11枚目 くさい、ここちよい
「では、我らの健闘を祈って、乾杯!」
俺は、ビッグヴァイパーに咬まれた男達の酒盛りに参加していた。
やつらのパーティの名は『漆黒の盾』。
パーティの誰一人、盾を所有してないのに、この名前なのは、何やら理由があるそうだが、正直興味ないんで聞いてなかった。何か、伝説の黒い盾を追い求めてどうとか話をしていたけど。
で、適当に相槌いれてただけなんだが、それで意気投合というか、何か話の流れで、酒盛りにご一緒することになった。
俺、酒盛りとか、ヒッキー長かったし、あんま慣れてないんだけどなあ……
押し切られて、どうしても断り切れなかった。
「自己紹介がまだだったな。俺は『漆黒の盾』のリーダー、マック。そして、あの時教会に行ってたコイツが『漆黒の盾』のメインアタッカー、サック。それで、毒にかかっていたのがジャックだ!」
「よろしくな!」
「おい、俺だけ紹介、雑じゃね? 何だよ、毒にかかってたって……」
おいおい、大丈夫だよ、毒の人。
俺、初めからお前らのこと覚える気ないから。
お前ら、モブ男で十分だし。
で、この『漆黒のモブ』達、最近メキメキと実力を上げていて、そろそろ中級の狩り場に挑もうとして、そこで想定外のビッグヴァイパーに遭遇したんだそうだ。ビッグヴァイパーは上級レベルのモンスターで、この辺に現れるのは珍しいらしい。
「ビッグヴァイパーは本当に驚いたな! 上級冒険者も手こずるモンスターだぜ? 何でいるんだよ、って思ったわ」
「だな。どうもこのところ、モンスターが活発化している気がする……」
「俺も思った。例のドラゴン級災害の件も結局、原因不明のままだしな……」
うん、その話はやめよう……
そのドラゴン級をやらかした人も十分反省してると思うよ……
「しかし、お前が噂の『ぱんつ魔』だったのか! もっといかついやつを想像してたぜ!」
おい、やめろ。
それを二つ名みたいに言うな……マジでやめろ。
「聞いたぞ! あの鬼女マールに、ぱんつ被りを強要したそうじゃねえか!」
「い、いや……あれはそういうつもりじゃあ……」
「謙遜すんなよ! お前、男達の間じゃあ英雄みたいに思われてんぞ! あの鬼女に挑むなんて勇気のあるやつだって!」
その後で「もっとも、女どもからの評判は最悪だけどな!」と大笑いで付け足される。
落ちをつけてんじゃねーよ……
「そういや、女と言えば、お前、知ってるか? 『暗黒の淑女会』……」
なんだ、その厨二病的なネーミングの集団。
メンバー全員、眼帯でもしてんのか?
あ、いや、違うか。
邪気眼は男特有のもので、女は別にあったな……
たしか、女の場合は右手に包帯とか巻いて、突然痛みだしたりするんだっけ?
そうそう、包帯を外すと、呪術のような奇妙な文様が腕びっしりと書いてあるんだ……油性マジックで。
あー……数年前ネットで見ただけだから、よく覚えてねえや。
「暗黒の淑女会ってえのは、女魔法使いの集団なんだが……お前、間違っても、あいつらには手を出すなよ? ぱんつ魔として、女にぱんつ被らせたいかもしれんが、アレだけはやめておけ……」
変なアドバイスだ。
そもそも、ぱんつ被らせたりしねえよ……
被らせるより、被りたいだろ……普通は。
「以前、知り合いの冒険者で、暗黒の淑女会の女にナンパ目的でちょっかい出したやつがいるんだが……そいつは、返り討ちにあって、その方法がやばかった……」
聞いてみると、言葉にするのも憚られるようなことを、男のシンボルにやろうとしたらしい。
結局、他の冒険者達に止められて未遂に終わったらしいが……
うげえ……マジかよ……
聞いていて背筋に寒気がした。
オークに対するマールさんの件と言い、この暗黒の淑女会といい、どうしてこの世界の女どもは、男の股間に『何か』したがるんだよ……
まあ、そんな感じに酒盛りは進んだ。
初めは半ば嫌々だったが、話してみると『漆黒のモブ』達も案外良いやつらで楽しかった。
何かいい具合に酔っぱらってしまって、酒は呑み慣れてないのに、ジャブジャブ勧められてガブガブ呑んだ。
・・・・・・
で、大分呑んでしまったようで、途中から記憶がない。
気がつくと俺は、見知らぬ部屋で、一人で寝ていた。
もう朝なんだろう。
窓から日差しが入り込んでいた。
あの漆黒の何とかが、介抱してくれたのか?
