ラコントル
ヤマトから大陸に戻ってきたクレスたちは北東へ進んでアフコアスを抜け、ラコントルを訪れていた。
周囲に野心的な国が無いこともあり、強大な戦力こそ保持していないものの平和な国だ。
「確か、この先の街にシグの親戚がいるんだったか」
「シグノイベルさんってもっと……なんというか、派手な国の貴族出身ってイメージがあったんですけどね」
「この国も良いとこだろ? 衣食足りて礼節を知るって言うけど、アイツはその典型みたいなとこがあるからな。同じ貴族でもベルクリッズみたく殺伐としてちゃああはならないだろ」
「そうかもしれませんね」
そんなことを話しながら町中を歩いていると、ギルドの前が人だかりで賑わっていた。
聞き耳を立てるとどうやら大規模な魔物狩りらしいが、それにしては妙な雰囲気を感じ取ったクレスは足を止める。
依頼内容を説明する紙が、ギルド前の掲示板に大きく貼り出されている。
一瞥したクレスは小さく目を見開く。
そこには、町の近くにある山が魔物の巣窟になっている旨が記されていた。
特に凶悪な魔物こそいないもののその数は常軌を逸しており、まさに視界いっぱいにひしめき合っているのだとか。
そこでクレスは、場を満たしているのが異常事態への不安と戦いへの興奮であることに気付いた。
「いくら何でも言い過ぎじゃありませんか?」
「事実だからこうして大事になってるんだろ」
「……どうする?」
「えっと……クレスさんは、どう思います?」
「どうってのは?」
「手助けするべきでしょうか?」
「戦力的には……今ここにいるのが参加者全員じゃ無いってことを踏まえても、少し足りないな。一人あたりの実力は十分だが、数の差を考えると心許ない」
「では、私たちも参加しましょう」




