異形の海魔
「アレは……!?」
炎球の明かりの下に浮かび上がった海蛇の姿に、ジェスが絶句する。
それは形こそ海蛇の物だが、吸盤に覆われた蒼白の身体には海藻がびっしりと張り付いている。
そんな異形の群れが、襲い来る魔法を時に奇妙な動きで躱しつつ、護衛船団にその牙を剥いていた。
「あの船の動きは、一体?」
「気にするのそっち――って、知らずに見たならしょうがないか」
つんのめりかけたクレスだが、途中で納得して早口に説明する。
「ヤマトの船は、船人って奴らが一隻につき十人前後で憑依して直接動かしてる。付喪の秘法って奴で、船のダメージもフィードバックする」
「そうなんですか……」
クレスは焦りを滲ませつつ、海蛇たちを睨みつける。
かと思うと、焔を解き翼と尾、副腕と二対の両剣を生成して構えた。
「尾が出てこない」
「え?」
「吸盤もそうだが、もしアイツらが海魔の足だったら嫌だと思わねぇか?」
「……それは、困る」
「ジェスとリアラは待機。ティルナは、ここからって事がバレないようにしながら支援頼む」
「……分かった」
クレスは船を飛び出し、手近な海蛇に斬りつけていく。
焔は本来なら刃の効きも薄い吸盤も容易く蝕むが、海蛇には特に効いた様子はない。
四つの焔刃で海蛇に無数の斬線を刻み、クレスは次の海蛇へ狙いを移して飛びかかった。




