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その拳にご注意を  作者: ろうろう
73/136

71話 願いがかなった

待てませんって書いてあったから(錯乱

温泉に入れないと知った時、修は大いに落ち込んだ。

が、ドラゴンと聞いてテンションを持ち直した。

それに、ドラゴンを倒せば温泉に入れるのだ。

まさに一石二鳥。

実に素晴らしい。

修は空気を蹴って、山の頂上まで駆けて行った。

奥歯に不思議なスイッチがある人よりも早かったかもしれない。


山の頂上から更に上。

上空に、ドラゴンが飛んでいる。

全身がとっても赤く、見本の様なドラゴンだ。

修の心がときめいた。


----------------------------


LV.91

メテオドラゴン


----------------------------


「うおおおおお!!かっけえええええ!!!」


修は叫んだ。

神もやればできるではないか。

少年の心をくすぐられる。

そして、その叫びに気付いたドラゴンが、上空から修を見た。

住処に足を踏み入れた、不届きな人間に対して咆哮をあげる。


『ギャゴオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!』


それだけで、空気がビリビリと震えた。

修の足元の石すらも、何故かピシピシと亀裂が走ったりしている。

咆哮だけでも、攻撃能力があるのだ。


「ふんぬっ!!」


修が気合を込めた。

それだけで、震えていた空気が消し飛んだ。


『?!』


さしものドラゴンも驚愕した。

咆哮でダメージも与えることが出来ないし、逃げ出すことすらしない。

実に生意気な人間だ。

そう思ったドラゴンは、自ら手を下す為、修の眼前に着地した。


修の瞳がとても悲しく輝いた。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ちっさ・・・」


メテオドラゴンは小さかった。

たぶん、尻尾を除くと、修よりも小さい。

見た目がカッコいいだけに、とても悲しくなる生き物だった。

しかし腐ってもレベル91。


『グウウウウウウウウウ・・・』


メテオドラゴンは地の底から響く様な唸り声をあげて、修を睨み付ける。

心臓が弱い方なら、それだけで天に召されそうなほどの殺意が振りまかれている。

しかし、修は平気な顔をして殺意を受け止めた。


メテオドラゴンの足元を見て、地面が赤熱し、溶け始めているのを見て感心したように呟いた。


「マジで溶けてる・・・。熱いんだなぁ・・・」


実に暢気なものだった。


『グオオオオオオオオオオオオオオオン!!』


メテオドラゴンが咆えた。

次いで、口からブレスを放つ。

それは名前通り、隕石の如く勢いで修に迫る。


「セイッ!!」


修がブレスに向けて拳を突き出した。

ブレスが消し飛んだ。


『?!?!』


メテオドラゴンもまさかの展開に呆然だ。

対する修は、さてどう料理してくれようかと考える。


「あー、ドラゴンって高いんだよね・・・。よっし」


ミラードラゴンはとても高かった。

こいつも高く売れるだろう。

そう判断した。


メテオドラゴンはその視線に、猛烈に嫌な予感を受けた。

恥も外聞も関係なく、修に背を向けて飛び立とうと決意した。

そして地を蹴り、羽を広げた。


その羽を羽ばたかせようとした瞬間に、眼前に修が現れた。


「セリャアアアアア!!!!」


鱗が熱かろうと何のその。

修は、蚊を叩きつぶすかのように、両の掌でメテオドラゴンの顔面を挟んだ。

が、力は調整している。

修の掌と、メテオドラゴンの頭部との間にわずかな隙間が明けられている。

その掌の間で、メテオドラゴンの頭部が数百回打ち合わせられた。

菩○掌的な感じの技が、メテオドラゴンの脳を良い感じでシェイクさせた。

修○の門は当然読破済みなのである。


『・・・・・・・』


修が手を降ろすと、メテオドラゴンがドサリと倒れた。




メテオドラゴンは死んだら冷えた。

赤い鱗が、黒くなってしまった。

がっかりだ。

修はメテオドラゴンの死体を抱えて、ポーラ達の元に帰った


「聞いたでしょう!?先ほどの恐ろしい咆哮!!無理ですってば!!」


おっさんは半泣きだった。

全員でポーラを説得しようと試みていた。


「いえ、大丈夫ですから」


