29枚目 はつたいけん
「お、お前、何を……」
レッドドラゴンは、あきらかに動揺していた。
いや、戦闘中に、ぱんつの中に手を入れるという暴挙を目の当たりにして当然の反応か……
「ま、まさか?」
「そのまさか、と言ったら?」
俺がそう言うと、レッドドラゴンは驚愕の表情を浮かべた!
「俺は人間をやめるぞぉぉ! レッドドラゴーン!」
俺は目を瞑ると、イメージを固め……そこから、まるで蒸気機関のような激しいピストン運動を繰り出す!
「うおおおおおぉぉぉぉぉ!」
ただひたすらに、股間の聖剣を大きくすることだけを考えて!
常人なら、ここでオカズの一つでも無いと、聖剣がおっきするには辛いかもしれない……
だが俺は!
伊達に29年間童貞を守り続けて来たわけじゃない!
いわば、この道のプロだ!
目を瞑れば、そこには今まで俺がオカズにしてきた、ありとあらゆるジャンルのネタが!
イメージが!
宇宙が、広がっていくのだッ!
「ギャアアアァァァ! あ、あ、あんた何やってんの!」
ふいに、スイーツがバリアの外で悲鳴を上げるが、無視!
うるせぇ!
男のやることに女が口出してんじゃねぇ!
むしろ、見られていることを意識して、さらに俺は燃え上がる!
ふるえるぞハート!燃えつきる程ヒート!
「うおおおおおぉぉぉ! しこしこしこしこ!」
俺は構わずしごき続ける!
全裸マンの言うことを信じて!
ただひたすらに、股間の聖剣を大きくすることだけを考えて!
全裸マンの言うことに、藁にもすがる思いで……という気持ちも若干あるが……
半ばヤケだった!
マールさん達が一撃で倒されるような相手に、バリアで逃げられなくされた上での強制ぱんつレスリング!
おまけに、ほぼ確実に、こいつに尻の穴を狙われている!
何だこの超展開!
こんなんやってられっか!
だから、俺は考えるのをやめた……
そして、ガムシャラに聖剣を擦り続けた!
「しこしこしこしこ! しこしこしこしこ!」
すると……
「こ、これは……」
気がつくと、俺の股間からぶっとい光の柱が、まっすぐ正面に伸びていた。
まるで股間からライトなセ―バーが生えてきているかのようだ……
あ、言っておくけど、『ライトな、セーバー』だからな?
読点とって続けて言っちゃだめだぞ?
「何と雄々しい……」
それを見ていたレッドドラゴンが、恍惚の表情を浮かべて呟いた。
そして……
「ばっちこおおおぉぉぉぉい!」
レッドドラゴンは、嬉々とした笑みを浮かべて、人間形態の自分の尻を俺に差し出すように向けた!
こ、こいつ……
マジか!
い、いや、俺も光の聖剣出しておいて何だが……
俺はレッドドラゴンの真意を確かめる。
「お前、ぱんつレスリングがしたくないのか? その体勢だとできんぞ!」
否定してくれという気持ちでそう言った!
しかしレッドドラゴンは……
にやりと不敵な笑みを見せながら言う。
「意地の悪いことを言うな! ぱんつをズラして挿入するがよい!」
くっ!
もはや準備万端ということか!
「ユーシャよ、お前もわかっているのだろ? ぱんつレスリングなど、ただの前戯ではないか!」
ちょ……おまっ!
あーあ、言っちゃったよ、こいつ……
お前、そこは嘘でも、ぱんつレスリングやりたいとか言えよ!
言いだしっぺなんだから……
いや、散々のホモ発言でバレバレだったけどさぁ……
「さあ、ひと思いにブスリと!」
くっそ!
こいつ、ストレート過ぎて、いっそ清々しいわ!
そして、その時だった……
バキッ!
木の枝の折れる音が聞こえて、音のした方向にゆっくりと振り返る……
そこにいたのは……
クレアさんだった。
「あわわ……あわあわ……」
クレアさんはバリアの外で、後ずさりしながら慌てふためいていた!
あ……よく見ると、
マールさん達三人とも起き上がって、バリアの外から俺達のことを観戦している。
クレアさんはドン引きだが、その横では、ターニアが顔を赤らめながら、真剣な表情でこちらを見ている。
何やら、興奮しているようだが……
そういう趣味か、こいつ……
そして、マールさんが……養豚場の豚でも見るかのような冷やかな目でこちらを見ている……
うぅ……ビクンビクン!
