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その拳にご注意を  作者: ろうろう
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102話 闇に降り立たなかった

ある日の夜。

修は、親方達に呼ばれた先にある建物に向かった。

そこでは、テーブルが置かれ、4面に椅子があった。

そしてテーブルの上にあったのは、麻○台だった。

○雀がこの世界にもあったのだ。


「麻○ですか?」


修は目を丸くして○雀牌を見た。

微妙にデザインは違うが、知っている物と酷似している。

丸パクリではないか。

しかし修は神を褒めてやりたい気分だった。


「お!?知ってるのかボウズ!」


親方は嬉しそうな声をあげた。


「はい…」


じっと牌を見つめながら、修が頷いた。


「そいつぁいい!!今人数が足りなくてよ!おら、ボウズも座れ!」


親方達は機嫌よくそれぞれの席に座り、空いた席に修を誘った。


「はい」


修が座った。

座った瞬間、修が変わった。

普段感じるぽやぽやとした感じはなりを潜め、歴戦の戦士の感覚を醸し出し始めた。

心なしか、鼻と顎が鋭角に伸びた気がする。


(…できる!!)


修から溢れ出る雀力に、親方・マハッタヤさん・ゴンザレスさんは戦慄した。




そして戦いが始まった。

間違いなく鼻と顎が伸びた修に対し、親方達は冷や汗を流しながら静かに順を回す。


「ロンッ…!」


修が叫ぶと、直撃を受けたゴンザレスさんがビクリと震えた。


「ば、馬鹿な…!」


親方達も戦慄した。

そんな気配、毛頭感じなかった。

しかし修はニヤリと笑った。

ゾクリと親方達の背筋に怖気が走る。

修が牌を倒した。


「タンヤオ…!」


めっちゃ普通だった。

雰囲気とは恐ろしい物だ。




「リーチ!」


修が叫んだ。


「?!」


相変わらず、何か一発仕掛けてきそうな雰囲気に親方達が震える。

そして修の番がめぐって来た時、修がニヤリと笑った。


「ツモッ…!」


修が叫び、牌を倒す。

やはりゴミの様な点数だった。


親方達は、「はぁーっ!」とため息を吐いた。

いちいち心臓に悪い。




修はどんどん上がって行く。

点数は全然ないが、電光石火の勢いだ。

親方達は全然上がれないまま、一戦終わった。

修の圧勝だった。




二戦目が始まった。


「「「「……」」」」


全員でじゃらじゃらと牌を鳴らしながら、親方がちらりと修以外の二人を見る。


(…このままではいかんぞ)


(分かっていますよ)


(次はやっちまいましょう)


見事なアイコンタクトで会話を繰り広げた。

修が如何にゴミの様な点数で上がっても、それが連続で続けば問題だ。

他の人たちが上がる間すら与えられないのだ。

こうも容易く負けては、大人の威厳にかかわる。

そこで、3人で共闘しようと言うのだ。

しかし、


「クク…!」


突如修が、修とは思えぬ笑い声をあげた。


「「「!?」」」


三人が目を剥いた。

まさかバレたのだろうか。

いや、バレていようが関係ない!

数の暴力を思い知らせてやる!!

親方達は団結した。


マハッタヤさんがちらりと親方を見る。

親方はそれをみて軽く頷き、ゴンザレスさんに視線を向けた。

マハッタヤさんが行けそうなのだ。

その為、マハッタヤさんに集めようとしたのだ。

親方達の協力により、順調にマハッタヤさんに牌が揃った。

しかしマハッタヤさんに電流走る――!


「ツモッ…!」


修が叫んだ。


「馬鹿な!?」


ガタン!とマハッタヤさんが立ち上がった。

3対1である。

だと言うのに、修が先に上がったのだ。

マハッタヤさんは、到底信じられぬと言う顔で叫んだ。


「イ、イカサマだっ!!こ、こっちは三人でー」


「マハッタヤッ!!」


親方が叫んだ。

マハッタヤさんは、自分が何を口走りかけていたのかに気付いて、ハッと口を噤んだ。

すると修は、また「ククク・・・!」と笑った。


「見当はついていたけど案の定、人をはめることを考えていた人間の発想。―痩せた考え…」


別に常日頃からそんなこと考えている訳ではないので、そんないわれを受けることは無い。

だと言うのに、マハッタヤさんがぐにゃあ~、と歪んだ。

ざわ…ざわ…とか不思議な音まで聞こえてきそうだ。


「ぐぅっ!!」


マハッタヤさんが勢いよく着席した。


「続きだ!!」


そして叫んだ、

ちなみに修の上りは、またタンヤオである。

しょぼい。




何だか全員の鼻と顎が伸びた様な気がするが、恐ろしい戦いは続いた。

相変わらず修が上がりまくっているが、時々は親方達も上がれるようになった。

三人の力の結集させているのだから当然と言えば当然なのだが。


そんな時、修が牌を掴んだ時、僅かに口を歪めて呟いた


「…きたぜ。ぬるりと…。反撃開始だ!」


あんたが押してますがな。

しかし不思議な威圧感を感じた親方達は、


「う……!」「うおっ…!」


と呻いてしまった。


「ツモ!!」


修が叫んだ。

8000点だった。

修にしては珍しい。




またある時、修は突然棒テン即リーを決めた。


「ぬぅぅ!!」


親方達は唸る。

しかし、


「悪いな、ノーテンだった」「俺はこの8000で、後の三巡を買う」


とか頭のおかしいことを言い出し始める始末。

卓上の破壊者・修はその後も荒らしまくった。

相手を呑み込むその打ち筋はブラックホールの様でもあった。


荒らされまわった親方達は、ゲッソリしてしまった。

修の一人勝ちオンパレードなので仕方ない。


「もう、終わりにするか…」


気付けば夜も良い時間。

親方が〆にかかったが、


「倍プッシュだ…!」


完全にスゲー鼻と顎をした修が、頭のおかしいことを言った。

しかし、親方達も疲れて我を取り戻していたのだ。


「いや、帰るわ…」


すると修もようやく元に戻った。


「あ、そうですか。お疲れ様でした」


4人で仲良く片付けをして別れた。

賭けなどしていない、健全な遊びでした。


不条理を味わいまくった親方達は、二度と修を呼ぶことは無いだろう。

しかし不合理に身をゆだねてこそギャンブル…!!


ちなみに修の強かった理由は簡単だ。

元々運が良いのと、牌についた指紋で、全て覚えたのだ。

ガン牌である。

修は、知恵は無くとも、記憶力は良いのだ。

更にイカサマし放題。

カメラにも残像すら残しはしない。

とんだチート野郎である。

麻雀詳しくないです。すいません

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