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その拳にご注意を  作者: ろうろう
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55話 売込み

茄子が大量だったので、探索は続けずに清算に帰った。

結構な数は残して置いた。


流石に茄子オンリーでの夕食は流石に切ないので、帰りには他の食材も買いに行った。

食材には詳しくないので、ポーラにお任せだが。

何かの肉っぽいのを買っていた。

ポーラが買うのだから、怪しい魔物肉ではないことを信じた。


「シュウ殿」


突然声をかけられた。


「はい?」


修が振り向くと、そこに立っていたのはファウスだ。


「これは偶然だな」


ファウスは言った。

しかし、周りの人たちは知っていた。

修たちが基本的にこの時間に買い物に来ることを知ったファウスが、こっそり修を待っていたことを。

実に白々しい。


「そうですね」


しかしそんなこと知らない修は意外そうにファウスを見ていた。

領主が買い物に来るなんて珍しい、と思っていた。

純粋である。


「君たちは買い物かね?」


白々しい領主は、知っているのに問いかけた。


「はい。夕食を・・・」


純粋ボーイも頷いた。


「ふむ・・・ところで・・・」


ファウスが後ろを振り向いた。


「?」


修が首を傾げた。

ファウスの後ろに、人が居た。

とても小さくて、ファウスの体で完全に隠れていた。

ファウスは、その人影を修の前に押し出した。


「この子は私の姪でな」


以前から猛烈アピールしていた、噂の姪っ子だった。


「はぁ・・・。可愛い子ですね」


修は取りあえず社交辞令を言った。

何故このタイミングで姪が出て来たのか分かっていない顔だった。

社会見学だろうか。


「そうだろうそうだろう。はっはっは。さ、挨拶しなさい」


ファウスは姪を褒められて、機嫌がよさそうに笑った後、姪の背を軽く叩いた。

姪が行儀良く頭を下げた。


「初めまして、マテナです」


修も応えて頭を下げた。


「はい、初めまして。修です」


ファウスはとても良い笑顔を浮かべた。


「どうだね、美人だろう?妹に似てな」


マテナが恥ずかしそうに頬を染めて俯いた。

内気なのだろう。


「・・・そうですね」


修も頷いた。

確かに、容姿はとても整っている。

修が頷くと、ファウスは益々気を良くしたようだ。


「才能にも溢れていてな。もう魔法も使えるのだ」


ファウスが姪の頭を撫でながら、自慢げに言った。

マテナは更に恥ずかしそうにもじもじしていた。


「とはいっても、シュウ殿には敵わぬだろうがな。・・・最近調子はどうだね?」


ファウスは、超有望株の修に軽く探りまで入れて来る。


「はは・・・。今日は18層まで行きましたね。攻略は明日からですが」


修は実に素直に答える。

ファウスは目を丸くした。


「もうか!流石だな、シュウ殿は!」


とっても褒めてくれた。


マテナも、大きな目を丸くして修をまじまじと見つめていた。

信じられない、と言った目ではなく、純粋に称賛しているような目だった。


褒められると調子を良くする、純粋ボーイの修は喜んだ。


「ありがとうございます」


そこからファウスは、マテナと修を置き去りにしてマテナのアピールをし始めた。

それはもう延々と。

マテナが顔をリンゴの様に真っ赤に染めて恥ずかしそうにしているが、お構いなしだ。

そればかりではなく、修の凄さについてもマテナに良く言い聞かせていた。

将来への布石を打っているのだ。


それらに、修は適度に相槌を打ちながら考えた。

この人、叔父バカなのかな。


しばらく喋り続けていたファウスは、十分にアピールできたと思ったのだろう。

ようやく切り上げてくれた。


「ではシュウ殿。私たちはこれで」


「・・・失礼します、シュウ様」


ファウスが頭軽く下げると、マテナも行儀よく頭を下げた。

その頃には、マテナはすっかり洗脳されて修に尊敬の瞳を向けていた。


「あ、はい。また」


修は疲れを隠して頭を下げた。

そんな修に、ファウスは耳打ちした。


「この子が気になるなら、いつでも訪ねてくれ」


修は軽く首肯だけしておいた。

それを最後に、二人は去って行った。


ファウスが自慢するだけあり、マテナの容姿はとても整っている。

整っているが。

幼い。

むしろ、可愛らしいと表現した方が良いだろう。


----------------------------


LV.3

マテナ

森エルフ:♀

11


火魔法LV.3

水魔法LV.3

雷魔法LV.1


『貴族』


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修はロリコンでは無い。

おっぱいは大きい方が好きなのだ。

ぶっちゃけおっぱいマイスターだ。

よって、道を踏み外すことは無かった。


「・・・シュウ様」


買い物をとうの昔に終えていたポーラがやってきた。


「あ、ごめん。待たせちゃったね」


修は申し訳なさそうに謝った。

修は悪くは無いのだが。




その日の夜は、茄子パーティーだった。

野菜もいけるくちの修は、がつがつと茄子を喰いまくった。

焼き茄子はジャスティスである。


そしてその晩、ポーラは何故か、とってもイライラしている様子だった。

なので、撫でまわしたら機嫌を直した。

ちょろすぎる。

ちょっと撫ですぎて、興奮したポーラがキスをして、その後もせがんで来たほどだ。

最近のポーラはとっても大胆で良い感じだ。



絡みついてスースーと寝息を立てるポーラを見て、修は思った。

今日は特に大胆だった気がする。

それにしても、シーツは変えねばならぬ。

そんなことを思いながら、修も夢の世界へダイブした。

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