ポーラさんも鉄壁のバリアーを張って、頑として動こうとせず、修の帰りを待っていた。

その輪から少し離れた地点に、修が上空から降って来た。

帰り道は一跳びで良いので、実に楽だ。

ドズゥン!!と人間が立てる音とは思えぬ音が響き、数人が腰を抜かした。

もうもうと広がる土煙の中から、平気な顔の修が現れた。


「ただいまー」


ドラゴンを担いでいる。


「え”?!」


おっさんの目が瞼から転げ落ちそうだ。


「おかえりなさいませ!!」


ポーラはパッと笑顔を浮かべて修に駆けよった。

そして、ドラゴンをまじまじと見つめている。

修が怪我をしたとか、そういうことは全く考えていないようだった。


「これですよねー?温泉は入れますよねー?」


修は鳥の死体を持つかのように、ドラゴンの首を持ってぶらりとぶら下げた。

修の心は、最早温泉一直線待ったなしだった。


「「「えええええええええええええええええええええええええええええ!?!?!?!」」」


全員の合唱が響いた。




何かおっさん達は涙を流して修に感謝してくれた。

温泉も、「幾らでも入ってくれ!!」と気前が良い。

宿も一番いいお部屋を貸しきりだ。

ただし、宿の大事な荷物は一切合財運び出されていたので、中身は寂しい物だった。

今現在でも、全員が総出で宿を経営可能な状態に戻している。


そしてこれは驚いたのだが、この村に居る鍛冶屋は凄かった。

と言うか、ミラードラゴンの装備を作ってくれたのは、この村の鍛冶屋さんだった。

良い素材ではないと腕を振るわないと言う職人気質の鍛冶屋さんは、メテオドラゴンの装備作成も、快く引き受けてくれた。

問題は、素材が少ないことだ。

取りあえずポーラの剣を一本お願いしたが、それだけで3分の1は使うそうだ。

しかも、残りの素材ではもう剣は作れない。

防具にしようにも、一式そろえることは不可能だそうだ。

実に利用価値の少ないドラゴンだった。

今ごろ街の隅で鍛冶屋さんが金属音を鳴らしている頃だろうが。


ちなみに、ミラードラゴンの大盾は先日送ったらしい。

帰って見るのが待ち遠しい。




そんな中で、修とポーラは温泉に浸かっていた。

カポーン、と音を鳴らしたい気分だ。

一番眺めの良い温泉を、二人で貸しきりだ。

実に素晴らしい。

特に混浴と言う点が最高だ。


「・・・・・・サイコーだ」


思わず、想いが口から出てしまった。

温泉に肩まで浸かる修に、ポーラがしなだれかかってくんにゃりしている。

おっぱいが修の腕で潰れている。


「・・・・・・・はいぃぃ・・・」


ポーラも大満足だ。

温泉は気持ちいいし、広いので修と密着できる。


修の首元から、ポーラのとろとろになった声が聞こえて来る。

二人で、温泉の中でキャッキャウフフし続けた。


掃除が大変になるので、いかがわしことはしていませんよ。

軽いスキンシップくらいで、心行くまで温泉を楽しんだ。




しかし、マグマすら「熱い」で済ます修に付き合ったポーラは、湯あたりして倒れた。


「ポーラ!!気をしっかり!!」


「・・・・・・・・・・・も、もうし、わ・・・け・・・・・・」


おかみさん達に運ばれるポーラの耳元で、修が必死に呼びかけていた。




ちなみにレベルはどえらいことになっていた。


----------------------------


LV.65

カンザキ シュウ

人間:♂

18


拳士LV.■■

経験値獲得アップLV.10

攻撃魔法LV.41

回復魔法LV.41


鑑定

状態異常無効

称号変更


『竜殺し』

『探索者』

『拳を極めし者』

『神を殴りし者』

『ご主人様』


----------------------------


変態とドラゴン効果だろう。


----------------------------


LV.45

ポーラ

獣人:♀

17


剣士LV.47

二刀剣士LV.40


『探索者』

『○○○』


----------------------------


が、ポーラの上りはそれほどでもない。

ドラゴン分が入っていない感じだ。

離れすぎると、経験値的な物は入らないのかもしれない。

たぶん、ポーラに入った経験値は変態分だけだ。

とはいっても、明日からはいつも通り2回更新です

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