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その拳にご注意を  作者: ろうろう
110/136

107話 お肉分け

106話のお守りの件です。

誤解を解いておかねばらない使命感に襲われました。


嘗ての日本では、召集された兵士が妻や恋人の下の毛をお守りとして戦地へ持参したという話やプロ麻雀師が一大勝負に赴く時に懇意の情婦の下の毛を「運気が向上する」とお守りとして持参したという話もあり、これに倣って下の毛が受験や賭け事や勝負事でのお守りになるという言説もしばしば見られる。

科学的な根拠があるという訳ではないこれらの例も性を神秘的な物と捉える、古い時代からの性器崇拝の名残りであるといえよう。

byぺでぃあ先生


つまり何が言いたいかと言うと、私はごく一般的なジャパニーズと言うことです。

決して変態などではありません。

ただのオープンスケベです。

修は早朝にはカマンの屋敷に帰って来た。

さしものカマンも、口をあんぐりとあけて修を迎えた。

もう早いとかそういうレベルではない。


「シュウ様っ!!」


ポーラはいの一番にすっ飛んで来た。

勢いをまるで緩めず、修の胸に飛び込んで来る。

普通にぶつかれば事故レベルだが、修はポーラを受け止め、回転して勢いを殺した。

流水の動き…!


「ただいま、ポーラ」


胸に顔を埋めて来るポーラを抱きしめてやる。

やはりポーラのおっぱい素晴らしい。


「ああ、シュウ様!!ご無事を信じておりました!」


ポーラは涙を浮かべて修に体をすりよせ、力一杯抱きしめて来た。

魔王を倒しにいった勇者を出迎える、王女の様な雰囲気だ。

ギップリャ。


「大丈夫だよ」


修は苦笑してポーラの背中を撫でてやる。


「ああ、シュウ様…」


ポーラは修の胸に頬を押し当て、うっとりと頬を染めていた。

半日離れていただけなのだが。




その日は迷宮は止めた。

修はリアル徹夜だったが、別に問題は無い。

ポーラとカファが徹夜だったのが問題だった。


カマンは、早速とばかりにゼガンの街に手を伸ばす準備をし始めた。

何でも、親戚を向かわせるそうだ。

一体何人いるのだろうか聞きたくなったが、緊張感の切れたポーラがうつらうつらし始め、カファは立ったまま寝ていたのである。

早朝から、カファを背中に張り付け、ポーラをお姫様だっこして帰った。

ポーラはもう、どえらい嬉しそうだったが、やっぱり目をしょぼしょぼさせていた。

カファをベッドに寝かせてやり、ポーラも修のベッドに寝かしつけた。


修はその後、運動した分の食事を取って、ポーラの隣に潜り込んだ。


「しゅうさまぁ…」


寝ているポーラが縋り付いて来た。

抱きしめてやると、安心した様子で胸に顔を埋めていた。

愛い奴よ。

その日のポーラは今までで一番の甘えん坊さんだった。




翌日に、迷宮に潜った。

おかしな視線は感じなくなったので、31層だ。


「お」


でっかいカタツムリが居た。

マジででけぇ。

修の胸元くらいまでの高さがある。


----------------------------


LV.31

イマイマイ


----------------------------


とりあえず様子見だ。


「ファイアバースト!」


様子見とは到底思えぬ火力の魔法が飛んだ。

イマイマイは動く様子も見せず、火球はあっさりと着弾した。

火球が破裂し、燃え上がる。


「…あれ?」


燃え尽きはしなかった。

途轍もない硬さだ。

が、殻が真っ黒に焼け焦げている。

もう軽く叩くだけで崩れ落ちそうだ。

しかしアイテムにはならない。


「……」


修が歩み寄った。

目の前まで来たのに、やはり反応しない。

修が殻を軽く叩いてみた。

案の定、ぼろぼろと殻が崩れ落ちる。


「え!?」


中は空だった。

同時に、地下からナメクジが飛び出してきた。

ナメクジの癖に顔があり、何か舌を出して変顔している。

実にイラつく『いないいないバー』だ。


「ぬん!」


修は踏みつぶした。

飛び出しかけていたナメクジが潰れて死んだ。

落としたのは『エスカルゴ』。

今夜はエスカルゴ料理だ。




二匹目からはポーラ達の出番だ。


「カファ」


どういう敵なのかは、もう分かっている。


「……」


まずカファが近づき、イマイマイの殻を蹴飛ばした。

がらぁん!と音を鳴らして、殻が倒れた。

やはり無人。

次の瞬間、カファの足元からイマイマイの本体が飛び出してきた。

カファは実に落ち着いて後ろに下がった。


虚空に飛び出たイマイマイは、目の前に相手が居ないことに気付くと、空中で周囲を見回した。

そしてカファを視界に捕えると、『ぶっ!』と唾を吐いて来た。

汚らしい。


「……」


カファは盾でそれを受け止めた。

すると、盾に付着した唾が、じゅうじゅうと音を立てていた。

ミラードラゴンの盾には傷はつかなかったが、酸だ。

ポーラはそこまで見てから動いた。


「せっ!!」


二本の剣で、下からイマイマイの本体を掬い上げる。

イマイマイは上空に打ち上げられた。


空中に打ち上げられたイマイマイは、唾を降らせて対抗していたが、カファに防がれ、ポーラに躱される。

唾の絶対量が明らかに足りない。

地面に落ちそうになれば、またポーラに打ち上げられる。

そしてお手玉のように空中を跳ねあげられ続けた。

空中に居る間にも、ポーラの炎の剣戟がイマイマイを燃やす。

さながら無限コンボである。


イマイマイはそこから一度も着地することなく、息絶えた。

とはいっても、3回目のフライハイだったが。


三人分のリュックが満載になるまで戦った。

夕食に全て使うのかと思ったが、ポーラさんは、ほとんど売っていた。

お肉とエスカルゴには大きな違いがあるらしい。


昼からも、ポーラはカファを連れて迷宮に向かっていた。

これで今晩もお肉が出て来るのは違いあるまい。


予想通り、二人分のリュックが満載になるまでお肉を集めていた。

修は本当にたまたま、迷宮帰りのポーラさんと出会った。

そのまま買い物に付き合ったのだが、何と、ポーラがお肉をカマンに分けていた。

実に意外だ。

お世話になった人にはちゃんとお礼をするらしい。

でもそれは渡し過ぎだと思います。

中年男性であるカマンさんが胸焼けしてしまう。




ちなみにポーラとカファは二人で迷宮に向かったり、30層でずっと戦ってた分、レベルがかなり上がっている。


----------------------------


LV.50

ポーラ

獣人:♀

17


剣士LV.54

二刀剣士LV.47


『探索者』

『○○○』


----------------------------


----------------------------


LV.40

カファ

木人:-

16


盾士LV.44


『奴隷』



カンザキ シュウ


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世の探索者が羨やむ速度だ。

特にカファは、何かもうスゲーことになっている気がする。

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