9話 すやすや
今、少し書き方を変えようかと迷っています。段落が終わるごとに1行空白にしていますが、詰めた方がいいかな、と少し悩んでいます(´・ω・`)
「ん……」
目がパチっと開いた。ふと体を見ると、俺は仰向けになっていた。何だが病院のような独特の匂いが鼻を刺激する。
「この匂い、このベッド……保健室かな」
新しい学校の保健室は行ったことが無かったが、なんとなく分かった。
なんで俺こんな所に居るんだっけ……確かあの金髪さんを追いかけまわして、んで……そっか、階段で頭から豪快にこけてクラッシュしたんだっけ。そういえば頭がすげぇ痛い。痛すぎて触って確かめる事も出来ない。
「あの女が助けてくれたのかな……ってかアイツどこ行ったんだよ。流石に帰ってないよな…………よっこらしょ」
今日は災難だな……初日に隣の席で、俺の作品のイラストレーターで、可愛い女の子に変態扱いされ、そのうえクラスの奴らと廊下の奴らにも不審がられ、挙句の果てには床に頭からダイブして保健室行きって……俺は運が無いのかもしれない。唯一運が良いと思った時は、小説の新人賞の大賞に受賞した時くらいだ。やれやれ、神様はもっと俺に優しくしてくれないもんかね。
寝かされていた体をグイッと上げる。
「ったく、今日はついてないーーほわあぁあああ!!」
本日2度目の奇声。物音すらしない保健室に声が響いた。
誰も居ないと思っていたからおどろいて当然だろう。俺のすぐ隣でコイツが寝てたなんて普通思わない。
「はぁぁ……ビックリしたぁ……今日だけで寿命が1年ぐらい縮んだかもしれんぞ……」
俺の寝ているベッドの端に腕を組んで、寝ている彼女の口からは、透明な液ーーそう、よだれが出ていて、せっかくの顔がだらしなく見えた。
俺が起きるまで待っててくれたのかな……まぁ、あのまま話しない訳にもいかないか。
「おい、起きてくれ」
心地よく寝ている中悪いが、起こさせてもらおう。そしてとっとと話をつけて帰ろう。って、起きないし。
「ふふふ……どらやき……」
どら焼きでも食う夢見てんのか? 呑気なヤツだ。
「どんな夢見てんだよ……起きろよ。おい」
次は肩を揺すぶって、大きめの声で言うが、全く動じず、起きない。
「困ったなぁ……こうなるとアレをするしか無いんだけど……まぁしょうがないよな」
あまり乗り気では無いが、仕方が無い。方法はこれしか無いのだ。
俺は彼女の頬に手を伸ばしーー思いっきりつねった。その跡が付くぐらいに。
「いひゃい! ううう! いひゃいよお!」
涙目になりながら暴れだすその姿を見ていると、何だが面白くなってきて、失礼ながらも笑いそうになってしまった。
「お、起きたか」
「…………」
なんかすげえ睨まれてる。
「次触ったら先生呼ぶから」
「マジすいませんでした!」
コイツおっかねえええ! 容赦無いな!
「ったく、アンタのせいで学校に2時間も残るハメになったじゃない」
はぁ、と彼女がため息をつく。2時間も寝てたのか。
「んな事言われたって……ちゃんと話聞かないで逃げたのは誰だよ。後よだれ顔についてんぞ」
単刀直入に言うのはアレなのでついで程度に教えてあげる。すると、彼女は今気づいたのか、顔を穂のかに赤くし、ポケットから白く高そうなハンカチを急いで出して、口元をゴシゴシと拭いた。