26枚目 れっど・どらごん
辺りは静まり返っていた。
夜の間に冷えた空気が辺りに漂っている。
ところどころで、霧のようなものが木々から出ているようで、暗い森の中に一種の神秘的なベールをかけていた。
俺達は、赤い光の柱を目指して行軍していた。
モンスターは時折見かけるものの、このメンバーの敵ではなかった。
まあ、もともと初心者冒険者がよく利用する森だからな、モンスターも大したことないのだ。
それでも油断は禁物ということで、戦闘が終わる度に、俺達は各人の体調を確認し、時には回復魔法をかけて、万全の状態で進んだ。
そうして、光の柱の近くまで来た時……森に入ってから何回目かの戦闘の後、俺は皆に提案をした。
「今のうちに、全員に渡しておこうと思う」
全員の視線が集まったことを確認した上で、俺はリュックの中から、白い布切れを3つ取り出した。
「これは……ぱんつか……」
マールさんが、布を広げてまじまじと見た後に呟いた。
「ああ、俺のはいたぱんつだ、存分に使ってくれ」
俺は頷いて言った。
ともすれば、セクハラになりかねない発言だが、この場には、これをセクハラ発言と捉える人間はいない。
全員が、俺のぱんつで能力が強化されることを知っているのだから。
「もっと言い方ってものがあるだろ……」
「知らない人に言ったらセクハラ発言ですよ、それ……」
「最悪……」
ねえ? 聞いていい?
何でこの子達は、こうやってイチイチ俺の恰好良いシーンを台無しにすんの?
何でそうやって俺の心を抉るの?
異世界テンプレ展開なら、女の子たちから「きゃー流石勇者さま! だいてー!」とか言われても良いようなシーンなんだが!
お前ら、女なら俺に惚れろよぉ!
「ともあれ、これは、ありがたく使わせてもらおう……」
「なるべくなら使いたくはないですけどね……うっ、相変わらず凄い臭い……」
「あら、そう言うなら、私にシスター・クレアの分ちょうだいよ?」
「え゛、ターニアさん欲しいんですか?」
「うん。ここだけの話だけど、どうもこのぱんつを被っている間は、胸が大……」
女三人で、何か好き勝手言ってるなぁ……
しかし、これで残り3枚か……
何とか使い切る前に、目的を果たせるといいが……
「ところで、ここまで来て聞くのもアレだけど……このぱんつを使ったら、レッドドラゴンに勝てると思いますか?」
俺がそう尋ねると、マールさんが腕組みをしながら答える。
「やってみないことにはわからんが、厳しいだろうな……相手はAランク冒険者でも討伐できるかどうかだからな……」
やっぱり厳しいか……
ぱんつの力を過信したつもりは無かったが、俺達が手を出すレベルじゃないみたいだ。
だが、それでも……俺は……
「それじゃあ、倒せないでいいから、せめてやっておきたいことがあるんですが……作戦を提案していいですか?」
俺は、真剣な表情でそう言った。
・・・・・・
「来たか……」
森の中の、広くなっているところに、レッドドラゴンは、腹ばいになっ横たわっていた。
赤い光の柱は、レッドドラゴンの背中から天向かって真っすぐに伸びている。
「何だ、余計な者が多いな……」
レッドドラゴンは、俺達を一瞥すると、すごくつまらなそうにする。
「女は嫌いだ……臭くて敵わん」
そう言いながらレッドドラゴンは後ろ足で立ち上がる。
それと同時に、赤い光の柱は、ふっと消え失せる。
「我はユーシャ一人で良かったのだがな……まあよい」
「おい!」
俺が皆より一歩前に出て言う。
「レッドドラゴン! スイーツは……精霊はどこだ?」
俺の問いかけに、横で聞いていたマールさん以下三人は「精霊?」と言っているが、振り向かない。
悪いが、色々ややこしい事情があるから説明は勘弁してもらおう。
レッドドラトンはというと……「ククク……」と含み笑いをしていた。
「そこだ……」
俺がレッドドラゴンの視線を辿ると、そこには人の大きさ程の土の塊があった。
「こ、これが、スイーツ?」
「ギャーギャー喚いて煩かったのでな、固めてやったわ」
「き、貴様!」
俺は剣を抜き放つと、レッドドラゴンに向かって剣を構える!
