お盆ベンガラ
太陽が水を蒸発して
アスファルト一面
サウナドーム
四角い箱の中は
冷風が屯して
涼しさが通り過ぎ
一枚の氷羽織るみたいに
後はブルブル震えている
戴けない温度管理
喉が痛いのもそのせいだ
世界一働き者の扉が開いて
熱を帯びた揺らめきを
遠くと近くの間で
見つめながらハンドタオル
忙しい世の中に
入道雲の形も困っている
夕方の四時を過ぎて尚
「暑いです」って
主張されると
確かに暑苦しかった
僕より働いた太陽が
「また明日」を約束して
海の風呂にゆっくり浸かる
少しづつ虫の音
それだけが救いではないけど
それがある事の違いは
高い楽器と同じだ
家路を急ぐ必要は無いけれど
いつもより急ぐのは
僕の人としての水分が
残り少ないからだった
夜空を見上げて
大人の炭酸水
流れるのは夜の汗
早めに沈む半分の赤い月
日焼けしたからかもしれない
蚊取り線香の煙と
服に付いた線香の香り
何かが来て
何かが居なくなる時期
大切だったモノが
年々褪せていくけど
この日があるから
また強く残るのかもしれない
もしくは
消えていくのを
鈍らせているのかもしれない
いつもより
大きな笑い声が聞こえてくる