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その拳にご注意を  作者: ろうろう
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100話 温泉のある日

100話まで来ました。

ここまで続けられたのは、間違いなく皆様のおかげです。

ありがとうございます。

ゲームセットはすぐだった。


カファを先頭に、左右からサムハンとシャラが。

その後ろにはガザリーが付き、遠くからはカリアが。

ポーラは前衛の間を駆けて、臨機応変に攻撃して来た。


全部デコピンで弾いた。


「………まだまだ、か……」


サムハンは前回よりも16発も余分に食らったのに、意識を保っていた。

大した進化である。


「……………………」


32連射を喰らったシャラは、幸せそうな顔で気絶していた。

温泉でサムハンと二人っきりの夢を見ているのだ。

そっとしておこう。


「どうなってるのよ一体…」


魔力の限りを尽くしたカリアは、止めのデコピンを喰らって大の字に倒れ、空を見上げて呟いていた。


「一朝一夕では、か…」


ガザリーは渋い。

おでこが晴れていても渋い。


「……………はぁ」


カファは「やっぱりな」と言う顔をして倒れている。

まだ余裕はあるが、立ち上がる気はない。

攻撃部隊が全滅しているのだから仕方ない。


「……素敵です、シュウ様……」


ポーラも毎度の如くぶっ倒されながらも、瞳が輝いていた。




いい感じで汗も流したので、連れだって温泉に向かった。

常連の修が道案内だ。


「楽しみですね、サムハン様!」


シャラが瞳を輝かせて、サムハンに話しかけていた。

とってもテンションが高い。


「ああ、そうだね」


サムハンも楽しみにしているようで、ハンサムっぽく期待した笑みを浮かべている。


「興味深いな…」


ガザリーは何か、研究者の様な風情だ。

そんな中、修がこっそりとカリアに近づいた。


「あの…」


カリアも温泉は楽しみなようで、微笑んでいる。


「ん?」


修がごくりと唾を呑みこんで、恐る恐るカリアに疑問を投げかけた。


「カリアさんは、その、大丈夫なんですか?」


カリアは美しい髪を揺らして首を傾げた。


「あら、何が?」


当然、股間のエレファントについてだ。


「だってその、アレが付いて…」


修が言葉を濁した。


「アレ?何の事かしら?分からないわ?」


カリアうっそりと微笑んだ。

修は戦慄した。

まさか、まさか。

パオーンを無くしたというのか!?

