プロローグ:昔話
前ちょっと考えた作品を一度辞めて再構築した作品です。突拍子もなく始めたので更新とかも突拍子です。それでもという女神様のような寛大な心を持ったお方がいらっしゃったならすごく嬉しいです。
昔婆ちゃんが言ってたっけ、「まだ私が生まれるずっと前のことだねぇ。この土地を守る女神様がいてなぁ色々なことからこの土地を守ってらっしゃった。 ある年その女神様を奉るためにお寺を建てた。女神様は大層お喜びになられたんじゃ。ところがそれから数百年経ったのちに当時この土地を治めておった大名さんが他の土地の大名さんに攻められてかつてない争いが起こったんじゃ。
女神様自身は人間達の争いに直接関わることが出来なくてただただ平和だったこの土地が壊れていくのを見守るしかなかったんじゃ。そしてその破壊の矛先は女神様のお寺にも向けられとうとう跡形もなく壊されてしもうたんじゃ。」
「えっ⁈ じゃあ、女神様はどうなったの?」
「女神様は間一髪抜け出すことが出来たんじゃ。じゃが依り代となるお寺が無くなった女神様は大変お困りになられた。そこで女神様はこの土地で二度とこのような悲劇が起こらないよう、再び平和で美しい土地にするために美しい華になられたのじゃ。そうそれがあのトビカズラじゃ。よっちゃんも見たことあるじゃろ。あの花じゃよ。」
「へぇ〜、そうなんだ。でも婆ちゃん、あの華いつも萎んでて一度も華開いているとこ見たことないよ。」
「 そうだね。私も生まれて今年で89になるけどね。一度も開いてるとこ見たことないんじゃよ。私のお母さんもそのまたお母さんもと、あのトビカズラが咲いたところを見た人はいないんじゃよ。じゃが言い伝えによるとトビカズラが咲くのを見た者は女神様がなにか一つ願い事を叶えてくれるそうじゃ。 まぁ、でもこれは言い伝えじゃから本当かどうかはわからんのじゃがね。ただ、私は死ぬまでに一度でもいいからあのトビカズラが咲いて綺麗な華をつけているのを見てみたいものじゃ。」
「なんだか、不思議なお話だね。でも僕もあの華が咲くのを見てみたいなぁ。そういえばよく僕が友達と遊ぶ輝きの丘公園に建ってる女の人の銅像ってその女神様なの?」
「そうじゃよ。じゃが誰も女神様のお姿を見たことがないからわからんからあれはイメージで建てたものじゃ。もしあれがそのまんまの女神様だったら大層べっぴんさんじゃな。」
主人公が聞いた昔話。いわゆるプロローグ的な回です。次回からいよいよ話を進めていきます。なお更新頻度は遅い模様。