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Q1、異世界召喚されましたか?A、はい、されました。

二作目ですが前作は無い物と思っていただければ。

 今日もいつもの日常に生きる。

 なんてことを思いながら俺は自分の教室のどこにでもあるドアを開ける。

今は朝の七時五十分を過ぎたくらいであり、八時半からホームルームが始まるこの学校では少し早い時間ともいえる。

当然そんな早くから来ているのは少ない。

今この教室にいるのはは窓側の一番前の席に座っている、確か名前は戸野 彰子(との しょうこ)っていう長い黒髪に眼鏡をした、いつも下を向いている地味な女子が本を読んでいるだけだ。

 戸野については何も知らない。それもそのはずで俺は現在高校二年なのだが、まだ今は四月で戸野とは今年初めて同じクラスになったのだ。

 そんなことを思いながら俺は四十人クラスの真ん中の席の一番後ろにある自分の席に腰を掛ける。そして家から持ってきた本を戸野みたいに読みながら朝のホームルームが始まるまでの時間を過ごす。


 ここで俺について説明しよう。俺こと仲田 行正(なかた ゆきまさ)は東京の都心から少し離れた街に住む極平凡な高校生だ。

テストの点や成績は割といい方だが俺の高校は偏差値は中の上程度だし、運動能力も平凡で身長も百七十センチと平均的な身長。体重はこの身長の平均体重よりかは重いが取り立てて言うほどのことでもない。容姿は黒髪黒目に中の上、贔屓目にみて上の下程度である。

 そんな俺であるが何故こんな早い時間に来て入るかというと、まあ特に理由はないんだが、しいて言うなら今読んでいるように本を読むためである。

 本なんざ家でも読めるだろうと思うかもしれないが、家で読むのと学校で読むのとでは全く違う。

そもそも、家では本以外にも遊べるものがあるが学校にはないのだ。それにこのほとんど誰もいない空間ってのもいい。つまり俺が学校で本を読むのは少しの非日常がほしいからだ。


「おはよう、仲田君。」

「ああ、おはよう体育委員さん。」

「相変わらずだね……。」


 本を読み始めて少し経つと俺の隣の席の女子生徒が登校してきた。名前は多野 弘美(たの ひろみ)といい百六十五センチ程度の身長に幼さの残る和風美人の顔立ちに眼鏡で編みこんだ髪を後ろに垂らしており、THE図書委員といった雰囲気だ。

 俺は多野のことを「体育委員」と呼んだが、そう呼んだとおり彼女は体育委員なのだ。こんなに図書委員なのに体育委員だ。多野は体育委員になるくらい運動神経がいいのだが、かなりの脳筋。つまりはバカなのだ。完全に見た目とのギャップがひどい。

 俺は多野を役職でよんだが、別に俺は多野だけを役職で呼んでるわけではなく、役職がある人は役職で呼び、ない人は苗字で呼ぶ。昔はいたが今は名前を呼ぶ相手はいない。

 そんなことをしてたらいじめられてもいいものだが不思議とそんな経験はない。

 まあさっき多野が言った「相変わらず」というのはそういった経緯がある。


「なんでそんな呼び方をするようになったの?生まれてからずっとってわけじゃないでしょ?」

「当たり前じゃないか、この呼び方をするようになったのは中学生からだよ。理由は……まあいいじゃん」


 多野が呼び方の理由を聞いてきたので俺ははぐらかす。俺はいつも理由を聞かれるとはぐらかしている。別に言ってもいいんだがそこまで面白くもないしな。

 話してたら喉渇いたな、四月だし別に花粉症ってわけでもないがいつも以上に喉に違和感がある。


「その水筒だいぶボロボロだけどいつから使っているの?」

「なんか今日はやけに質問が多いな。」

「いいじゃん。」

「ま、いいけど。こいつは小学校に入ってすぐからだな。」


 俺が取り出したのは蓋がカップになっているどこにでも売っているそれは、かなりボロボロので傷だらけになっていた。

 俺が自分の水筒を取りだすと多野がまた質問をしてくる。俺が嫌味を言うがそんなに気にしたようすはない。諦めて俺は自分の水筒を小学校のころから使っていることを教えると、多野は驚いた様子だった。

 まあそれは当たり前なんだが。水筒を十年も使う人はあまりいないのではないだろうか。俺の水筒はだいたい七百ミリリットルしか入らない水筒だが、小学校低学年の時は大きかったのが中学生になってふとしたときに小さく感じられたときから何故か愛着がわいて、もうこの水筒じゃなければいけない。別に俺は部活はやってないから七百ミリでも問題ない。

 

 そんな風に多野とたまに話ながら本を読んで十五分ほど経ったころに廊下の方からキャーキャー!と、

黄色い声が聞こえる。

 それに多野は苦笑いをしている。もう他に何人かクラスメイトは来ているが、ある者は多野と同じように苦笑いをし、またある者はその黄色い声の中心にいるであろう人物に怨嗟の言葉をつぶやく。

