20枚目 おにゃのこの、むね
作者「ちょっと長くなってしまいました。ごめんなさい」
「昨日、あんたからユートピア体操の話聞いてから、一日中ずっとそればっかりやっていたんだけど……」
「最初は半信半疑でしたけどね」
「何かこう……胸に力がたまってくる感じがあった……」
ちょうど、俺がマールさんに剣の訓練を受けて、ヒイヒイ言ってた頃か。
んで、この子達は、尻をバンバン叩きながら、びっくりするほどユートピアと大きな声で叫んでいたと……
ふーむ、対比がすごい。
「最初は変化は微々たるもので、わからなかった……でも」
「そうそう! お昼過ぎ頃だったかな? あれ……って思って、測ってみたら!」
「我々は勝ち組になった!」
イータがドヤ顔で胸を張る。
まあ、変わったと思っているのは本人達だけで、俺からみればドングリのせい比べなんだがな……
いや、この場合は、ドングリというよりバキュラとかヌリカベと言った方が……
「ちょっと! 何よ、勝ち組とか負け組とか? その言い方じゃあ、まるで私が負け組みたいじゃない!」
「違うんですか?」
「ち……違わないけど……くっ!」
ターニアは悔しそうに顔を歪ませた。
「一所懸命やったのよ! なのに!」
「何故か、姉御だけ効果が現れなかったの」
「なるほど」
で、彼女達は、俺がユートピアの説明の時言った「恥ずかしさを感じれば感じるほど効果的だ」という話を真に受けて、ターニアのために、人の多いところで『びっくりするほどユートピア』をやることにした。
それで、人通りの多い、この商店街まで来たが……
「でも、ここに着いた途端、姉御がやめるって言い出して……」
「有言不実行……」
「だって! こんな人前で恥ずかしいじゃない!」
「もう、だから、効果があるんじゃないですかぁ! ねえ? ぱんつ魔!」
「え……あ、えーと……その……」
返答に困る。
そもそも、適当に言ったことだったので、効果があったことの方が驚きなんだが……
「とにかく、私は恥ずかしいから、そんなバカみたいなことはしない!」
「いや、その恥ずかしいのを堪えるからこそ……」
「やらないって言ったら、絶対やらない!」
頑としてそう言っているターニアを見て、マナとイータは、両方の手のひらを上に向け、肩をすくめて見せた。
そして、そのポーズが、余計に火に油を注いだのだろう……
ターニアは「ムキーッ!」とか言って、
「あんたなら、他の方法知ってるでしょ! 教えなさいよ、貧乳を改善する方法!」
俺を指さして、そう叫んだ。
「もし改善したら、何でもしてあげるから!」
「ん? 今、何でもするって言った?」
俺が聞き返すと、ターニアは一瞬、ビクッと体を震わせる。
「え……う、うん……」
それから、何やら顔を赤らめてブツブツ言ったかと思うと、一人で「うん!」と頷いて、俺に向かってこんなことを言い始める。
「い、いいわよ! 何だってやってやるわ! このスケベ!」
ああ、なるほど。
さっきのは、自問自答で覚悟を決めてたってところか。
自分から「何でもする」って言ったことについて、あれこれ想像したのね。
ったく、そんな想像するなんて、どっちがスケベだよ……ハァ……
「あ、ごめん」
俺は、ターニアに頭を下げた。
「へ?」
「あれこれ想像して、それで覚悟したところで悪いんだけど、俺にだって選ぶ権利があるんだ……」
「は?」
「察しの悪いやつだなぁ……俺、ロリに興味ないんだ」
「ロ、ロリ……」
「お前、女だからって『何でもするから』って言えば、何でも許されるとか思うなよ! それは、女として魅力のあるボインボインのお姉さんとか言う台詞だぞ。ペターニア平原のお前に、その資格はない!」
「くぬぉ……言いたい放題! あ、あたしだってもう17歳の大人よ!」
え? その体で?
俺は、ターニアの絶壁をマジマジと見ながら驚いた。
そして、俺の視線の先に気づいたターニアは、地団太を踏んで怒った。
「キィーッ! どこまでバカにすれば気が済むの、あんたは!」
「え? だって、そのなりだと、例え『14歳です』と言われても、首を傾げてしまうくらいだぞ?」
「うわぁ……これはヒドイ」
「言い過ぎ」
マナも、イータも俺を非難するような目で見ている。
はあ?
本当のことを言って、何が悪いんだ?
「大体、あんた! さっきの『何でもする』っていう言葉だって、私が……この私が、どんな恥ずかしい思いをして言ったかと!」
「そんなこと言ってもなぁ……見返りが絶壁じゃなぁ……」
俺がそう言った時、
ぷつん……
空耳だろうか?
