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異世界の女子どもが俺のぱんつを狙ってる  作者: シャイン樽画
第一章 旅立ち ~俺のぱんつを狙ってる~
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  7枚目 えろどうじんみたいに

 宿……というか、馬小屋に戻って来た俺は、桶を借りてせっせと自分のぱんつを洗っていた。


 自分のぱんつを被って直にあの臭いを嗅いでは、洗わないわけにはいかなかった。

 もしかしたら、そう感じたのは、勇者として感覚が鋭くなったせいかもしれない。

 だが、あの臭さを嗅いで、そのまま穿く気にはなれなかった。

 戦闘でかいた汗も大分吸っていたしな。


 やがて、洗い終わったぱんつをよく搾ってから、鼻に宛てて、くんかくんかする……


「ああ……清潔なぱんつって、こんなにも素晴らしいものだったんだ!」

「もうやだ、この勇者……」


 そう言いながらスイーツは、ガラケーでカチャカチャと書き込んでいた。


「もう無理、至急配置転換求む……っと……ブツブツ」


 しかし、ぱんつ無しで直にズボンはくと何か落ち着かないな……

 戦闘の時は、それどころじゃなかったから気にならなかったけど。

 後で、替えのぱんつ買っておこう。


 あ、考えてみれば、俺、ぱんつ被る時、口と鼻に直に汚い部分が当たってたんじゃん。おええ……ちゃんと顔も洗わないと……


「しかし、どうするかな、これから……」


 ちょっと、すぐにはあの狩り場には戻れない。

 今からのこのこ出て行って、事情聴取されることになったら面倒だ。

かと言って、俺みたいな初心者にちょうどいい狩り場を知らない……


「貴方が大暴れするからでしょ」

「しかたないだろ、あのネズミ、逃げ回るし」


 そう言って、ルーキーマウスの尻尾を眺めた。

 狩り場に行く前、アニエスさんに聞いたことだが、狩った証拠に『モンスターの耳とか尻尾』を持っていけば、ギルドが報奨金を出してくれるらしい。

 だから、気持ち悪いのを我慢して持って来た。


ともかく、他にすることもないので、とりあえずルーキーマウスの尻尾を持って、ギルドに行くことにした。


「しかし、戦闘ってのは、思ったよりも難しいものだな。ぱんつのお陰で力が上がっても、全然マウスに剣が当たらないんだものなあ……」

「そりゃそうよ。ちゃんと剣が当たるように練習しなくちゃ」


 練習ねえ……

 練習、努力、根性……俺の苦手な言葉だ。


「なあ、何で練習しなきゃいけないんだ? 世界の危機なら、最初から勇者を強くして速攻で魔王討伐した方がいいんじゃないか?」

「今まではそうしてきたけど……」

「そうしてきたけど?」

「先代までの勇者達は、怪力以外にも、もっと色々な能力を授かっていたわ。剣の腕前とか魔法の技術とか……しかも、あなたのような恥ずかしい制約は無しで使い放題」

「なんだよ、それ……チートじゃん……汚ねえ……」


 それは、異世界ものテンプレから考えると、当たり前の勇者のスペックだったが、今の俺からすると酷いチート仕様に聞こえた。


「でも、そうやって甘やかされた勇者達は皆、悪道に堕ちた……人間、努力なくては堕落するってことね。で、今回はそうならないよう、神様たちは甘やかさないで厳しくあたってるというわけ」


 どうでもいいが、甘やかさないと言って、この『ぱんつを被る制約』って宴会芸は、何か違うと思うぞ、神々よ……


さて、そんなやりとりをしているうちにギルドに着いた。


 ざわざわっ……ざわざわっ……

 俺がギルドに入ると……ギルドは、何やら重苦しいような、慌ただしい雰囲気だった。

 ギルドの職員達が集まって、難しい顔をして何やら話しこんでいるのだ。


「何があったんだろ……」


 あれ?

 よく見ると、あれ、マールさんか?

今日休みじゃなかったのかな?

 だから、今朝はアニエスさんが受け付けやってたと思うんだが……


 そんな風に、集まって何やら話しこんでいるギルド職員達を見ていると、アニエスさんが俺に気づいた。


「あ、ユータさん」

「え?」


 すると、驚いたことに、アニエスさんは、俺に気づくや否や、小走りに駆けよって来たじゃないか。


「ユータさん、大丈夫でした?」

「それ、こっちのセリフですよ。何か、あったんですか?」

「ええ、実は……」


 アニエスさんが言うには、この近くの狩り場で「ドラゴン級の災害」があった、ということだった。


 一口に災害と言っても、その原因は様々だ。

 地震などによる本当の自然災害もあれば、モンスターの発生・大移動による災害もある。極端な話、どっかの魔法使いによる極大魔法が災害に認定される場合もある。

 冒険者ギルドはそれら原因・元凶が異なる災害を一まとめにして「○○級災害」と称することにした。災害の原因から区別するのではなく、災害という結果から区別して名づけたのだ。

