46話 モチモチした食感
ここでまさかの更新をしてしまいました。
指パッチンの元ネタは、ジャイアン○ロボの、素晴らしきヒィッツカ○ルドです。
14層に足を踏み入れたところで、清算の為に帰宅した。
日々報酬が高くなっている。
最早生活に不安は無い。
実に素晴らしいことである。
ポーラが夕食を作っていた。
エプロンを着込み、尻尾をふりふり振りながら料理する姿は萌えた。
修は後ろからポーラの姿を見つめて、ほくほくしていた。
「あ・・・」
そんな中で、ポーラが呟いた。
「どうしたの?」
修が問いかけると、ポーラは振り返った。
手に、何かの容器を持っていた。
「・・・すいません。調味料が切れていました。すぐ買ってきます」
あわただしくエプロンを外しながらポーラが言う。
「買ってこようか?」
修がポーラに問いかけたが、ポーラは首を振った。
「いえ、大丈夫です。修さまは家で休んでいてください」
ポーラは、修が準備した家計用財布を持ってすっ飛んで行った。
ポーラは市場を駆けていた。
駆けながら恥じていた。
何という失態を犯してしまったのだろうか。
シュウ様をお待たせするなんて・・・!
と一人悔しげに眉を歪めた。
その頃修は、のんびりと欠伸をしていた。
ポーラは近場の店に飛び込むと、調味料を掴んで店主に突きつけた
「これをください!」
その迫力に、店主のおっさんは怯んだ。
「お、おう・・・」
怯むおっさんの手に硬貨を渡すと、ポーラは調味料を引っ掴んで帰路を急ぐ。
ポーラが急ぐと、豊満な胸が揺れる。
行きにそれを見た男達が、帰り道を走って来るポーラを見て、「キタコレ!」と瞳を輝かせる。
そんな中で、数人の男がポーラの進路上に立ちふさがった。
探索者の格好をしているが、見たことのない顔をしている。
恐らくよその街から来たのだろう。
男達は酒を飲んでいるのか、顔を赤く染めていた。
「おう、そこの姉ちゃん」
ポーラの胸を見ながら、ポーラに話しかける。
眼が実にいやらしい。
酌でもお願いし、あわよくばしっぽりしようと考えているのだろう。
が、ポーラにはその目は気にならなかった。
ただの障害物にしか見えなかった。
「失礼!」
見事な体さばきで、男達の間をすり抜けた。
「おおー」っと周りで見ていた男達が感嘆した。
すり抜けられた男たちは、呆気にとられてポーラの背中を見た。
「ちょっ、まっ!」
無視されたのだ。
矜持を傷つけられた気分だ。
慌ててポーラの背中を追おうとする。
が、ポーラはぐんぐんと遠ざかる。
すぐに背中も見えなくなった。
「くそっ!!」
実に無様な男達の悪態が後に残った。
バーンと扉を開けてポーラが自宅に帰った。
「お待たせしました!すぐにお作りしますね!」
いそいそとエプロンを着込み、食事の準備をする。
「ゆっくりでいいよー」
修はゆったりと返事をした。
朝起きると、ポーラが修を抱き枕にして寝ている。
我慢するのは大変だ。
今朝も誘惑を振り切って、迷宮に潜った。
14層だ。
さてまたどんな魔物が現れるのか。
戦い難い敵は勘弁してほしいと考えていたが、現れたのは普通の魔物だった。
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LV.14
ハンマーテイル
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ビーバーである。
前歯が実に可愛らしい。
しかし、尻尾がでかい。
でかすぎる。
ビーバーの胴体よりも大きい。
ハンマーテイルは、ハッ!とこちらを向くと、四足で駆けて来た。
二足でないところに高評価を与えたい。
どこか和んだ目で見る修の目前で、ビーバーは飛んだ。
そして空中で前転し、巨大な尻尾を叩き付けて来た。
「だよねぇ」
幾ら可愛くても魔物だ。
修はハンマーテイルの尻尾を片手で防いで呟いた。
そのまま後頭部に蹴りを叩き込む。
ハンマーテイルは死んだ。
後に残った物を拾い修は呟いた
「・・・『ビーバーの尻尾』」
名前もハンマーテイルではなく、ビーバーで良いではないか。
「美味しいらしいです」
しかも食材である。
コラーゲン的な感じだ。
「・・・うん」
修も食べたことはあるが。
次に出会った時には、ポーラがやる気だった。
「では次は私が」
修にそういうと、ハンマーテイルに駆けていく。
ハンマーテイルも機敏に駆けて来る。
ハンマーテイルが飛んだ。
空中で前転し、ポーラに尻尾を叩き付けようとする。
が、ポーラはハンマーテイルが飛んだ瞬間加速した。
前転を行おうとしたハンマーテイルに、上から唐竹割を叩き込む。
「・・・」
べちゃりと、ハンマーテイルは地面に叩き落された。
マッスルウォールで味を占めたのだろうか。
必死で跳ぼうとするハンマーテイルに、上からがっつんがっつんと剣を叩き込む。
ダメージよりも、跳ばさないことを優先しているようだ。
跳べないと判断したハンマーテイルは、尻尾を使って足払いを仕掛ける。
迷宮の魔物は足払いが大好きだ。
ポーラも慣れたもので、軽く躱した。
足払いすら躱され、もはやどうしようもないと修は思ったが、次の瞬間。
ハンマーテイルの尻尾が、地面を激しく叩いた。
その反動で、弾丸の様にポーラに突撃した。
可愛らしい前歯が、凶悪に光る。
「っ?!」
ポーラは、流石にこれは予想していなかったようだ。
慌てて盾を構えた。
ガッギーン!と快音が響いた。
勢いに押されたポーラが、後ろに飛ぶ。
勢いを受け止められたハンマーテイルは、地面に着地する。
着地したポーラも、油断なくハンマーテイルを睨み付ける。
次の瞬間、ハンマーテイルの前歯に、ぴしりと亀裂が走った。
「あ」
修が思わず呟いた。
猛烈な勢いで、歯よりも固い物に激突したのだ。
必然と言えば必然だろう。
前歯に走った亀裂がピシピシと大きく広がり、そして最後には、前歯は砕け散った。
同時に、ハンマーテイルはがくぅ!と力尽きた。
「・・・・・・」
修は黙祷を捧げた。
見事な最後であった。
ハンマーなのに、切り札は前歯だったが。
書き溜めのできない作者




