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海蛇の襲撃
「――ふぅ。まあ、こんなものか」
リングを焔で満たした器の中に入れて蓋をすると、クレスは額の汗を拭った。
器を固定したクレスは壁にもたれかかって目を閉じる。
しばらくうとうとしていると、不意に船が大きく揺れた。
目を覚ましたクレスは甲板へ飛び出す。
「状況は?」
「……魔物の襲撃」
「今、護衛の方々が海蛇の群れと戦っているところです!」
ジェスの報告に、クレスは海へ目を向ける。
ヤマトの護衛船団から放たれる魔法が、夜闇の中に幾つもの影を照らし出していた。
……その間を縫うように、飛び回る姿がある。
「おい、アイツ何やってんだ」
「『滾る』って飛び出していきました。切り替わってるように視えます」
「それなら、まあ大丈夫か。相手も分かってるみてぇだし」
「……でも。あの海蛇、なにかおかしい」
「とりあえず照らすか。――仮初の光を此処に。炎よ、闇を払え。『紅陽珠』」
クレスの放り上げた炎球は上空で巨大化し、辺りを昼間のように照らし出した。




