表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レガリア英雄記  作者: 27サグマル
邂逅~「蒼神」再起~
52/213

騎士の一喝

 ここで時間は僅かに遡る。

 クレスが敵勢力を一掃しに駆け出した直後のこと。

「ッつ、クレス――!」

「待った!」

 後を追おうとしたマリスだが、エレンに引き止められて勢いよく振り返る。

「何するの、離して!」


「――、落ち着けッッ!!」


「ッ!?」

 エレンの大喝を受け、流石にその動きが止まる。

「今は考えなしに動いて良い事態じゃない。余計な危険を引き起こさない為にも、まずは落ち着くんだ」

 自分にも言い聞かせるように、静かに告げるエレン。

「まずは確認だ。私たちが今すべきことはなんだ?」

「……クレスを止めないと。理性を失くしてたらどうこうって言ってた後の、数日で戻るって言葉は嘘だったから」

「じゃあ、この女性はどうする?」

「……分からない。この人はエルセンに盟主って呼ばれてたから敵だけど、クレスの……大事な人、だと思う。ボクにとってこの人……クレインは敵。でも、クレスにとっては味方だし、たぶん……ボクはこの人の敵じゃない」

 マリスが考えながら途切れがちに話すのを聞いて、エレンはあっさりと口を開いた。

「なら彼女は味方だな。クレインも保護対象に入れよう」

「…………」

 内容が内容なだけに簡単には頷けないマリスには構わずエレンは話を進める。

「次に、私たちが何をすべきか決める。君は、クレスがしようとしていることの見当がついているか?」

「最後に言ってたのが『怨霊』の壊滅だし、今はこんな状況だから……片っ端から敵を倒してると思う。そうじゃない人を見分けてるかは……分からない」

 そこまで言ったところで、マリスは何かに気づいたように顔を上げて遠くを見る。

「もうここまで魔物が……!」

 そう言って矢を放ったマリスは、視線でエレンに続きを促す。

「そうだな、この場では私より君の方が戦力になりそうだ。賊を討ちながらクレスを追おう。クレインは私が背負う」

「分かった」


 そうして駆け出したマリスたちだが、クレスが先行して仕留めていたために人間を目にすることはなかった。

 ただ魔物を射抜きながら、マリスの感覚を頼りにクレスを追う。

「――気を付けて、何か降ってくる!」

 マリスの警告に少し遅れて、魔物を弾き飛ばしながら空から一つの火球が墜ちてきた。

 それは着弾地点で小さく爆発して衝撃を殺し、中から一人の騎士が姿を見せる。

「何者だ!?」

 エレンの誰何に、騎士は小さく礼を取って応えた。

「ぼくはナズエル・アコルバ。十字騎士団の一員だ。賊に囲まれていたところを、焔を纏ったバケモノに投げ飛ばされて――」

「化け物?」

 マリスの殺気にナズエルが身を強張らせるが、エレンが進み出て話を続ける。

「ナズエル殿に二つ訊きたい。あなたは今ラヴルを蹂躙している賊に与する者か?」

「もちろん、騎士の誇りにかけて否定しよう。……尤も、その誇りが今まさに裏切られている最中のようだけど」

「負傷しているなら治療しよう。私は生命魔法の心得があるから」

「……面目ない」

 ナズエルの銃創に気づいたエレンが治療を始める。

「次の質問だ。どれくらいの時間、投げられていた?」

「正直なところ、最初は呆然としていてよく分からなかったが……数分も無かったはずだ」

「そうか。……間に合わせではあるが、傷は塞がせてもらった」

(少し遠いな……)

 ナズエルが投げられた地点は、彼が飛んできた方向と時間の情報を合わせればある程度は推測できる。

「ナズエル、君はこれから――」

「う……」

 エレンがさらに言葉を続けようとしたところで、背負っていたクレインが小さく呻いた。

「クレス、君……――ッ!?」

 譫言のように呟いた直後、息を呑んでエレンの背から離れ距離を取る。

「……今の状況を教えてもらっても、良いかな?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