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その拳にご注意を  作者: ろうろう
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121話 とある日常

女将さんは喜んでくれた。

その日の夜に起きるであろう出来事については、考えないことにした。

それにしても、最近親方が疲れているらしい。

また一度、親方に会いに行くことしよう。


帰宅してからは、機嫌が悪くなっているポーラさんのご機嫌取りだ。

カマンからもらった箱の効果で、半日はどんな音も外に漏れないので、ポーラさんを焦らしに焦らしてみた。

ポーラが泣いて、あられもない言葉を叫ぶのを堪能した後に、じっくり喜ばせてあげた。

鬼畜野郎である。

そこからは執拗に責めてみた。

あんなに欲しがったのに、今度は泣きながら許しを乞うてきた。

全く容赦しませんでした。


すると、理性を無くしたポーラさんに思いっきり肩を噛まれて、鋭い爪で掻き毟られてしまった。

一般人ならどえらいことになっていただろうが、修は痛くは無い。

むしろ逆にお仕置きしたら、最後の方は意味のある言葉は発さなくなった。

やりすぎちゃった、てへぺろ。




翌日の探索はお休みした。

ポーラの体力が無くなっていたので仕方ない。

目を覚ますのも遅かったし、覚ましたら覚ましたで、


「…?…??…???」


としばらく頭に?を浮かばせて辺りを見回していた。

いつ気を失ったかも定かではないようだ。

失神させては目覚めさせて、また失神させていたので、ポーラは悪くは無い。


しばらくして、陽が高いところにあることに気付いたポーラは慌てて立ち上がろうとした。


「ッ?!」


そのままベッドに突っ伏した。

まだ腰が抜けていた。


全裸のまま立ち上がろうともがくポーラを寝かしつけて、修が家事をした。

修は料理も出来るのだ。

この世界の調味料とかが分からなかったので今までしなかったが、最近はようやく覚えた。


修の手料理を食べたポーラは、暫く撫でてやると寝始めた。

やはり体力が。

今夜はお休みしなければ。

カファにも水をたっぷり渡してあげたが、迷宮が休みと聞くと速攻で引きこもった。

そしてお小遣いを渡すと、アレを買いに行った。

ぶれぬ。




修はまた一人で歩いていた。

最近、カマンとゆっくり話していなかったので、お話しに行こうと考えていたのだ。

特に、ゼガンの街の事が気になる。


都合よく、カマンは在宅で、時間もあるそうだ。

この辺りの匙加減は作者が決めれるので、とても楽だと思う。


メイドさんに案内され、カマンの私室に案内された。

カマンも最近忙しかったようで、久々に休日を満喫しているところだった。

とはいっても、彼も商人である。

話の内容は、とてもそれっぽい物だった。


「温泉の売り上げは上々ですよ!」


まずは温泉の話だ。

山を登らないで済むと言う利便性から、お客さんがひっきりなしに表れるのだ。

しかも美肌効果。

女性に人気だし、温泉により美肌を手に入れた女が自慢げに肌を晒すため、男も寄り付く。

笑いが止まらない状況だ。


「それはよかった!」


修も温泉の布教活動が成功して嬉しい。


「また新しい宿を作りはじめましたよ」


あまりの客の多さに、現在拡張工事中だ。

そういうことならと、修はまたお手伝いの約束をしておいた。

親方も大喜びだろう。

そこからも、温泉話で盛り上がった。

酒が上手いとか女性の肌がどうとか、どうでも良い会話だが。


温泉話が一段落ついたころ、修が新たな疑問を投げかけた。


「そういえば、メテオドラゴンの素材ってどうなったんですか?」


カマンに売ったが、素材自体は少なかったはずだ。

あれが売れたのかは、とても気になるところである。


「ええ、全て売れましたよ!」


カマンはやはり、ほくほく顔だ。


「そうなんですか…。何に使うんでしょうかね?」


やはり売れたのか。

しかし、バラバラになって売ったとすると、本当に装備品にはならない。

頑張って集めても、アクセサリーくらいが関の山だろう。


「そうですね。武器や防具品に出来る程の量はありませんでしたが、お守り代わりですね」


カマンはポケットからメテオドラゴンの鱗を取り出した。

カマンも一つ、売らずに持っておいたのだ。


「お守りですか」


それは盲点だった。


「『こんな魔物の素材がある』と言うだけで自慢にもなりますしね。例え買った物でも、それだけの財力がある証明です」


偉い人の考えることは良く分からん。

修はそう納得した。


「なるほど」


メテオドラゴンの素材は、ほとんど領主や金持ち連中が買い占めたらしい。

カマンと同じように、お守りにでもしているのだろう。


最後に修は、一番気がかりなことを聞いた。


「そういえば、ゼガンの街には?」


領主と一番で買い商会の長、さらには暗殺者ギルドまで潰したのだ。

一応は気になるのだ。


「親戚が向かいましたよ。デマンと言う、私の叔父です。隠居していたのですがね、やはりこういう話を聞くと我慢できなったそうですよ」


カマンは苦笑しながら言った。

ちなみに、情報も売った。

家族でも容赦なし、と言いたいところだが、家族にだからこそ売ったのだ。


「なるほどー。…ご家族のみなさんは商人なんですか?」


カマンの家系は家族が多すぎる気がする。

もう3人目で、今のところ100%商人だ。


「ほとんどは、そうですな」


カマンは頷いた。

やはり。


「それはまた、凄いですね…」


修は感心した風に呟いた。


「向き不向きは決めるのですけどね?商人になるつもりの者は、まず行商をさせるのですよ」


なんかそういうことらしい。


「ははぁ」


行商から始めるから、フットワークが軽いのかもしれない。

ラマンは軽すぎる気がするが、カマンも自分の足で向かうのだ。


「そういうえば…。ウマンの奴が行商に出たとか…。ああ、親戚なのですがね。時期的に、そろそろこの街に到着するのではないでしょうかな…」


カマンが思い出したかの様に呟いた。

新しい商人の登場だ。


「おおー」


しかも名前から推測できる。

顔もそっくりなのだろうか。


「もしこの街に来たら、一度会われますかな?まだまだ青いですが、かなり才能はある方だと思いますよ」


カマンも可愛がっているのだろうか。

そんな申し出まで出してきた。


「そうですね。時間があればお願いします」


ウマンとやらの顔に興味がある修は、頷いた。

しかし、カマンの家系の女性も顔はそっくりなのだろうか、ということはとても聞けなかった。




そして夜。

ポーラさんは、夕食を食べるとまた爆睡した。

体力を使わせ過ぎたのだ。

あのプレイは、またポーラのレベルが10くらい上がった時に試してみよう。

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