だが、当のレッドドラゴンは、ふんと鼻を鳴らして笑うと、
「安心しろ。その程度のことで精霊は、しなん……どれ、解放してやろう……」
レッドドラゴンはそう言うと、ふぅっと息を吐いた。
レッドドラゴンの息が、すぅーっと駆け抜け、土の塊に当たる。
すると……
土の塊はボロボロと崩れ出し……
中から、黒髪ロングの少女が現れた。
スイーツだ!
「ユータ!」
スイーツが俺の胸に飛びこんで来た。
「よかった……ユータ……来てくれて! 私、貴方のことだから、てっきり来てくれないんじゃないかって思って……うぅ……」
そう言いながら、スイーツは俺の胸で涙ぐむ?
な、なんだ、これ?
か、かわいいじゃないか……
お前、本当にスイーツなのか?
おかしい……おかしいよ! こんなの絶対おかしいよ!
スイーツはもっと嫌味で……
隙あらば俺の悪口をガラケーで告げ口して……
「や、やめろよ! 沙織先輩の姿で抱きつくなって!」
顔が熱くなっていくような感じがした。
あれ? もしかして、俺、顔真っ赤になっちゃってる?
くっ! スイーツごとき性悪女にときめくとか、何たる不覚!
「ユータさん?」
シスターが心配そうに、こちらを覗く。
よく見ると、他の二人も、何だか引いてるような顔をして……
あ、そっか。
精霊が見えない人から見たら、今の俺は、独り芝居をしているようで、頭の心配するわな……
「だ、大丈夫です。俺の大事なものは確保しました!」
大事なものと聞いて、スイーツが何やら複雑な顔をして顔を伏せた。
ちょ……何でお前はさっきからそういう反応を……
いかんいかん!
そんなことやってるバヤイじゃない!
俺は頭を横にぶんぶん振ると、大きな声をあげる!
「なので、皆、やるぞ!」
「「「了解」」」
俺の合図に呼応するかのように、全員がぱんつを頭に被る!
さあ、ここからが本番だ!
俺達のその姿は圧巻だった。
4人が4人とも、各々男物のぱんつを頭か被って臨戦態勢に入っている……
どう見ても変態集団です、本当にありがとうございました。
「燃えろよ炎! ファイア!」
まず、仕掛けたのはターニアだった。
彼女は、50センチくらいはある炎の塊を作り出すと、それをレッドドラゴンに向けて放った!
ゴオオオォォォォォ!
「ククク……効かんわぁ!」
勢いよく魔法の炎は当たるが、レッドドラゴンはまるでどうじない……
やはり火を吐くドラゴンに、炎の魔法は効果ないのか?
「やっぱり、ユータのぱんつ凄いわ! こんなに大きくなってる!」
言いながら、ターニアは自分の胸を誇らしげにさすった。
って! そっちかよ!
って? 大きくなって……る……のか?
俺にはよくわからんが……どう見ても平坦にしか……
いや、本人が言っているのだから、大きくなってるんだろうな。
「あ、あと、魔法の威力が段違いよ!」
とって付けたように言わんでいい!
いいから真面目にやれ!
「よし! ならば、私も試してやるっ!」
そう言って、今度はマールさんが地を駆ける!
「ちぇすとぉっ!」
キレイにジャンプ!
そして、大上段に構えた剣を一気に振り下ろす!
ザシュッ!
「グアアアァァァ!」
レッドドラゴンの肌に深々と傷跡を残した!
おお、すげえ!
マールさんも、ぱんつの力でパワーアップしてるみたいだな!