 その様子を俺が本を読みつつ教室を見回すことで誰が来たかを悟つと同時に、教室の前側のドアが開く。


「皆、おはよう。」

「「「おはよう~!遮仁く~ん!」」」


 彼は教室の中に挨拶をしたはずなのだが、どうして教室の外からクラスの女子以上の人数の声が聞こえるのか。俺はこの学校に入学してからの怪奇現象だと思っている。

 そんな、女どもをはべらせて教室に入ってきたのは、もう見ているだけで某天空の大佐ばりに目が潰れそうなオーラをまとい、成績は学年二位、運動神経抜群、容姿は若干茶色がかった髪にモデルや俳優が裸足で逃げ出すレベルの容貌、身長は百八十くらいで、さらには武道経験者という完璧超人。

さらに名前を遮仁 勇次(しゃに ゆうじ)といい、名前までかっこいい(?)というチート仕様だ。


「ああ、おはよう勇次。」


 さっきまで教室外からの挨拶に対応していた遮仁に、ようやく教室内から挨拶の声がかかる。

 遮仁に声をかけたのは彼の幼馴染だという戸上 彰(とがみあきら)だ。こちらも遮仁には劣るがかなりのイケメンで、遮仁が成績学年二位の原因になっている超天才である。背丈は俺より少し高い。なんか天才っぽい眼鏡をかけており、制服を完璧に来ている優等生でもある。ちなみに俺の席の前だ。

 遮仁の登場でこのクラスの女子はほぼ全員がそろい、残すは男子が数名である。


「うーん、やっぱり遮仁君って人気すごいね。」

「体育委員さんはイケメンには興味ないの?」

「どうだろ……。」


 いまだ女子に囲まれうるさい遮仁の席に目を向け、多野がそう独り言をつぶやく。その目は若干の呆れが含まれているように思えて、俺は多野に問いかけてみる。それに多野は「うーん……」と思い悩んでいたかと思うと急に「ハッ!」っとなり俺に答えを示した。


「筋肉がたりないんだよ!」

「オ、オウ……」


 脳筋だった。そこから多野は俺に、確かにイケメンはいいがもっと体に筋肉があった方がタイプだとかを、水をえた魚のごとく語り続け俺をまだ授業も始まっていないのにものすごく疲れさせたのだった。


            ◇◆◇


 それからしばらくして、一人を除いて全員が教室に着いたところで八時半のチャイムがなり担任が入ってくると同時に話はじめる。俺はといえば先ほどまでの多野の話に疲れて、やってきた担任の話をほとんど聞き流していた。

 そうしていると教室の後ろのドアが少し開いて一人の男子生徒が入ってきた。身長は百六十くらいだろうか、少し小柄でさらに少し肥満体系のニキビが顔にでた眼鏡をかけたすこし女子には敬遠されるような容姿の男子生徒だった。髪は寝癖でぼさぼさで、着ている制服もよれよれだ。この生徒が先ほど言っていた来ていない一人で、名前を矢野 修也(やの しゅうや)っていったはずだ。学校には一週間に一回程度しか来ておらず、昨日も来ていたため今日は来ないものと思っていたがどうしたんだろうか。


「矢野、なぜ遅刻したのにみんなに謝罪しないんだ。」

「あ、えっと、その……。」


 そして俺の一つ前にいる戸上も、こそっと侵入する矢野を見つけ超真面目な発言をする。あーあ、それを受けて矢野は完全に委縮してしまっている。と、そこに声がかかる。


「まあまあ、矢野には矢野の事情があるかもしれないし、何より二日続けて来たんだ、そのあたりは目をつぶろうよ彰。」

「まあ勇次がそういうなら……しかし矢野、次回からは遅刻をしないようにな。」

「え、あ、うん……。」


 おお、カッコいい台詞を遮仁がいった……のはいいがそういうことはあんまり言わないほうがいいんじゃないだろうか、まあ戸上が遮仁の言葉を受けて許したように基本的に二人とも悪い奴ではないんだがいかんせん融通が利かないというか、まあ関係ないんだけどね。


「あーじゃあこれで連絡事項は以上だ、今日も一日頑張るようにー。」


 と、戸上と遮仁の掛け合いを黙ってみていた担任が何事もなかったかのように連絡事項を告げ立ち去った。

 否、正確には立ち去ろうとした(・・・・・・)

 担任教師がドアに手をかけた瞬間床一面が真っ白に光出す。その光景に皆は混乱しているようだが、俺は至極冷静だった。

 そう、俺は伊達に本を読んでるわけではないのだ、俺が読む本のほとんどはライトノベルなのである。

 つまり、こういった事態には頭の中で慣れているのだ、この状態をライトノベルではこういう


――『異世界召喚』と――


そして俺たちの一面を光が覆い尽くす。


         ◇◆◇


 そして、光がおさまり目を開けた俺たちの目に入りこんできたのは荘厳な感じのする、まさに『神殿』と呼ばれるにふさわしそうな広大な部屋の中にいた。

 そして俺はそんな中でふと自分の手がなにかを持っていることに気付く。それは『水筒』だった。

まぎれもなく俺が十年間愛用しているその『水筒』を俺は手に持っていた。そして俺は思う。


――俺も案外冷静じゃなかったかもしれない――と。










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