その割りには、やつらの姿は見当たらないが……
状況を確認するため起き上がろうとして……
「うっぷ……気持ち悪い……」
多分、二日酔いというやつだ。
前世を含めて初めての体験だった。
てか、やべえ、立てねえ……立つと吐いてしまいそうだ……
どうしたものか?
その時、頭の中で、ある考えが閃いた。
「ぱんつ被ればいいんじゃね?」
昨日の、漆黒のモブの毒の人が、俺のぱんつを傷口にあてて毒を癒したように、今、ぱんつを被れば、気持ち悪いの抜けるんじゃね?
そう思ったのだ。単純に。
善は急げだ。
早速、鞄の中を漁る。
「えーと、ぱんつぱんつ……」
酔い止めを探す感覚でぱんつを探すと、ストックしておいた使用済みぱんつが二枚あった。
俺は、そのうち一枚をフルフェイス型に被ると、深呼吸する。
すーはーすーはー……うえ、げほげほ……
不思議な感じだった。
相変わらず吐きそうな臭いしてんのに、嗅げば嗅ぐ程すうっと吐き気が抜けていくようで心地よい……
何か、臭い臭いと言いながら、必死でぱんつを嗅ぎまくってる俺。
今の俺の状況、絶対他人には見せられないな……
「ああ……助かったあ……」
そのまま、どたんと後ろから藁に倒れ込み……そして、二度寝に就く。
後で考えてみれば、その時の俺は本当に軽率だった。
色々おかしいと思わなかったのか?
一体、ここはどこなのか?
介抱してくれたというなら、誰なのか?
もしも俺に過去に戻る能力があったら、言いたいことは色々あるが、一番言うべきことは決まってる……
お前、自分のぱんつをアイマスク代わりにすんの、今すぐやめろ!
間に合わなくなっても知らんぞ!
・・・・・・
どれぐらいの時間がしたのか、しばらくして俺は、再び目覚めた。
目覚めた俺は、ぱんつを被ってるのに気付く。
「あれ? いつの間に……って、ああ、そういや、酔って、ぱんつ被って……それから……」
そこまで言ってから、ふと何気なく周りを見る……
心臓が跳ね上がるぐらいビックリした。
その部屋に、俺以外の人間がいたのだ。
「ユータさん……目が覚めました?」
ベッド脇のイスから立ち上がる、屈託のない微笑みをこちらに向けた女性……シスター・クレアがそこにいた……
作者「某ドラクエ11の話なんですけど……」
クレア「はい? ていうか、その『某』は意味をなしてないですよね?」
作者「例の人物の石像、つくる時に何か論争があったんじゃないか、と思うのですよ……」
クレア「何の話ですか?」
作者「その人物はミニスカ女性なんですが、石像を制作する時、スカートの中をつくるかつくらないかで、制作陣の間でモメたと思うんですよ。なまじ中ををつくってしまうと、ぱんつ見えた時に何かマヌケな人物に見えるし、かと言ってつくらないと、史実に反する……きっと大論争があったはず!」
クレア「あの……すごく、どうでもいいです……」
作者「重要なことですよ、ぱんつはこの作品のタイトルであり、命題なんですから。あ、ちなみに、本作品のクレアさんは、ぱんつ穿いていません」
クレア「誤解を招く言い方は止めて下さい! 教義で下着はつけていませんが、ちゃんとスカートの下にズボン等をはいてますから……」