何か、糸のようなものが切れる音が聞こえた気がした……
「あんたさぁ……忘れてない?」
「は?」
「ユートピア体操で、この子らは、自分達がバストアップしたものだから、浮かれて忘れてるかもしれないけど、私は忘れてないのよねぇ……」
「だから何が?」
そして、ターニアは、ゆらりと動く。
その表情は、目が笑ってないのに、口元は妙に歪んで笑って見えた。
「ん~ふっふっふ、マールがぁ、あんたのぱんつに拘ってたこと……私は忘れてないわ……」
「おい……まさか?」
「ねえ、試してもいい?」
言って、ターニアは両手をわきわきさせながら、じりじりと近寄って来る。
「え……ちょ……待て! 話し合おう!」
「もう話し合いはいいわ……あんたは、私が『何でもする』って言ったのを無下にしたのよ……」
「待て! いいのか? 俺のぱんつを脱がすと、もれなくその中身である、ちんち……」
「もうこうなったら覚悟の上よ!」
ばっとターニアが地面を蹴って、飛びかかって来た!
そして、俺のズボンを掴みかかる!
「ごらぁ! ぱんつ寄こせえぇぇぇ!」
「ちょ……やだ! こんな人が見ているところで!」
既に「何だ何だ」とばかりに周りに人が集まって来ていた。
うおぉ! こんなところで剥かれたら堪らないぞ!
人前で、俺の息子が社会デビューしてしまう!
「往生際が悪いわよ! 男のくせにぃ!」
「下半身剥かれるんだぞ! こんなん、男とか関係ねえだろ!」
「うるっさい!」
俺は必死に抵抗した。
俺のズボンをひん剥こうとするターニアの手を、必死にはがそうと掴んだ!
「ええい! これならどう? ふぅ……」
ターニアが、俺の耳元に息をふぅ~って吹きかけて来た!
はぅ……力抜ける……
って、糞ぉ……変な小細工、やめろって!
「ギブギブ! わかった! わかったから!」
「何がよ!」
「俺が知っている限りの、貧乳改善の方法を教えるから勘弁してくれ!」
俺が力の限りそう言うと、ターニアはやっとズボンから手を離した。
「おお~」
「いいぞ、姉ちゃん!」
「最近のオナゴは強いのう……」
同時に、集まっていた聴衆からパチパチと、まばらな拍手が起こる。
見世物じゃねーよ、バカ野郎ども……
しかし、負けた。
女の根性を甘く見てた。
元冒険者のマールさんならともかく、こんなロリっ子のターニアにまで負けてしまうとは……
情けないやら、悲しいやらだ……
はぁ~あ……こっちはレッドドラゴン対策で時間ないんだけどなあ……
でもまあ、とりあえず水で流せばいいと女神様は言ってるし、そのための聖水は確保してあるから、とりあえずは大丈夫か。
仕方ない。
「でも、ぱんつは最終手段にしよう……これはお互い、失うものが多い……」
「はあ? 何言ってんの?」
「いや、お前も、好き好んで俺のぱんつ被りたくないだろ?」
「へ? 何で、あんたの臭そうなぱんつ被らなきゃいけないの?」
「はい?」
そこで少し考える。
あ、そっか。
こいつ知らないのか。
冷静に考えてみれば、こいつは『俺のぱんつが貧乳に効果ありそう』と思っているだけで、その使用方法については、聞かされてないんだ。
そりゃあ、普通思いつくわけないか、ぱんつを被れば能力が高まるなんてこと……
ん?
おい待て。
じゃあ、わからないけど、とりあえず脱がそうとしてたってことか……
何という痴女……
こんなロリっ子じゃなければ、嬉しいシチュエーションなんだが……
ま、まあ、いいや。
じゃあ、教えてやるか……
「俺のぱんつはさあ……被らないと効果がないんだ」
「え? マジ?」
「うん、マジ」
「マールもそれ知ってるの?」
「知ってるよ。知っている上で、俺のぱんつを無理やり脱がそうとして来たんだぜ……」
「むぅ……なるほど……」
ターニアは、しばらく考え込んでいたが……最後には納得した。
「OK! わかったわ、ぱんつは最後にしましょう。私だって、あんたの臭そうなぱんつ、できれば被りたくないし……ていうか、その話を知っていれば、さっきみたいに無理やり奪おうなんてマネしなかったのに……」
何か急に、恥ずかしそうに両手の人差し指どうしくっ付けたり離したりしてモジモジしてるんだが……
でも、今更ブツブツ言っても、ぱんつを剥こうとしたお前はもう痴女だ。
少なくとも、俺の中ではな。
しかし、安請け合いしてしまったが、はっきり言って俺の貧乳対策の知識なんてほとんどない。
以前から知っていた知識は、昨日、こいつらに『びっくりするほどユートピア』を教える前に、出尽くしてしまった。
ああ! こんなことなら、異世界にスマホを持って来れるよう、女神様に頼めばよかった!
