7話 変質者
区切りをつけたいと思って今回は字数が少ないです
「ん? 何これ」
そう言いながら彼女は、真下に落ちた紙のような物を拾おうとしゃがみこむ。その瞬間、表現出来ない何と言うか、いかにも女の子、という感じの匂いが鼻腔に入った。
こ、これが美少女の匂いか……なんか甘くて誘われるような、めちゃくちゃ良い匂いだ……ってやべえ俺今、確実に変態の思考になってた。流石盛りの高校生。自分でも恐ろしい。
「あ、ごっ、ごめん」
あれ、今日は紙なんて持ってきてないような気がするが……ってか俺の喋り方 完全にコミュ障だなおい! さすが俺!
彼女が拾った紙を見つめる。俺も前から見てみると、真っ白な面に何か書いてあった。
彼女はそこに何かが書いてあるのに気づかなかったのか、裏も見ようとする。
ハッ! 待て、これはーーこの人が写ってる写真だ! これじゃ俺がまるでストーカーみたいに……
「ちょ、待って、それはーー」
その瞬間がスローモーションに見えた。
俺がそう言った時にはもう遅かった。彼女は自分が写っている写真を見て震えていた。
「こ、これ……私だよね……?」
マ、マズイ! 完全に俺が変質者だと思ってるよこの人! どうにか誤解を解かなければ!
「ちっ、違うんだ! 俺は昨日その写真に見惚れてただけで……」
ってちがあぁああぁあああう! 俺が言いたいのはこんな事じゃないのについ! これじゃ変態以外の何者でも無いだろ! しっかりしろ俺!
彼女は頭がついてきていないのか、さっきからえ? と、ただただ連呼して、俺から少しづつ離れていく。
「いや、誤解してるみたいだけどマジで違うんだ! 話を聞いてくれ!」
焦って感情的になってしまい、彼女に近づく。すると彼女は弱々しく口を開いた。
「……たい」
「え?」
「変態だぁぁ! 助けてええぇええ!」
「ええぇええぇえええ!?」
彼女が叫ぶとクラスの皆は驚いてまた俺に視線を集める。やがてまたヒソヒソと話し始めた。
「お、おいーー」
違う。と言おうとした所で彼女が全力で廊下へ出る。その走り方から見てマジで逃げている模様だった。でも正直あんまり速くなかった。
ヤバイヤバイヤバイヤバイ! なんか逃げられたんだけど! ってか女子からすげえ軽蔑の顔で見られてるし! 高校デビュー大きく失敗しましたわ!
正直、この場からすぐさま去って家に帰りたかった。でもこのままだと俺のイラストさんという事も伝えられないし、俺に変態というレッテルを貼られてしまうので選択肢は一つしか無かった。
「ーー追いかけるか」
全く運動が出来ない体を無理矢理動かして、俺も廊下へと全力で走った。