 ギルドが定める災害には、いくつかの級があり、その一例は……


 ゴブリン級: 死傷者が出て、ギルドに支援要請・依頼が来る災害

 オーガ級: 村や街が壊滅するほどの災害

 ドラゴン級: 地形の変わるほどの災害。

 魔王級: 一つの国家が滅びるほどの大災害。めったにない。


 そして、今回『ドラゴン級の災害』が起きた。

 それは、被害状況から『ドラゴン級』としたが、地形が変わるほどの災害『ドラゴン級』はそう簡単に起こるものではない。少なくとも対策を講じなければ、もっと大きな災害に発展しかねない……そういう状況だ。


「そんなことがあったなんて……」


 自然と声が漏れていた。

 てか、モンスターが弱いから初心者冒険者の集まる街じゃなかったのか、ここは。

 ドラゴン級のモンスターが出るとか、完全に詐欺じゃねーか。


 俺は「どういうことだよ?」と思いながら、目の端でスイーツをちらりと見ると、何やら困ってるような、焦っているような顔をしていた。

 何だ、この反応?


「あ、もしかして、ユータさん、今朝お教えした狩り場には行ってないんですか?」


 何故、その話が突然出て来るのか?

 アニエスさんが何を言いたいのか、俺にはわからなかった。

 だから、何も考えずに、俺は言った。


「行きましたよ。あいにく、ルーキーマウス一匹に手こずって……」

「だ、大丈夫でした?」


 アニエスさんが身を乗り出して聞いてきた。

 あれ? 俺、もしかして、何かマズイことを言ったか?

 目の端でスイーツを見ると、頭を抱えていた。


「実は、そのドラゴン級の災害が起きた現場というのが、今朝、私がユータさんに教えたところでして……」


 ここまで言われてようやく、鈍感な俺も気づいた。


 アニエスさんが言うには、その狩り場の荒れ方が尋常ではなく、木は倒されるわ、地面に大穴は開いてるわ、すごい状態だそうだ。

 現場を目撃したギルド職員によって『ドラゴン級』と判断されたが、もしかしたら本当にドラゴンなどの大型のモンスターが出現したのかもしれない、と職員が右往左往しているそうだ。


 あれあれ~? おっかしいぞお!

 うん、その犯人、俺知ってる。この中にいるぞ。


「い、一体、誰なんでしょうね、そんなことするなんて……」

「誰って……何言ってるんですか。人間じゃないですよ。だって、人間には不可能なぐらいの力が加わった形跡ですから……」

「そ、そうですよね! 犯人、人間じゃないですよね! ドラゴン級なんて!」


 ヤバイ。

 下手なことを言うとバレそうだ……


「それで、ですね……じゃあ、あの狩り場に行ったということで聞きたいですが、ユータさんは、あの狩り場で何か気付いたことありませんでした?」

「さ、さあ? 俺が行った時には、平和そのものでしたよ!」

「じゃあ、ユータさんが帰った後に起こったんですね、ドラゴン級災害は。そんな短時間で……ますます不可解ですね」


 あ、今わかったけど、最初、アニエスさんが俺を見つけてすぐ駆けよって来たのは、俺の心配をしてくれたからか……

 なんてええ子や!

 俺やっぱりアニエスさんのぱんつ嗅ぎたい!


「何か気づいたことありませんでした? どんな些細なことでもいいので、教えてください。ユータさんの証言からわかることもあるかもしれないので……」


 さて、困ったぞ。

 本当のことを言うのは簡単だが、そうなると俺が勇者であることもバレてしまいかねない。

 勇者=死刑だそうだし、それは困る。


 そんな風に、俺が答えあぐねていると……


「アニエス、彼が例の?」


 いつの間にかマールさんがやって来ていて、アニエスさんに話しかけていた。


「そうですよ。今朝、あの狩り場を教えた人です」

「ふーん、初めて見るな」

「あの……マールさん? ユータさんは、マールさんがギルドカードをお渡しした人ですよ?」

「ふーん、じゃあ、覚えていないだけか……」


 昨日の舌打ちといい、相変わらず失礼な人だなあ……

 でも、許す! 金髪巨乳だから!


 俺がそんなことを考えていると、マールさんはツカツカと俺の方にやってきて……


「ちょっと、君、来なさい」


 俺の腕を掴むと、強引に引っ張っていく。

 そして、あれよあれよという前に冒険者ギルドの一室に連れ込まれた。


 すぐに後ろから鍵のかかる音がする。

 マールさんが鍵を締めたのだ!


 間を空けず、扉の向こう側からアニエスさんの声がする。


「マールさん、突然どうしたんですか? ちょ……鍵かかってるじゃないですか! 開けてください!」


 やだ……こんな所に連れ込まれて二人きりとか……俺なにされちゃうんだろ?

 きっと、紙面では書けないような恥ずかしいことされちゃうんだわ!

 エロ同人みたいに! エロ同人みたいに!


 一瞬わくわくしたが、どうもそんな状況でないことにすぐ気がついた。

 マールさんの目が笑ってなかったのだ。


 てか、目が笑ってないどころか、何か……目つきが鋭いというか……

 まるで獲物を前にした肉食獣のような視線を感じ……


 あれ?

 これ、割と真剣に、非常事態なんじゃね?

作者「結局南極、次回予告通りにはいかなくてワロタ! ワロタ……ワロ……タ……」

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