5枚目 ぱんつのちから
今回の話、お食事中の方はご注意ください! ある意味、微グロ。
俺は、自分のぱんつを被った……
ぱんつをニット帽のように被るのではなく、顔を覆うように被り、ぱんつの、足の出る穴から目が見えるように両目をそれぞれ露出させる。
いわゆる『フルフェイス型』という被り方だ。
ちなみに、ぱんつをニット帽のように被るのは、『頭巾型』という。
うん、ネーミングは、今考えた。
さて、このフルフェイス型、メリットは覆面のようになるので素性がバレにくくなる点だが、反面、デメリットとしては、着用者の鼻と口の部分に、ぱんつの一番汚れてる部位が当たってしまう点が挙げられる。
「うっ……おえ……ゲホゲホ……」
イカ臭いような、アンモニア臭いような、強烈な臭い……それらが混じり合って、およそこの世のものとは言えない、吐き気のする気持ちの悪い臭いがした。
おかしい……俺のぱんつってここまで臭かったのか?
確かに昨日から替えてないから少し汚いのはわかるが、ここまで強烈に臭うものだろうか?
何か、嗅覚が鋭くなっている気がする……
いや、そうなのかもしれない。
嗅覚が鋭くなっている。
女神様は、ぱんつを被ることで『勇者としての力』を得ると言っていた。
その『勇者としての力』に嗅覚も含まれていたのではないか?
「あ、ヤバい……俺、気づいちゃった……」
そして、俺は、その異様な臭いに包まれて、一つの真理に辿り着いた……
おれは、しょうきにもどった!
ぱんつは被るものではなかったのだ……
美少女のぱんつなら、被りたい……そう思っていた時期が俺にもあった。
美少女のぱんつなら、臭いわけがない。ラベンダーとかのフローラルな匂いがするに決まってる……そんな風に考えていた……
だが、違う!
それらは甘い幻想だ!
ぱんつは、ぱんつである!
美少女のものだろうが、おっさんのものだろうが、ジジババのものだろうが、誰のぱんつだろうと、ぱんつは臭いのである!
それは、『アイドルはトイレいかない』という妄言を本気にするのと同義だ。
ぱんつは、臭い!
こんなものを好き好んで被ろうとするやつは、どうかしている!
そんなこと言うやつは、脱ぎたてのぱんつの臭さを知らないやつだ!
ぱんつは被るものではない!
ぱんつは……ぱんつは……
ああ、俺、何言ってんだろ……
しにたい……
俺はどうやら混乱していたようだ……
やり場のない感情の高ぶりを感じて、俺は拳で思いっきり木を殴った。
「このくそっ!」
バキンッ!
樹木は、俺の殴ったところから縦に真っ二つに裂けた。
「ちょ……何これ……」
自分で殴っておいて、自分で驚いた。
ヤバイぐらいの破壊力だ……
昨日、森の中で素手で木を殴っても、手が赤くなるだけで、木はビクともしなかったことを考えると、相当パワーアップしたようだ。
「これが、ぱんつの力……おそろしいな……」
「私は、貴方の行動そのものが恐ろしいわ……」
振りかえると、スイーツが完全にひいていた……
「ただでさえ自分のぱんつを被った男なんて気持ち悪いのに、その上、ブツブツ言い始めたと思ったら、突然木を殴って倒すし……ごめん、本気で怖いから近寄らないでくれる?」
言いながらスイーツは後ろに後ずさりした。
その表情は恐怖に彩られており、いつもの嫌味を言ってる感じではなく、本気でひいてるようだ……
くそっ……何か、沙織先輩の姿をしているコイツに言われると、沙織先輩にひかれてるみたいで、精神的にかなり来る……
せ、先輩! これは違うんだ……
俺だって好きでやってるわけじゃあ……
「ごめん。ホント無理……」
スイーツが泣きそうな顔で言うものだから、俺は背を向けた。
何か、こういうマジ反応されると辛い……
そして、俺が声をかけようか、どうしようか、迷っている、その時だった。
チョロチョロと、草木の間から体長20センチぐらいのネズミが現れた。
これがルーキーマウスというやつだろう。
どうでもいいが、伏字の箇所によっては危ない名前してんな、このネズミ。
「ちょうどいい……恨みはないが、実験といこうじゃないか……」
俺は、半ばヤケクソ気味に置いてあった剣と盾をとると、ルーキーマウスに対峙した……
作者「今回の話ちょっと長かったので、思いきって今回と次回で分割しました。そしたら、今度はいつもと比べて大分短くなったっていう……」
作者「何でもそうですが、現実を目の当たりにすると目が覚めることってありますよね」
作者「辿異ミド楽しい。てか、オート反射4が楽すぎワロタ」