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その拳にご注意を  作者: ろうろう
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129話 タクト

トラッパーは、最初の大穴が無くてもある程度戦える様だ。

が、やはり基本的に自分から攻撃は仕掛けてこないので、ポーラが前衛、後ろからの攻撃をカファが防ぐと言う形で落ち着いた。

面白いのが、虎によってはトラップが微妙に違うことだ。

タライが降って来たり、壺が降って来たりと、どこぞのコントの様だ。

中身が満載されていたので、喰らえばえらいことになるが。


しかし、ポーラの反射神経を上回る攻撃は無かった。

カファも実に冷静に対処するので、問題は無さそうだ。


虎の皮は中々の大きさだが、ぺらいので沢山持てる。

おかげでボスまで発見できた。


----------------------------


LV.37


ボス・トラッパー


----------------------------


相変わらず木の側に隠れている。

大きさは変わらないようだが、ここにボスが居ることは分かっているのだから意味は無いのではなかろうか。


「…」


ポーラが修に視線を向け、こくりと頷いた。

次にカファに視線を向けて歩き始める。

隠れている奴が居れば、こちらも音を殺そうとするのはどういう心理なのだろうか。


ポーラはゆっくりと、足元に注意しながら歩いて行った。

するとやはり途中で看板を発見した。


『押してください』


露骨…!

看板の下に、髑髏マークが描かれたボタンが置いてある。

どう考えても罠である。


「……」


ポーラはそれをスルーして、跨いだ。

カチッ。


「あっ?!」


跨いだその先に、スイッチが!

初歩的なトラップではあるが、トラップ自体に慣れていないポーラに避けろと言うのは酷だろう。

ガパッ!とポーラの足元が開いた。


「!!」


修が走り出そうとした。

ここからでも余裕で間に合う。


「ぉ」


が、修は立ち止まった。

何とあのカファが。

ポーラに体当たりするようにして飛びついたのだ。

思わぬファインプレイを行ったカファと、ポーラがもみ合って地面に倒れた。


「ッ!!助かりました!」


ポーラが叫び、慌てて立ち上がる。

カファも遅れて立ち上がる。

すると、案の定、トラッパーは立ち上がっていた。


指揮棒を持っていた。

ラッパは?


トラッパーが指揮棒を振りかぶると、唐突にどこかでズシン!と音が鳴った。

続けて、ゴロゴロという音が近づいて来る。


「えええ!?」


突如、迷宮のどこかからか。

スパイクボールが転がって来た。

坂でもないのに、一直線にポーラめがけて。


二人は迅速に動いた。

スパイクボールの軌道から逸れながら、ポーラはトラッパーに。

カファはポーラの背を追いながら、スパイクボールを視認し続ける。


「せっ!!」


一気に肉薄したポーラが、トラッパーに斬りかかる。

するとトラッパーは、指揮棒でポーラの剣戟を受け止めた。


「!?」


指揮棒は叩き切れなかった。

メテオドラゴンの剣で斬っていると言うのに。

流石に多少削れているが、しっかりと受け止めきった。

しかし炎の斬撃が飛び、トラッパーの体を焼く。


トラッパーは燃えながらも、ポーラの剣を弾き飛ばした。

するとその指揮棒の動きに反応したのか、スパイクボールが突如破裂した。


「?!」


ポーラは慌ててトラッパーを追うことを止め、カファの影に体を潜り込ませた。

カファは跳んでくるスパイクを盾で防ぐ。

ガンギン!と防ぎきると、ポーラが再びトラッパーめがけて飛び出す。


走りながらもメテオドラゴンの剣を軽く振り続け、炎の斬線を飛ばし続ける。

トラッパーはその炎を受けながらも更に指揮棒を振る。

すると、ポーラがつるんと滑って転んだ。


「え?!」


足元に。

足元にバナナの皮が。

ポーラはその体勢からも空中で回転し、見事な前方回転受け身を取って再び駆けだした。


更に指揮棒が唸る。

すると今度は地面に魔法陣が浮き上がる。

すぐにそこから、バーサクラッコが出現した。


「ちっ!」


これは非常に厄介だ。

修が鑑定したところ、レベルは18だった。

階層の半分と言ったところだが、魔物が複数現れるのは想定外だ。


そう思っていた。

しかし召喚されたバーサクラッコは、キョロキョロと辺りを見回すと、一番近くにいるトラッパーに襲い掛かった。

流石の暴走野郎だ。

殴り掛かられるトラッパーは慌てて指揮棒を振る。

ラッコの足元にボタンが出現し、ラッコはあっさりとそれを踏んだ。

バーサクラッコ、真っ逆さま。


「……」


阿呆共だ。

修は実に呆れた顔で見つめていた。

その間に、ポーラが接近してる。


「はあああああっ!!」


長引かせるのは不味いと判断し、ゴッドソード・改での攻撃だった。

指揮棒ごと、トラッパーを真っ二つだ。



仕留めることは出来た。


「ここは二人だとちょっと不味そうだね」


修はポーラに釘を刺しておくことにした。

カファと二人で潜るのは良いのだが。


「…はい」


トラッパー自体は強くないが、予想外の出来事が起きやすそうだ。

魔法陣も、ラッコでは無くてまともな敵が出てきたら不味いかもしれない。

最終手段のエクス○リバーはあるが。


二人ではここの探索は禁止だ。

潜る時は、保険の為に修にも声をかける様に言っておいた。




帰って虎の皮を売った。

何だか、偉い人が買うらしいので、予想以上に高く売れた。

ポーラとカファにも、臨時収入のおすそ分けをしてあげた。

カファは相変わらず、早々にアレを買いに行った。

ポーラさんも、いつも下着を買ってばかりではない。

こっそりと化粧品とかを買いに行った。

ポーラの部屋が、今や化粧部屋になっているのは気のせいだ。




夕方には温泉に向かった。

修がポーラの全身を隈なく洗ってあげたが、ポーラはどこを触られても喜ぶ。

正に犬である。

無論、特に喜ぶところはあるが、温泉で変なこと出来る訳がないのでほどほどに。


そして隔離された場所で、少しずつお湯を吸うカファ。

余り吸うとばれるぞ。


夕食も宿で頂き、帰宅してからは実にゆったりと過ごした。

ちなみに、カファがあまり水を飲まなかったので、温泉を吸っていたことがバレた。


そしてポーラも松葉を崩されてどえらいことになった。

暴れるポーラの手が枕をゲットし、ズタズタに引き裂いていた。

修は平気だが、ベッドもズタズタにされそうなので、手を縛ってみた。

意外に興奮したので続行したら、ポーラがくにゃくにゃになった。

軟体動物の様だ。

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