よぉーし! 俺も!
「こしゃくな! 食らえっ!」
レッドドラゴンは大きく息を吸った!
やばい!
RPGのお約束からいくと、これ、炎の息が来るぞ!
「みんな、炎の息が来るぞ!」
「皆さん! 私の後ろへ!」
シスター・クレアがそう叫び、皆がシスターの後ろに下がる!
「風よ! 悪しき炎を吹き返せ! ウィンド・カーテン!」
だが、既にレッドドラゴンはブレスの予備動作を終えて……
ゴオオオォォォォォッ!
レッドドラゴンの炎が、俺達に襲いかかる!
だが……
「な、なにぃ!」
レッドドラゴンの驚愕の声が辺りに響く!
俺達に襲いかかるはずだった炎は……クレアさんのつくり出した魔法障壁によって押し返される!
「グオオオオォォォ!」
物凄い炎の突風を喰らって、レッドドラゴンは仰向けになる。
「今だ!」
俺は、リュックから素早く小樽を取り出すと、そのフタを開け……
倒れたレッドドラゴンに飛びかかった!
「くらえっ!」
バシャアッ!
俺は、露わになったレッドドラゴンの股間に聖水をぶっかけた!
レッドドラゴンの股間にあった丸文字で書かれた「めがみ」の字を……
洗い流した!
「ああん! 冷たっ!」
レッドドラゴンが妙な声を上げた!
「やった! 成功だ!」
「え? じゃあ……」
ターニアが言いかける。
俺は全員の方を向いて頷く!
「退避する!」
その時、ふと俺の頭に、スイーツのガラケーで見た女神様の文章が浮かんで来た。
『神力は、水で洗い流せるでしょうが、レッドドラゴンを倒すことをオススメします』
そういえば、あれはどういう意味だったんだ?
倒す方が良いって、それじゃあまるで……
ん?
あれ?
もしかして……もしかしてだが……
レッドドラゴンに水をかけちゃあマズイって意味じゃあ……
「フハハハハハ! 我、復活!」
レッドドラゴンの声のする方を振り向く……
「え……何だよ……あれ……」
そこには、赤い髪をした筋骨隆々のマッチョマンがいた!
作者「投稿遅れてごめんなさい。どうもこれから先、プライベートが忙しいため遅れがちになってしまいそうです。ご迷惑おかけします」
作者「9月25日、プロローグ部分書き直してUP致しました。これでブックマークずれた方もいるかと思いますが、重ね重ねごめんなさい!」
作者「いやあ、まいった、まいった……」
クレア「ああ、作者さん、復帰されたんですね? あの……お尻の方は大丈夫ですか?」
作者「え? 何ですか? お尻って?」
クレア「いえ、前回ここに来られなかったじゃないですか? マールさんに訊いたら、屈強な男達をけし掛けたと仰ってたので、てっきり……」
作者「ああ、あれね。いやぁ、リアルが忙しくなっちゃって、あとがき空間にさえ来られなくなっちゃって……」
作者「そしたら、マールさんが何かあとがき始めちゃってたから、これ幸いと思って任せて帰っちゃったわけですよ!」
クレア「ああ、そうだったんですか! マールさんが仕返し完了って大喜びしていたので……」
作者「仕返し? いやぁ、そもそもこの空間には、俺が認めた人しか入れないので、そんな暴漢来ませんよ……マールさん、そんなに嬉しそうにしてました?」
クレア「ええ。戻って来た後も、しばらく思い出し笑いをしてました……」
作者「真面目な人だからなぁ……この間のカンチョーのお詫びに、何かプレゼントでもしようかな?」
クレア「そうしてあげて下さい。彼女、結構傷ついていたみたいなので……」
作者「うーん、そっか……お! じゃあ、痔によく効くというボ●ギノールをプレゼントするというのはどうでしょうか!」
マール「しね」
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作者「9月26日、気が付いたらブクマして下さった人増えました! ありがとうございます!」




