるだけでステータスがどういったものかを知っていると悟るとは。
まあそんなことはおいといて!俺も早速やりますか!えっとステータスカードと一緒に渡されたこの針で指を刺して、このカードに垂らすんだな。
お、おお~なるほど、この職業ってのがゲームでいうジョブで、ラノベでいう天職かな?
俺のは『剣士』か、うん普通だな、ステータスは見た感じ弱くもなく強くもなくか。他の人のステータスはわからないが。
「喜んでもらっているところ済まないが、ステータスの内容を教えてくれないだろうか。他人の物を勝手に見るのはこの国の法律違反なのでな。」
「じゃあ最初に俺が。」
「「「遮仁君がんばって~」」」
教皇が俺たちのステータスの開示を求めてくる。しかし、ステータスの無許可の閲覧って法律違反なのか、確かにこれが一般市民にまで広まっているんなら明確な個人情報だもんな。
トップバッターは遮仁が務めるようだ。取り巻きの女子はいつものごとく。というよりなにを頑張るんだろうか。
遮仁がステータスを教皇に教えると、とたんに教皇の顔色が変わる。
「こ、これは……!」
「どうかされましたか?」
「あなたは勇次殿というんですかッ!?」
「え、ええそうですが。」
ものすごい剣幕。だが、教皇が遮仁と一言二言話てから装置っぽいものに遮仁のカードを入れると、
教皇が映っていたようなホログラム、まあ光魔法なんだろう、が出て来た。
それを見てみると教皇が驚いた理由が分かるというものだ。
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『遮仁 勇次』Lv1 職業:『勇者』
体力:500 魔力量:300
力:100 防御:100
魔法力:100 魔法防御:100
知力:100 敏捷:100
『スキル』
「共通言語化」「勇者の剣」「勇者の魔法」
『パッシブ』
「魔力操作」「魔力感知」「気配察知」
『固有スキル』
「勇者」
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さすがとしか言いようがないな。俺は遮仁の事をたまに『勇者』と呼んでいたが本当に勇者になってしまった。それにステータスがあり得ない。剣士の俺は力、防御、敏捷は八十程度あるが、魔法系は低い。
しかし、遮仁のステータスはすべてが百だ。不公平だな、チートだな。
さらなるチートはスキルだ、「共通言語化」はわかる。俺にもあった。おそらくはこれがあることで会話ができているのだろう。しかしこの「勇者の剣」と「勇者の魔法」ってなんだ。なんでもかんでも『勇者』と付ければいいってもんじゃないだろう!今はレベルが一だがこのままレベルが上がってったらすごいことになりそうだな。まあいいか……次は誰が行くんだろうか。
「次は、俺が行こう。勇次ほどはないだろうがな。」
お、次は戸上か。テンプレでは主人公の幼馴染もチート持ちだからな。
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『戸上 彰』Lv1 職業:『賢者』
体力:200 魔力量:350
力:50 防御:60
魔力:110 魔法防御:110
知力:120 俊敏:50
『スキル』
「共通言語化」「鑑定」「万物理解」「杖術」「光魔法」「炎魔法」
『パッシブ』
「魔力操作」「魔力感知」
『固有スキル』
「賢者」
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十分チートだな。魔法系は遮仁より高いし、万物理解ってなんだよ。
そんな感じでどんどんクラスメイトたちもステータスを開示していく。概ね俺と似たり寄ったりだな、よかった~極端に弱くなくて。
お、今度は多野の番だな、脳筋っぽいからやっぱり武道家かね。
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『多野 弘美』Lv1 職業:『武道家』
体力:450 魔力量:100
力:90 防御:90
魔力:50 魔法防御:60
知力:50 俊敏:90
『スキル』
「共通言語化」「体術」「闘気術」「移動術」
『パッシブ』
「気配察知」
『固有スキル』
「武道家」
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予想通り過ぎてなんも言えないけどなかなか強いな、接近戦をやったらまず勝てないな。
見てて思ったが職業がそのまま固有スキルになっている感じだな。
そろそろ俺の番っぽいな、俺ももう一度ステータス確認しておこう。
お、俺も鑑定あった。見落としてたな。今まで見た中で持ってたのは俺と戸上だけだから結構レアなのかね。ま、これは運がよかったな。他にもあるか。
うん?最後のこれ……あーステータスは口で伝えて、みせるのはやめるか。
「では次の君、ステータスを。」
「はい。名前は仲田 行正で職業は剣士、ステータスは体力が四百五十、魔法力が二百、力が八十、防御が八十、魔力が六十、魔法防御が六十、知力が九十、俊敏が七十で、鑑定を持っています。」
「口で伝えてくれたのはありがたいが……、君はステータスは見せなくていいのかね?」
「はい。もし強制でなければ。」
「いや、強制はしておらん。わかった。しかし君も強いな。」
これで、強いのか。いやしかし、強制じゃなくてよかった。あんな固有スキル教えられないからな。
ああそうだ、鑑定を持ってたんだったな。ためしにこの水筒を鑑定してみるか。えーっと鑑定を使うには、こうかな。 『鑑定』 おお、なんかウィンドウみたいなのが出て来た。なになに。
『愛用の水筒』
効果・個体名『仲田 行正』が使った場合に限り無限に水?が出てくる。
……え、マジックアイテムになってんですけど!?それにこれ俺専用かよ!
やばい……、こいつがめっちゃ可愛く見えてきた。でもこの水に?がついているのは何故だろう。さっき飲んじまったがもしかしてやばい奴だったか?いや、こいつがそんなことをするはずがない。
ということで俺はこいつを信じて飲むぞ!
うおッ!?なんか水がめっちゃうまいんだが!
さっきは混乱していて味が分からなかったが……。
やっぱりお前は相棒だなッ!