表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レガリア英雄記  作者: 27サグマル
邂逅~「蒼神」再起~
2/213

出会い

軽ハーレム(男)の主登場。自己紹介は次話になります。

「おぃ姉ちゃん。そんな小奇麗な格好でココに何の用だぁ?」

「――いえ、店を間違えました。すぐに出て行きます」

「入ってきといてそれぁねぇだろう! 少しオレらと遊んでいこうぜ?」

「くっ……!」


 不穏な展開に視線をやると、白いワンピースにセミロングの金髪が映える少女が、腕や顔に刺青をした、いかにも不良といった男たちに腕を掴まれている。

改めて見てみるとその人数は多い。同じような男が数十人はいる。


「おいマスター、あれは?」

「あぁ、奴らはこの辺で好き放題してるギムって奴と、その子分どもさ。腕っ節があんまりに強いんで誰も文句は言えないがな。アンタも関わり合いにならない方が良い」

 店主の忠告に、しかしクレスは軽く笑みを浮かべて席を立つ。

「じゃあ、少し懲らしめてやるよ」


「うわっ! てめぇ何しやがる!」

 酒場に怒声が響いた。

「ん?」

まだ何もしていないクレスが視線を戻すと、ゴロツキの腕から血が流れていた。

少女の手には短剣。どうやらあれで切りつけたらしい。

「おい、マジで止めとけって! だってギムは――」

 尚も店主は止めようとするが、クレスは構わず激昂するゴロツキたちに近づくと――


「――前にAAの傭兵を片手で伸してるんだから!!」


……え?


思わず店主の方を振り向く。


そもそもAAとは並の騎士団、傭兵団なら長が務まるレベルだ。徒党を組んだゴロツキ程度、それこそ片手間で一網打尽にできるはずである。


だが今更引っ込むわけにもいかない。とにかく、様子見程度に手刀を放つ。

果たして、ゴロツキの一人はそれを余裕で受け止めた。

――結局は次の瞬間、その数倍の速度の追撃が眉間に直撃して昏倒するが。

「……あぁン?」

 ゴロツキの視線が集中する。


「何だ、闘る気か!?」

「上等だ、全員で畳んじまえ!」

 地味に逃げづらい絶妙な包囲から一斉に繰り出された拳と蹴りを防ぐが、余りに重い手応えに防御した腕が小さく悲鳴を上げる。

「いや、強すぎんだろ小悪党!?」

 思わず叫びながらも、どうにか全員殴り倒すクレス。

 それを期に、奥で悠然と座っていた男がおもむろに立ち上がる。思ったより若い彼は、やや小柄ながらも引き締まった体つき。短い赤髪をツンツンに逆立てている。

「フォルトナ一の力自慢、ギム様たぁ俺のことよ。命が惜しけりゃ有り金置いて失せな!」

「……はぁ」

 ドスの利いた声だが、見上げながら小悪党くさいセリフを言われても迫力に欠ける。


 今ひとつ気合が入らない思考を切り替えて殴りかかるクレス。

 右腕で受け止めるギムに対してクレスは全身の力を込めて拳を振り抜き、受けきれないと判断したギムは後退してダメージを殺す。

 退いた足が地面に着くや一気に加速、超高速でクレスに突進。対するクレスもまたバックステップで距離を空け、それを利用して加速。真っ向から激突する意思を示す。

「――ラァッ!」

「うおおっ!」

「だから止めてくれっつったんだよぉおおおお!」


 ズガァアアン!


 二人はどちらからともなく口元に獰猛な笑みを浮かべると、次の瞬間には全力の拳をぶつけ合った。店主の悲鳴が響く中、爆発系魔法の如く強烈な衝撃波が店内を蹂躙する。

 無事だったのはティルナを始めとしてしれっと結界を張った数名のみである。


「ヘッ、これで終わりと思うなよ……ウボァー!」

 衝撃波の収束と前後して、捨て台詞を残したギムが奇声と共に盛大に吹き飛ぶ。

 その先は店の入り口で、幸運なことにこれ以上の被害を出すことなくギムは退場した。

 痺れの残る右腕を気遣いながら、まだ気絶していたギムの子分たちも店外に放り出したあとのこと。

 席に戻ろうとするクレスの服を掴む手があった。

「ん? 何だ?」

 振り返ると、思ったより近くに先程絡まれていた少女の顔があった。

 改めて間近で見るとその滑らかな肌は純白、端正な顔立ちからは気品が窺える。早い話が、眼を見張るほどの美人。一見すると中性的な顔だが、細くしなやかな肢体の割には出る所は出た体つきが少女らしさを主張している。

 一瞬そのまま見惚れかけたクレスだが、すぐ顔を離して意識を少女の話に向ける。


 顔を赤らめていた少女は、一つ大きく息を吸うと言葉を発した。

「あの……助けて頂き、ありがとうございました。その腕を見込んで頼みたいことがあるのですが、聞いて頂けますか?」

「俺たちが食い終わるまで待ってくれるなら。力になれるかは別問題だがな」

「し、失礼しました」

 気まずげに赤面した後、少女は一度下がっていった。


ちなみに軽ハーレム(女)の主はクレスですね。

他キャラにポジション掻っ攫われることはないです^^;

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