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その拳にご注意を  作者: ろうろう
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116話 ○村にもあの加速力があれば

変態は厳重に拘束されて連行された。

パンツは女性たちが小屋に集まって、各自回収されていた。

ポーラは苦悩の末にパンツを燃やしていた。


観衆の中で晒されたあのパンツは、お気に入りとはいえ履く度胸は無い。

しょんぼりとしているポーラを、修が慰めた。


「新しいのを買いに行こうよ、ね?」


「…はい」


修はあの買い物の悪夢を忘れているのだろうか。

否。

覚えていてもなお、ポーラの為に魔境に足を踏み入る覚悟を決めたのだ。

男前だ。

そして戦場へ。



ポーラさんに連れられて女性用下着のコーナーへ。

覚悟は決めて来たが、更に奥の魔境へは行かなかった。

修は冷や汗を拭いながらも安堵した。

しかしそれでも女性用下着コーナーである。

価値観が狂っている。


ポーラがとっかえひっかえ下着を選んでいるうちに、修はちらちらと他の下着を探した。

そして目を見開いた。


「しましま…だと!!」


ブルーのストライプ柄のオパンツ様がそこに!!

修はすぐに理性を取り戻して、さりげなく目を反らした。


「…ではそれも一つ」


しかしポーラはそれを察知し、俊敏に取り込んだ。


「え、あ、うん…」


実に目ざとい。

そして。


「こちらとこちらではどちらの方が…?」


戦場の鐘が鳴らされた。

始まってしまったのだ。

ポーラが持っているのは、どちらも清楚な物だ。

純白のフリルがついた素敵なパンツだ。

修には、どちらでもよかった。


「ポーラはどっちも似合うよ」


前回と同じ回答な気ががする。


「ありがとうございます。では…」


ポーラはどちらも購入する気だ。

失ったパンツが1に対し、新規購入が3だ。


「あ、こちらも」


ポーラはそれだけに飽き足らず、お胸を覆う物まで買う気の様だ。

専門用語でいうと、ブラジャーと言う。


「え!?」


まさかこちらまで!

