人器超剋
「……流石は自由騎士団最強の『蒼騎士』の名を継いだだけはある。一番乗りですか」
治安部隊の責任者――サウゼ・サウニーにイワンを引き渡すと、昏い笑みと共にそう頭を下げられた。
「………………。ああ、俺は引き続き敵の捕縛に当たる」
クレスはどうにか言葉を飲み込むと、もう興味を失くした様子のサウゼと別れて詰所を後にした。
「最強? 最強って、なんだよ!?」
「だってご主人様はマリスと並んで自由騎士団でありながらSSSだし、彼女と違って近接戦闘が得意だからね。そう思われても仕方ないんじゃないか?」
「いや、正騎士の連中だってSSばっかりだし、どう考えたって俺より強いだろ! 誰だそんな無責任なこと言い出した奴! うぁああ……!」
宿に戻って悶えるクレスを不思議そうに見るティルナ。
「……そんなに嫌? 褒められてるのに」
「嫌だよ! 事実じゃないことで手放しに褒められるとか、困るだろうが!」
「いよっ、最強!」
「やめろーーー!」
ナベリウスの茶々に悲鳴を上げて布団を被るクレス。
「えっと……冗談は置いて、ですね。これからどうするんです?」
「ジェスんが仕切るなんて珍しーれすね~」
「し、仕切るなんてそんな……」
ナベリウスが矛先を変えようとしたところで、クレインが乗った。
「今日のことを考えると、人の多いところにいれば遭遇率は高そうだな」
「……手分け、する?」
「他の相手の能力が分からない以上、できれば避けてほしい……です」
「ってかこの状況で人が集まるとこなんて、そうそう無いれしょうしねー」
そこで、復活したクレスが布団から顔を出す。
「まあそれについちゃ後で俺が聞いてくるよ」
「分かりました。ありがとうございます」
「ところで……さっき言ってた『人器超剋』ってなんですか?」
頭を下げたリアラと入れ替わりにジェスが尋ねる。
「救神の学徒の一派だよ。簡単に言や人間を改造して神にしようぜって連中だ」
「……」
一瞬ナベリウスの視線が鋭さを増すが、それには誰も気づかない。
「でもさっきのイワンは、自分から望んで改造されたみたいでしたが……」
「まあ自分から改造を望む奴もいるし、攫われて無理矢理に改造される奴もいる。失敗作とか暴走した奴ってのは放置していくから、こういう研究系の派閥は危険度が高い」
そう話すとクレスは立ち上がった。
「じゃあちょっとサウゼんとこ行って来る」
「分かった。一応私たちはここで待機していよう」
「助かる」