スマホで検索すれば、貧乳の知識なんていくらでも出て来るだろうに!
そうだよ。
考えてみれば、ホントそれ。
スマホがあれば、レッドドラゴン対策だってさあ……
「で、あんたは何を教えてくれるわけ?」
ターニアが、期待するような表情で尋ねてきた。
ああ、そうだった。
話が逸れるところだった。
「うーん、そうだなあ……」
でも、びっくりするほどユートピアが貧乳に効果があるような、非常識な、この世界の女どもだ、真面目に考えても仕方ないかもしれん。
じゃあ、適当にそれらしいこと考えて誤魔化すか。
どうせ長く付き合っていくわけでもないし。
しかし、改めて考えてみると、何で、マナ・イータは、びっくりするほどユートピアが有効だったんだろう?
こじつけの説明だったけど、本当にユートピアで女性ホルモンが活性化されたのか?
だとすると、女性ホルモンが活性化されるようなことをすればいいのか?
うーん、それじゃあ……
「とりあえず、デートでもしてみるか?」
「はあ?」
「いや、女性ホルモンが活性化されるために、デートで自分が女ということを意識すればいいんじゃないかな、と思って」
で、「別に俺とじゃなくてもええんやで?」と言おうと思っていた。
デートが目的であって、俺がデートをしたいわけではないからな。
どっかのイケメン冒険者にでも頼んで、そいつにデートは任せて、俺はさっさといなくなろう……そう思ってた。
「わかったわ! あんたとデートしてあげる!」
「は? いや、あのな、別に俺と……」
「あーあー、わかってるから! きっと、その女性ほるもんってのは、嫌なことをすればするほど、活性化されるんでしょ?」
「はい?」
「ユートピア体操とか、まさにそれだものね! あんな恥ずかしいことを大勢の前でやるとか信じられない!」
何を勘違いしてるんでしょうね、この子は……
「そして、気持ち悪いあんたとデートするなんて、ホントありえない!」
「おい……」
容姿のことは言うなよ。
マジで傷つくから。
こう見えて俺はピュアハートなんだぞ?
「でも、ユートピア体操よりはマシ! だから、あんたとデートしてあげるってわけ! この私が! あんたのような豚とデートしてあげるっていうんだから、ありがたく思いなさい!」
うわぁ……何この、デレのないツンデレ。
ツンツンとでも言うのか?
いや、そもそも、ツンデレは、俺の趣味じゃないし。
ノーセンキューなんだが。
「ほら、早く始めましょ!」
そう言って、ターニアは、無い胸を俺の腕に押し付けるようにして、腕を組んで来た。
いわゆる、これが「当ててるのよ」というやつだろうか?
まあ、腕組みというには、体格差のせいで、体の大きい俺の腕を小さなターニアが体全体で抱えているといった感じだったが……
大体、貧乳娘に胸を押し付けられたって……何が楽し……
「あ……れ?」
ちょっと思った。
貧乳って言っても、女の子の胸って柔らかくって……
触れていると、何かドキドキして……幸せな気分になって……
気がつくと、俺の股間の聖剣は、次第に自己主張をし始めていた……
作者「うおお! クレアさん! 酷いじゃないですか!」
クレア「え……藪から棒に、何ですか?」
作者「いくら『しあわせもの』で『運の良さ』が高いからって、ザラキとかバシルーラとか使い過ぎですよ! 少しは自重して下さい!」
クレア「あの……それ、ゲームの話ですよね?」
作者「そうですよ! 何言ってるんですか?」
クレア「それ、私の台詞なんですが? ゲームのキャラの行動まで責任もてません……というか、本当に『しあわせもの』の僧侶つくってたんですね……」
作者「そうですよ! しかも、『運の良さ』が高いからか、意外にザラキとかバシルーラとか成功するし!」
作者「ちなみに、ターニアはイオナズンばかり唱えてすぐMPキレするし、マールさんは戦士なのに魔法の出る道具ばかり使って、攻撃してくれません! 何だ、このパーティ! 既に学級崩壊してんじゃん!」
クレア「ごめんなさい……何か胃が痛くなって来ました……」