もうやめて! 俺のライフポイントはとっくにゼロよ!
やめてくれ、な、萎える……
そして、そう思ってしまったら、もうダメだった。
「あー……」
途端に、聖剣からの光はみるみる弱くなり、股間の方もへにゃりとし始める……
ダメだ、こんなんじゃあ勝てない!
レッドドラゴンに勝つには、堅さと力強さを取り戻さないと!
ちらりと、レッドドラゴンの方を向くと、やつは鼻歌を歌いながら、尻を突き出している。
その視線はこっちを向いていない。
くそぉ……こうなったら!
奥の手だ!
丁度、『ネタ』が起きている!
「クレアさん!」
「えっ! は、はい!」
俺が、突然クレアさんの名前を呼ぶと、クレアさんから緊張した感じの返事が返って来た。
「いつぞやの時は、ありがとうございます!」
「はい? 何がですか?」
「あの時……クレアさんが俺のぱんつを被ってくれた時の、クレアさんの感想は……クレアさんの純粋さが出ていて、とても興奮しました!」
「なっ!」
俺の告白に、クレアさんは顔を赤らめる!
よし! その表情いただき!
興奮を取り戻して、俺の聖剣が堅さを取り戻す……
「次、ターニア!」
「な、なに?」
俺が名前を呼ぶと、ターニアはやや警戒した感じの返事をする。
「正直に言うよ! びっくりするほどユートピアで、バンバン尻を叩いている時のお前! 叩く度に尻が揺れて最高にエロかった!」
「な、な、なっ!」
ふぅ……
最高だぜ、ターニア! その赤らめた顔!
俺の聖剣から伸びる光は、より一層輝きはじめる!
さあ、いよいよメインディッシュだ……
「最後に、マールさん!」
「なんだ?」
俺がマールさんの名前を呼ぶと、マールさんは気持ちの悪いものを見るかのような表情を俺に投げかけた。
「いつも、大きなおっぱいを見せていただいて、ネタ提供ありがとうございます! 毎晩オカズにしてました!」
「お、お前! 何言ってやがるっ!」
マールさんは、さっと腕で胸を隠す。
「それと、カンチョーの時はすみませんでした! でも、お陰でしばらく、あの時の指の匂いを思い出すことで、しばらくオカズに困らなそうです!」
「忘れろ! そして、しね!」
マールさんは顔を真っ赤にして怒って、そこらにある木の枝やら剣やら盾やら俺に向かって投げつけて来る。
いや、もちろん、バリアに阻まれて俺まで届かないんだけど。
「あ……」
ふっ、と俺の鼻先に、マールさんの尻の匂いが漂ってきたように感じた……
俺の股間の聖剣は、これまでにないぐらい強く! そして雄々しく!
最高の状態になっていた!
ああ、やっぱ、女子の直接の反応があると、捗るわぁ……
あるとないとじゃ大違いだよ!
ちなみに言っておくが、スイーツはオカズにしない。
いかに中身がアレとは言え、神聖な沙織先輩の姿形をしたスイーツを、イメージの中でとは言え汚すことは、女神と同格の存在である沙織先輩を冒涜しているようで、俺にはできない。
「さあ……完成だ!」
こうして今、まさに、ここに!
最強の……いや、凶悪の『凶』を書いて『最凶』の光の聖剣が誕生した!
「だが……」
俺は固唾を呑む……
小さく溜め息……
29年間守り続けて来た童貞が……
こんな形で終わりを迎えるとは……
やりきれない気持ちでいっぱいだ……
「本当だったら……」
本当だったら、俺、
初めての相手は……
「おにゃのこが良かった……」
俺は目の端に涙を浮かべながら……
拳を堅く握りながら……
レッドドラゴンを!
その尻を!
そのふんどしの、尻の穴があると思われる部分を!
激しく憎悪の眼差しで睨みつけた!
全部……
全部、てめえのせいだ!
レッドドラゴン!
「お前は、俺を怒らせたぁぁぁああああああああ!」
俺は、右手で光の聖剣を支えながら、レッドドラゴンの尻向かって飛びかかった!
作者「もうちょっとだけ続くんじゃ!」
作者「いやあ、更新遅れてしまいました、ごめんなさい! もうラストなので盛り上げようと書きまくっていたら、時間かかってしまいました」
作者「最近『新約・剣の街の異邦人』を買ってやってます! やっぱ俺、Wizライクゲーム好きだなあ……」
スイーツ「いや、どう考えても、それのせいでしょ、更新遅れた理由……」




