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その拳にご注意を  作者: ろうろう
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50話 ハザード的な何か

謝る修に、神は慈悲深く微笑んだ。

まるで本物の神様の様だった。

本物だが。


「さて、お久しぶりですね、修さん」


今日のゴッドスマイルは神々しい。

修は神の腹を見て首を傾げた。


「うん。前は大丈夫だった?」


神は蒼白になって腹を押さえた。

ゴッドスマイルが崩れてしまった。


「・・・思い出させないでください」


ボソリと呟かれて、修は項垂れた。

やはり大丈夫ではなかったらしい。


「・・・はい」


お互いに不幸なことは忘れようと、修は顔をあげて話を変えた。


「で、今日はどんな用事?」


神様は再びゴッドスマイルを浮かべた。


「ありませんよ?」


あっさり言いやがった。

が、修の冷めた視線を受け、優雅に続けて言った。


「あ、でも前修さんの夢見てて思ったんですが、修さんの世界って、あんな変なのがいるんですか?」


ドスコイを導入しておいてどの面で言い放つのだろうか。

修はそう思ったが、話に合わせてあげた。

大人である。


「うーん。時々いるかなぁ」


しかし、神も修の世界について殆ど知らないのだ。

ただ単に、世界の隙間が出来た時に大相撲を見たことがあるだけだ。

魔物に悩んでいた神が、そのまま導入してしまったのだが。

だから、修の世界にはあまり詳しくない。


「ほうほう。例えば?」


神が興味津々に修に問いかけた。

新たな魔物作成の気配をビンビンと感じる。


「うん。良く分かんないんだけどね。あれは旅行中・・・」


修は記憶を探った。

14歳の出来事を。




「何これ・・・」


修は、大きな街に居た。

その街のそこかしこで炎が上がり、人の気配が全然無い。

ちょっと飛行機が墜落してしまったので軽く脱出し、人里求めて歩き回っていただけなのに、変な場所に辿り着いてしまったようだ。

修は街の中に入ってみた。


「あ”~」


変な呻いているのが居た。

第一村人発見である。

どう見てもゾンビだったが。


「ハ、ハウドゥーユードゥー?」


修は果敢にも、第一村人に話しかけた。


「う”~!」


Bad Communication!!

当然の如く、ゾンビは修に襲い掛かって来た。


「そ、そんな馬鹿な!」


修は衝撃を受けた。

以前は金髪のおっさんと円滑な関係が築けたと言うのに!


そして修は逃げ出した。

しかし、街を見て回っているうちに修は気付いた。

何処を見てもゾンビだらけなのだ。


「・・アメリカじゃないのか?!」


だとしたら英語が通じなかったことも納得だ!

修は馬鹿すぎた。

修がいくら平和的に話しかけても、原住民(修視点)は襲い掛かってくる。

しかし、ここには警察の眼も無い。


「セイッ!」


遂に修はやっちまった。

修は、こんな危険な街からは逃げようと考えた。

ちょっと壁を走って高い建物の上に昇り、上空から他の街を探す。

とんでもない目である。


「よし、こっちだな」


修は飛び降りた。

着地したらクレーターが出来たが、気にしない。

そこに、新しい原住民が居た。

皮膚が無かった。

脳も剥き出しだ。

眼も無いように見える。

しかも、舌がとっても長い。

どう見ても、重症だ。


「だ、大丈夫ですか・・・?」


修は思わず心配してしまった。

しかし、重症っぽい原住民は修に飛びかかって来た。


「セイッ!」


そっちがその気なら容赦しねー、とばかりに、修は拳を叩き込んだ。

重症っぽい原住民は死んだ。

重症っぽいけど、実はとっても凶暴だった原住民を殴り飛ばした後、修は走った。




「あれ?」


修は上を見上げた。

ヘリコプターが飛んでいる。

しかも、何かを落とした。

もしかすると、会話が通じる人がいるかもしれない。

修は期待して、投下地点に向かった。


そしてなんだかすごいのがそこに居た。

これは原住民の一人かもしれない・・・!

修はそう考えて後悔した。


「ス○ーズ・・・」


新たな原住民は、そんなことを言いながら修にのしのしと歩いて来た。

修は新・原住民に言った。


「ひ、人違いではないでしょうか?」


Bad Communication!!

新・原住民はどこかからロケランを取り出して、修にぶっ放した。


「くっそぉぉぉおお!!」


叫びながらもロケランを回避し、新・原住民を殴り飛ばした。

修は、もうこの街に期待することは止めた。

途中で若いおねーさんが銃をバンバンぶっ放しているのを見たが、なんだか撃たれそうなのでスルーした。

そして一人、ラ○ーンシティから脱出した。


そして次に辿り着いた街で、金髪のおっさんと再会した。

感動の再開に、おっさんは「OH BOY!!HAHAHAHAHA!!」と前回よりもいっぱい笑っていた。


「あれ?アメリカ・・・?」


修は首を傾げたが、深く考えることは止めた。

馬鹿なので仕方ないのである。




「・・・っていうこともあったね。あれは結構疲れたなぁ」


そんな話を、修は面白おかしく神に話してあげた。


「・・・・・・そうですか」


神は遠い目をしていた。

こいつやっぱ人間じゃねーわ、と思いながら。

しかし、良いアイディアを貰えた。

神もたいがいだった。




「そういえばさ」


話しが一段落ついたところで、修は満を持して話しかけた。


「はい?」


神がゴッドスマイルを浮かべて首を傾げて来た。

その顔を、冷たい目で見つめながら、修は言ったやった。


「あのドスコイって何なの?」


ゴッドスマイルは一ミリも崩れなかった。


「魔物ですが?」


実にあっさり言い放った。

そういうことではないのだ。


「・・・俺の居た世界の、とある格闘技的な雰囲気を感じたんだけど」


修が冷たい目のまま、言った。


「ハハッ、気のせいですよ。では」


神はゴッドスマイルを深くすると、すぅっと体を薄くした。


「あっ!ちょっ!!」


神は消えた。

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