13話 不安な奴隷
日刊1位になっとる・・・。
ありがとうございますありがとうございます
食材購入にカマンの商会に行くと、カマンが居るそうだった。
一言挨拶だけ伝えておこうと思ったが、昼食を一緒にどうかと誘われた。
有難く頂戴することにした。
奴隷であるポーラは残念ながら一緒に食べることは出来ない。
先に帰宅することを勧めたが、ポーラは首を横に振った。
結局、前回と同じようにポーラは修の後ろに控えていた。
カマンと修は食事に舌鼓をうった。
カマンが程よく酔い始めた頃、笑顔で話しかけて来た。
「探索はどうですかな?」
「ようやく三層に入ったところです」
修は素直に答えた。
実際どんなペースかは分からないし、興味も無かった。
カマンは感心したように呟いた。
「流石でございますな。こんな短期間でとは!」
早い方だったらしい。
実際、探索者はそう簡単に階層を進めない。
次の階層で何が起きるか分からないので、無茶はしないのだ。
修は元々馬鹿みたいに強いし、経験値アップの効果でポーラもぐんぐんとレベルを上げている。
その為、非常にハイペースで進んでいるのだ。
「はは・・・。ありがとうございます」
実際の評価は分からない修は困り顔で頭を下げた。
カマンは、ポーラをちらりと見た。
「ポーラはどうですかな?お役に立てておりますか?」
カマンが押し付けた手前、多少は気にしてくれているようだ。
修は頷いた。
「ええ。いろいろお世話になってます。迷宮でも戦ってもらっていますし」
カマンはほっとした顔を浮かべた。
が、すぐに顔を引き攣らせた。
ポーラの腰にある剣を見つめていた。
「そう言って頂けると安心しますな。・・・・・・・失礼ながら、ポーラの腰にあるものは?」
修は何でもないことの様に答えた。
「軽快のダマスカスソードです。二層で宝箱に入ってるのを見つけました」
カマンは目を見開いた。
まじまじとポーラの腰にある剣を見つめている。
「なんとっ?!いやはや、それはまぁ・・・おめでとうございます。・・・・ちなみに売って頂くことは・・・・?」
期待半分、と言った顔だった。
修は申し訳なさそうに首を振った。
「ははは。すいません、今のところないですね・・・」
カマンは残念そうに首を振った。
しかし、想定通りだったのだろう。
「うむむ・・・。仕方ありませんな。売る時は、ぜひともうちにお売りくださいませ」
力強い口調で言ってきた。
修も素直に頷いた。
「その時はお願いします」
カマンは満足そうに頷いた。
そして、続けて口を開いた。
「お待ちしております!・・・ところで、奴隷を増やす予定はありませんかな?今の内からPTメンバーを鍛えると後々便利かと思いますが・・・」
ちらちらと期待するような瞳で修を見つめていた。
修の後ろで、ポーラが軽く身動ぎをしたことを感じた。
なるほど確かにPTメンバーが増えると楽になることはあろう。
鍛えるにしても、早いうちがいいのは間違いない。
しかし、切実な問題がある。
「あ~。お金ないので、また今度でお願いします」
修が苦笑すると、カマンはあっさりと頷いた。
「そうですか。入用になればいつでもお申し付けください」
「その時はお願いします」
カマンの屋敷を出て、買い物ついでに装備品を見て回った。
装備品は、軒並み高かった。
武器屋のカウンターの奥で大事そうに飾られている物があった。
見覚えがあるものだった。
ダマスカスソード
朱金貨6枚
家二件分の値段だった。
「・・・高いんだねぇ」
修は思わず呟いた。
後ろに控えていたポーラが首を傾げた。
「そうでしょうか?命を守るものですので、適正かと思うのですが」
「うん・・・まぁそうだね」
言われてみればそうかもしれないが。
物価が良く分からない、と修は思った。
その後も色々と見て回った。
鎖帷子の様な物があった。
持ってみると、意外に軽い。
鑑定すると、チェインメイルと言う名前の防具だった。
「・・・・うーん。ポーラ、こういうのが良いよね?」
皮の装備と比べると、とても防御力が高そうだった。
ポーラに問いかけると、ポーラは頷いた。
「・・・そうですね。ですが、いずれで結構です。私も防具は一式頂けましたので。まずご主人様の分を揃えてください」
ご主人様優先らしい。
しかし、今の迷宮のレベルなら不意打ちをされても余裕で対応できるだろう。
「・・・分かった」
修は取りあえず保留にすることにした。
結局装備品は何も購入しなかった。
ポーラの勧めに従って、回復薬やら解毒剤やらを多少購入したくらいだ。
夜はポーラの作った手料理に舌鼓をうつ。
「ポーラのご飯は美味しいなぁ」
見知らぬ料理でも、気にせずがつがつと喰う。
ポーラは嬉しそうに修の食べっぷりを見つめていた。
「ありがとうございます」
体を拭いてベッドに横たわると、少し遅れてノックされた。
ポーラだ。
もう本当にポーラの分のベッドはいらなかったかもしれない、などと修は思った。
チョーカーだけの姿はとてもエロかったが、控えめに相手をすると、ポーラも意識を保つことが出来ていた。
二人で布団に包まりながら少し会話をした。
「奴隷って幾ら位なの?」
ポーラは少し複雑な顔して呟いた。
「迷宮用ですよね。朱金貨1枚あれば、大抵は買えると思います」
そっかぁ、と呟いている修に、ポーラが口を開いた。
「・・あの」
「ん?」
修がポーラを見ると、月明かりに照らされたポーラの顔は不安げに揺れていた。
「頑張りますから、捨てないでください・・・」
耳がしゅんと萎れている。
犬なら、『きゅーん』と鳴いていたことだろう。
修は笑ってポーラの髪を撫でた。
「うん大丈夫。捨てないよ」
ポーラはほっとしたようだ。
修の体に、控えめに絡みついて来た。
「ありがとうございます」
大きな脂肪の塊が修の体に押し付けられた。
会話はそこでなくなった。
ポーラはまどろみの中に居た。
鼻を鳴らすと、ご主人様の匂いがする。
微かに頬を緩めてポーラはすりすりと髪を擦りつけた。
迷宮に潜る前にも、魔物と戦ったことはある。
身体能力も優れている自覚はある。
実際に、迷宮の魔物と戦ってもあまり脅威は感じなかった。
しかし、それにしてもだ。
何故か、凄い速度で強くなっている気がする。
一日ごとに、魔物が弱くなっている感覚がある。
慣れだけではないはずだ。
段々と魔物が遅くなるように感じるのだ。
グルードッグには多少驚かされたが、避けるだけに集中すれば全く問題は無い。
この調子なら、すぐに四層に潜ることになるだろう。
途轍もなく高価な武器も渡された。
せめて足手まといにならないくらいには強くなろう。
明日も頑張ろう。
そう思い、ポーラは意識を手放した。
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LV.12
カンザキ シュウ
人間:♂
18
拳士LV.■■
経験値獲得アップLV.3
攻撃魔法LV.3
回復魔法LV.3
鑑定
状態異常無効
称号変更
『探索者』
『拳を極めし者』
『神を殴りし者』
『ご主人様』
所有物
ポーラ
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LV.7
ポーラ
獣人:♀
17
剣士LV.6
『探索者』
『奴隷』
『○○○』
主
カンザキ シュウ
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でも胃が痛いですね