確かに上下揃っている方が見栄えは良い。


「…大きくなってしまって。シュウ様に揉まれているからでしょうか?」


ポーラさんは恥ずかしそうに呟いた。

店のそこかしこから、チッ!と舌打ちの音が聞こえて来た。

女性の皆さん、清楚になさって。


「……」


修はポーラの胸を見る。

元々大きかったが、確かに最近さらに大きくなっている気はしていた。

気のせいではなかったのだ。

修の視線を受けるポーラは、恥ずかしそうに身をよじりながらも隠さず、はにかんだ。

100点をあげたい気分だ。




夜は実に楽しんだ。

今なお進化し続けるポーラのスポンジを堪能しまくった。

そして下着は新規購入したものだった。

ポーラは脱がないままにせがんで来た。

匂いをつけているのだ。

恐ろしい娘である。




翌日、33層に向かった。

全く関係ないが、装備を着込むときは、ポーラさんはさらしを巻いている。

「動くときに邪魔なんです」と言っていた。

マテナとかが聞けば、怒り狂いそうである。


33層は普通に草原だった。

そして原っぱの真ん中に魔物が居た。

魔物は寝転んでいた。


蒼い。

そして細い。


魔物がふらりと立ち上がった。


----------------------------


LV.34

ブルーバニー


----------------------------


まさかのバニーシリーズ再び。

しかも青って。

ブルーラビットが居たではないか。


ブルーバニーは、グリーンバニーとは全然違う。

人の体にウサギの顔は以前と変わらずだが、マッチョではなく、全身が蒼いのだ。

水着の見た目ではない。

それだけでも精神的にはだいぶ楽になる。

しかし、両手両足がぷるぷるしている。

何だか今にも折れそうだ。


ブルーバニーはふらりと進み出た。

幽鬼の様だ。


「ファイアバースト!」


取りあえず燃やしてみたが、普通に燃え尽きた。


「「……」」


落としたアイテムは、『ウサギの骨付き肉』。

奴のどこに肉があったのか。

ただ、それを問い詰めたい。




次のブルーバニーはポーラ達が相手をした。

ふらりと立ち上がったブルーバニーに、ポーラとカファが駆け寄る。


「行きますよカファ」


「……」


カファも何も言わずに、ポーラの前をずんずんと走る。

そして間合いに入る直前、ふらふらと歩いていたブルーバニーが腰を落として、構えた。

右手でジョーを守り、左手を振り子の様にひゅんひゅんと振り始める。

意識して見れば、細い手は異常に長かった。


「ヒットマンスタイル!?」


修は唸った。

良く見れば、ブルーバニーは眉毛がスゲー太く、ふてぶてしい面構えをしている。

ウサギ顔のくせに。


そしてブルーバニーからは不吉な気配が漂って来る。

左手が、死神の鎌の如きイメージを見せつけて来るのだ。

不穏な気配を感じたカファは立ち止まった。

間合いの一歩外で立ち止まったつもりだったが、ブルーバニーのリーチはお構いなしにカファの盾を叩いた。


「やはりフリッカーか!!」


変幻自在の動きで、様々な角度からカファの盾を叩く。

その圧倒的なリーチは、盾から覗くカファの末端すらも標的にした。


「……」


カファは縮こまり、それを耐えた。

迂闊に踏み込めば、刈られる。

そう理解して待ちに徹したのだ。


そこで飛び出すポーラさん。

何時もとは違い、間合いはかなり離れている。

まだブルーバニーの距離だ。


「っ!」


ポーラは見事だった。

拳の引きに合わせて、大きくブルーバニーの懐に飛び込んだのだ。

何と言う加速力か。

そして剣をその細い胴体に叩き付けようとしたところで。


「チョッピングライトに気を付けて!」


修の叫びが、ポーラの耳に飛び込んだ。

チョッピングライトって何ですか?と言う疑問が頭の中を流れたが、同時に感じた怖気により、体勢を低くし、更に懐に踏み込んだ。

その頭の上を、打ち下ろしの右が通り過ぎた。


「ちっ!」


ポーラはバニーのどてっぱらに剣を叩き込みながら、ブルーバニーから飛び離れた。

それを追おうとするブルーバニーに対して、カファが盾ごとぶちかましを仕掛ける。

ブルーバニーは力勝負は苦手なようで、何故かキュッキュッと素足を鳴らして、軽快なステップを踏んでカファから飛び離れた。


そしてにらみ合う。


「…なるほど」


ポーラは一言呟いた。

同時に、カファが盾を構えて一歩前進する。

また怒涛の攻撃がカファの盾に叩き付けられる。


そして先ほど隙を伺っていたポーラが、引き手に合わせて踏み込んだ。

先ほどまでよりも、低い低い体勢だ。

タイミングは完璧で、またあっさりと懐に潜り込む。


そして放たれるチョッピングライト。

ポーラはそれを、前転で回避した。

その体を最大限に丸めた窮屈な体勢のまま、ブルーバニーの腹の前で。

空中を一回転だ。


同時に、ブルーバニーの顔を何かが覆った。

パサッ、と軽い音が響いた。


「?!」


視界を奪われたブルーバニーが、泡を食って首を振る。


「ド、ドラゴンフィッシュ?!」


修が呻いた。

全然違うが。

ポーラの尻尾が、ブルーバニーの顔を覆ったのだ。

人によっては垂涎物の御褒美だ。

修なんかは二日に一回はこうなる。

お返しに、ポーラさんは大いに喜ばせられて、大満足だ。

そんな話はさておき、


「はっ!!」


尻尾を振り払ったブルーバニーが見たのは、ポーラの踵だった。

ウサギの脳天に、ポーラの踵がめり込んだ。

火花が散りそうな轟音が響いた。

頭蓋骨、大丈夫ですか?と聞きたくなる。


ポーラの浴びせ蹴りを喰らったブルーバニーが、額を押さえてぐらりと傾いた。


「しっ!!」


そこに、蹴りを叩き込んでおきながらも見事な着地を決めたポーラが襲い掛かった。

剣を十字に交差させ、ブルーバニーのひょろい胴体を挟みこむ様にして斬りこむ。

まるで呉鉤○字だ。

何時の間にそんな技を。

ブルーバニーは、呉鉤十○を喰らって息絶えた。

やっぱりタフではないようだ。

ベストファイトでしたよね。

あとホモレモン

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