修の頭の中に、幻覚が見えた。

親象と引き離される子象が、悲しげに「パオーン!」と泣いている姿だ。

一度引き離されたら最後、二体は永遠に再会できないのだ…。


「……いえ、気のせいでした」


修はカリアから目を逸らして呟いた。


「うふふふふふふふ。不思議なシュウ君ねぇ…。どう?今夜一緒に…」


カリアが笑みを浮かべて、修に擦り寄って来た。

修のナニをどこに入れようと言うのか。


「ひっ!!ごめんなさい許して下さい!!」


修が恐れ戦いた。

すると、ポーラがすっと修とカリアの間に身を割り込ませてきた。

カリアは目を丸くしてポーラを見つめたが、ポーラはすました顔だ。

カリアは苦笑した。


「うふ。うふふふふ。妬けるわねぇ」


ポーラと修にパチンとウインクを飛ばすと、サムハンの側に歩いて行った。


「ご安心くださいシュウ様。シュウ様は私がお守り致します」


ポーラがとても心強いことを言ってくれた。


「ぅぅ。ポーラ…」


修はポーラに縋り付いた。

ポーラは聖母の微笑みを浮かべて、修の頭をなでなでしていた。

修さん情けない。





サムハン達はまとまった金を持ってきているらしい。

個室風呂を取っていた。

修達はそこで彼らと分かれ、専用の風呂に向かう。


温泉では、修とポーラは相変わらずイチャコラし続けた。

仕切りの向こうにカファが居ることなどお構いなしだ。

カファも気にしていないし。


修がポーラを背中から抱きしめていた。

悪戯心で、たわわなスポンジを軽く触ってみた。


「やんっ。シュウさまぁ」


ポーラは甘えた声をあげて身をよじった。


「ポーラは柔らかいなぁ」


修はとっても良い笑顔だった。

さすがのマイスター。


「シュウ様は逞しいですぅ…」


ポーラは修の胸板にもたれ掛かり、そっと呟いた。

すると、修のもう一つの腕もスポンジをゲットした。


「ひゃっ。駄目ですよぉ、シュウさまぁ」


ポーラはとっても嬉しそうな悲鳴をあげて、すりすりと修の首筋に髪を擦りつけた。


「いいではないかいいではないか~」


修はやりたい放題していた。


「あ~れ~」


何してるんだこいつら。

桃色オーラを刻一刻と濃くしていく中、突然声が聞こえて来た。


「わっ!わぁ!?」


サムハンの声だ。

ここまで届くとなると、相当に大きな声を出した筈だ。

一体何が起きたのだろうか。


修とポーラは至近距離で見つめ合い、二人とも目に「?」を浮かべた。

ポーラさんは、修の肩に後頭部を乗せて可愛らしくキョトンとした顔を浮かべている。

二人同時に声のした方に耳を澄ませる。

辛うじて声が聞こえて来た。


「シャ、シャラ!!嫁入り前の女の子が肌を!」


どうも、サムハンの入っているお湯にシャラが乱入したらしい。

サムハンは純情な様子だ。


「ちゃんと隠しているからいいじゃない」


カリアの声も聞こえて来た。

というかやはり堂々と入っているのか。

カリアの象さんは、永遠に失われたのだ。


「カリア!!君まで!!」


サムハンの裏返った声を初めて聴いた。


「だ、大丈夫です…。ちゃんと隠しているので…」


シャラの恥かしそうな声も聞こえて来る。


「そ、そういうことではなくて!」


サムハンはいい感じでテンパっているようだ。


「…良いではないか。苦楽を共にする仲間なのだ。一線さえ守れば良い」


懐の深い兄貴分、ガザリーの落ち着いた声が聞こえて来た。


「ガザリー!?」


サムハンの声が、唯一の味方を失って揺れていた。


「さっすがガザリー、話が分かるわね!」


カリアの嬉しそうな声が聞こえて来る。

同時に、ザバリと音も聞こえて来た。


「うむ。では俺は向こうに行く。楽しむが良い」


すぐにシャッ、と仕切りが動く音がした。

大好評のため、個別風呂には全て設置されたのだ。

ガザリーが仕切りの向こうに消えたことで、サムハンは孤立無援になったようだ。


「ちょっ!まっ!!」


慌ててガザリーの後を追おうと、サムハンが立ち上がったような音が聞こえる。


「サ、サムハン様…」


シャラの声が聞こえて来た。


「わぁ!!」


サムハンの悲鳴も。


「サムハン…」


すぐにカリアの声まで聞こえて来る。


「うぉ!?」


サムハンは二人に捕まったのだろうか。

デバガメはやめるか、と修とポーラが思ったその時。


「……ぐふっ!」


サムハンの変な声が聞こえて来た。


「サムハン様!?サムハン様!!」


シャラの慌てる声と、


「ちょっ!!ガザリー!ガザリー!!」


カリアが慌てる声が聞こえて来た。

倒れたのだろうか。

純情すぎる。


「……やれやれ」


最後にガザリーの声が聞こえて来たところで、デバガメは止めた。

彼が動けば大丈夫だろう。


修とポーラはサムハンの冥福を祈り、イチャコラを続行した。

温泉が汚れるようなことはしていませんよ。

内容はいつも通りです。


後、人物紹介を一番上から一個下に追加しました。

名前付きのキャラしか書いていないので、仮に「この人も」的な要望があれば追加はしたいと思います。

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