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その拳にご注意を  作者: ろうろう
33/136

31話 何気にムカついた

凄い今更ですが、気付けばPV130万行ってました・・・。

ありがとうございます。

翌日は探索を止め、修は薪を買い込んだ。

朝っぱらから寸胴鍋に薪をくべ、熱湯づくりに勤しんだ。


「・・・・・・何をお作りになるのでしょうか」


ポーラは不思議そうにその光景を見ていた。

何せ、水だけだ。

食材など全く買い込んでいない。

しかも時々、自分の手を突っ込んで温度を確かめている。


「前言った、お風呂を作るんだ」


貴重な魔力を浪費し続ける修は、しかし嬉しそうに笑っていた。


「はぁ・・・・」


ポーラは寸動鍋を見る。

これに入るのだろうか。

食材になった気分ではなかろうか。


「よっし、出来た!」


修はいそいそと服を脱ぎ、寸動鍋の中に入ってしまった。


「・・・・・・・・・・」


ポーラの、なんとも言えない視線を受けながらも、修は御満悦顔だった。

どう見ても、茹でられているようにしか見えない。


「くぅ~!これだ!」


しかし修は嬉しげに茹でられている。

シュウ様が壊れた。

とポーラは心の中で呟いた。

修の奇行には慣れていたが、これはとびきりだった。


「ポーラも後で入りなよ」


修が嬉しそうにポーラに言ってきた。


「・・・はぁ」


ポーラは何と言ったらいいのかわからず、曖昧に頷いた。




「あ~、生き返った」


修が満足そうな顔で、ようやく寸胴鍋から出て来た。

ポーラは無言で修に布を渡した。


「じゃあ次はポーラだ!」


それを受け取り、体を拭く修がポーラに言った。


「・・・はい」


ポーラは不可解ながら、取りあえず服を脱いだ。

もう互いの裸を見ても何も言わない。


恐る恐る寸動鍋に入ったポーラの肩を修が掴んだ。


「肩まで入って」


どこか自慢そうな顔で肩をぐいぐい押してくる。


「はい・・・」


押されるままに、ポーラは肩まで浸かった。

このまま蓋をされるのではないかと、一瞬考えた。

困惑顔だったポーラの頬が段々赤く染まって来た。


「・・・温かいですね」


ポーラが呟いた。


「でしょ?こう、芯から温まる感じが良いんだよ!」


ポーラも、修の言いたいことは何となく分かった。

これは確かに良い物だ、と感じ始めて来た。

ポーラも段々くにゃくにゃになって来た。


「これは確かに、良い物ですね・・・」


ポーラの感嘆に、魔力がスッカラカンになった修が笑った。




魔力だけでなく、準備や片付けも大変なので、毎日風呂を沸かすことは出来ないだろうが、それでも久々の風呂に癒された。

風呂は心の洗濯である。

機会があれば温泉も狙ってみようと、修は決意した。




翌日に十層に向かった。

ここを越したらいっぱしの探索者だと呼ばれるようになる。

もっとも、現時点で修が弱い等と言う探索者は居ないだろうが。


「おっ!」


十層で出会った魔物を見て、修は喜んだ。


----------------------------


LV.10

トロル


----------------------------


遂に、テンプレ的な敵が出て来たのだ。

巨大な体に、脂肪に覆われたような体。

実に逞しい肉体だ。

某有名RPGゲームでも出現する魔物を見ると、修のテンションが上がった。


「ファイアシュート!」


早速火球を叩き込む。

トロルは逞しい二の腕で頭部を庇って火球に包まれた。

火炎がはれても、トロルは無事だった。

流石に全身に焦げ目が付き、ぶすぶすと煙を立てているがまだまだ瞳に力が溢れている。


ずしんずしんと音を鳴らす様にして、修に駆け寄って来る。

トロルは、人の頭を握りつぶせるほどの大きさの手で修に掴みかかって来た。


「ふんっ!!」


修は、トロルの巨大な手を正面から受け止めた。

がっぷりと手を掴みあうと、トロルは貧弱な修を押しつぶそうと上から力を込めて来る。


「うーん」


しかし修は涼しい顔だった。

顔には、『こんなものか』と言う表情が浮かんでいる。

トロルは修のその様子に冷や汗を流し始めた。

それでも必死に力瘤を作り、押し込んで来る。


