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レガリア英雄記  作者: 27サグマル
諸国漫遊編
193/213

身の丈

「……ジェス!? 危ないから下がって!」


 ティルナの制止など聞こえていないかのようにジェスは突き進む。

 暴風のように無数の触手が荒れ狂う只中へ刀を振り被って斬り込んだ。


「『排』ッ!」

「……馬鹿!」


 自殺行為にも見える暴挙。

 リアラとティルナがそれぞれ魔法で対処しようとするが、全ての触手を抑えるには至らない。

 その様子にキィンも動こうとしたが――刹那、剣閃が奔った。

 ジェスの間合いにあった触手が全て、真っ二つに断ち切られる。

 触手は空中で液体に戻り降り注ぐが、その小柄な身体に届く前に弾かれた。

 刀を中心にうっすらと、ジェスを包む狼のような青白いオーラが浮かび上がる。


「あれは……?」

「……身の丈に合ってない」

「え?」


 リアラが漏らした問いに、ティルナが厳しい声で呟く。


 本来の実力以上の動きには、必ず種があるものだ。

 例えば魔法による身体強化、或いは何らかの手段によるリミッターの解除。

 それが異能によるものならまだしも、反動の大きい諸刃の剣となるのが常だ。

 概して燃費の悪い身体強化で魔力が枯渇すれば生命に関わり、リミッター解除による無理な動きは自らの肉体を破壊する。

 戦いが長引き途中でガタが来れば、待つのは避けようのない死。


 ジェスに迫る触手は一刀のもとに斬り捨てられているが、寧ろ際限なく繰り出される触手が集中する結果になっている。

 スライム本体の体積は一向に減る気配を見せず、消耗戦になればどちらが先に倒れるかは明らかだった。

 一方のグラシャラボラスも状況は同じか、防ぎきれない小さな傷が積み重なっている分なお悪い。


「……」


 後ろのアーヴィンたちを気にするティルナ。

 霧を纏ってエルフ化するという手もあるが、この戦闘だと何かの拍子に霧を剥がされる恐れがある。

 かといって彼らの意識を刈り取るような余裕もなく、現状ティルナには氷魔法で効果の薄い援護を重ねることしかできない。


「……リアラ。全力の砲をお願い」

「でも、ジェス君とシャラさんが……!」

「……二人は誘導する。絶対に」


 腕輪を抑え、言外にいざとなったら人目も憚らない覚悟を示す。

 リアラが頷くのを確認して、ティルナも援護に交えて氷を仕込み始めた。



「……準備は良い?」

「はい」

「……、今!」

「行きます――『砲』ッ!!」


 合図と同時、地面から飛び出した氷柱に前線の二人は飛び退る。

 駄目押しに氷柱から更に伸ばした氷で二人を突き飛ばした直後、特大の砲がスライムを撃ち抜いた。


「……仕留めた?」

「ッ、まだ――!」


 最初のスライムと同程度まで縮んでいたスライムが動いた。

 トドメを刺そうとしていたジェスから逃れるように突進。

 その先にいたのは、同じく突っ込んできていたグラシャラボラス。

 触手と言うよりは巨大な腕のように身体の一部を伸ばし、斬られるのも構わず飲み込む。


「シャラさん――――!」

「『紅狙砲(バーンバーミリオン)』!」


 リアラが悲鳴を上げると同時、空から降り注いだ炎の柱がスライムの本体を打ち据えた。

 色々と間に合ってない人の登場

&シャラ終了のお知らせ

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