乱泥豹
狩人の手斧使い、剣士を連れティルナたちを探し歩いていたクレス。
不意に二刀を抜くと同時、樹の上から体高さえ常人を上回りそうな豹が襲い掛かって来た。
すれ違いざまに灼雷閃で首を斬ったクレスだが、豹が少し首を抑えると傷はくっついたらしい。
唸り声を上げて怯まず飛びかかってくる。
「お前らは下がってろ!」
「「は、はいっ」」
「叩き潰す――『爆連砕打』!」
クレスの実力を見ている二人は指示に従って距離を取る。
クレスの連撃を受けた豹は頭部を泥に変え爆散させたが……残された四肢で踏ん張ると、無音の雄叫びを上げた。
理性も何もない動きでがむしゃらに突っ込んでくる様子にクレスは顔をしかめる。
「しつけぇな! 『空砲』ッ」
「!?」
魔力に物を言わせた風の砲撃で動きを止めた豹を、クレスは魔力を乗せた蹴りで上空に吹き飛ばす。
もう一発空砲を放って高度を稼ぐと、早口に詠唱を始めた。
「我は招く、世界を巡り統べる炎を。それは万象を育み、そして滅ぼすもの。我が命の下、立ち塞がる害悪を灼き払え! 『爆炎波』ッ!」
行動を制限された空中でもがく豹を紅蓮の奔流が飲み込む。
炎には耐性があるはずの泥の身体は黒焦げになり、ボロボロと崩れながら落ちてくる。
「――コイツ凄ぇな、魔力まで増幅してくれんのか」
驚いた表情に嬉しさを滲ませつつ二刀を鞘に収めると、狩人二人に声をかけたクレスは先を急いだ。