「はい」


修が力を込め返した。

途端に力負けしたトロルが地面に押しつぶされた。


「?!?!」


一瞬で力負けしたトロルは、何が起きたのか理解できない顔をしていた。

その頭を、修は踏み砕いた。

後に残ったのは、白い塊だった。

鑑定すると、『トロルラード』とある。


「トロルラードって・・・」


これで肉焼くの?と言外に含めて呟くと、ポーラが解説してくれた。


「はい。食材には使いません。鍛冶場で使われる燃料ですね。とても長く燃え続けるそうです」


「あ、そうなんだ」


修はほっとした。

そして風呂に使えるのではないかと考えた。

しかし、それに気づいたのだろう、ポーラが申し訳なさそうな顔をした。


「とても火力が高いそうなので、オフロには使えないと思います・・・」


「そっかぁ・・・」


修は残念そうに呟いた。





次はポーラが戦った。

トロルは、今までの奇想天外な動きをしていた魔物とは違い、実に普通に戦った。

太い腕で殴り掛かり、攻撃を受けそうになれば、その腕で首をカバーしたりもする。

しかし、やはりレベルの差はいかんともし難いようだ。

どの行動も、ポーラの行動からは一手も二手も遅れている。

脂肪は伊達ではないようで、多少は耐えたがそれも僅かな差だった。

ポーラの攻撃が10にも届かぬうちに、トロルは死んだ。


トロルラードはかさばらなかったので、かなり探索を行うことが出来た。

おかげであっさりとボスを発見した。

そしてそのボスを見て、修は固まった。

今までの展開から、ボス・トロルが出ると考えていた。

しかしそれは、そんなものではなかった。


確かに見た目はトロルだった。

そいつは、頭にちょんまげが乗っていた。

そして、局部にまわしをつけていた。


----------------------------


LV.10

ドスコイ


魔法無効LV.99


----------------------------


もうみるからにアレだった。

円状の線の中に、堂々と立ってこちらに向けてくいくいと手招きしている。


「なに・・・あれ」


修は真顔でポーラに問いかけた。


「は?・・・ボスかと思われますが」


ポーラは何故聞かれたのかと不思議そうな顔をしている。


「・・・手招きしてるね」


「はい。あれと一対一で戦って勝たねば次の階層への扉が開かないのです。その為、次の階層に進むのが難しいのです」


なるほど、今まではタコ殴りでボスを倒していた探索者達に、タイマンで戦って勝て、と言うのだ。

普通に考えると難しいだろう。


「・・・素手で?」


素手であれに勝てと言うなら、修は問題ないだろうが、他の人は大変だろう。


「いえ、武器は使えるそうです。魔法は何故か打ち消されるそうですが」


「・・・・そう」


修はどことなくふらふらした足取りでドスコイに向けて歩き出した。


「御武運を」


ポーラが頭を下げて見送る。

とはいっても、ポーラは心配などしていなかったが。


円の中に入っても、ドスコイは仕掛けて来なかった。

中に二本引いてある線の片方の前に立つ様、ジェスチャーで伝えて来る。

修が素直に従うと、ドスコイももう一本の線の前に立ち、深く腰を落として両手を下げた。


『はっけよーい』


何処からともなく、声が響いた。

修には聞き覚えのある声だった。

間違いなく、神様の声だった。

修は次に会った時に問い詰めることを決意した。


『のこった!』


声と同時に、ドスコイが猛烈な勢いで頭突きを仕掛けて来た。


「セイっ!!」


修はその頭に掌底を叩き込んだ。

ポーラは見た。

ドスコイの頭が、その脂肪と筋肉に包まれた体の中に全て埋まる瞬間を。

勇敢な戦士ドスコイは、ラードになってしまった。


「さ、次に行こうか」


渇いた笑みを浮かべる修に、ポーラは何も言わずに頷いた。

最近感想で色々と頂いておりますが、PTメンバは女性キャラの方が良いのでしょうかね?

出すにしてもポーラが苦戦し始めてからの予定なので、まだ先ですが。


⇒男と女で別れてるので、我が道を行こうと思います。

ありがとうございました。

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