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ボクたちは、生まれてからずっと一緒だった。
絶対に離れようとしないボクたちを、両親も離さないようにしてくれた。
でも、どうしても離れちゃう時はあって……そんな時、決まってどちらかがケガをしてしまう。
だからボクたちは、『呪われた双子』なんて言われてた。
……両親も、それを知ってたはずなのに、愛情をしっかり注いでくれた。
それでも、やっぱり……なんとなく生きづらいなって。
ファルル/シャルルが傷つかないような世の中だといいなって。
そうして、徐々に家に引きこもる時間が増えていった――。
――そんな時だった、マホロちゃんの配信を見たのは。
大して上手くもない、平凡な雑談。
毎日行われていた朝活に、ボクたちは見入っていた。
VTuber自体は知っていたし、見たこともあったけど。
朝活を真面目にやってる人を見たのは、多分初めてで。
……マホロちゃんに『行ってらっしゃい』って言われると、なんとなく『じゃあ行こう』って気になるから。
そうして少しずつ、外へ出る機会が増えて。
……いつの間にか、ファルル/シャルルと離れていても、ケガすることがなくなった。
「マホロちゃんって、本当に座敷わらしなのかな! ねぇシャルル!」
「マホロちゃんって、本当に座敷わらしなのかな……ねぇファルル」
意見が合ったボクたちは――そもそも合わないことがほとんどないけれど、マホロちゃんの秘密を探るのに夢中だった。
そんな時、街で出会ったお嬢様――高美者うららに出会って、コメット姉妹として活動を始めた。
憧れのマホロちゃんと同じVTuberになりたくて、会いたくて。
会って――お礼を言いたかったんだ。
◇
「ありがとうゲーム?」
「うん! どうかな? ねぇシャルル?」
「うん……どうかな……? ねぇファルル?」
「愛してるゲームのありがとう版みたいなものか……?」
・ありがとうゲームってなんだ?
・マホロちゃんが説明してた通りじゃね?
・ありがとうを言い続けて言えなくなったほうが負け?
・感謝の言葉に負けとかあるか?
・そこはほら、双子ちゃんの気持ちに寄り添って……
・リア凸されそうになってんだけどな
・じゅ、純粋だから!
わざわざこの企画を持ってきたってことは、俺に何か感謝したいことがあるのか?
……だからタマとしえるはこのコラボに参加しなかったのか。
・もしかしてふたりはこの企画のこと説明されてた?
・あー、だからマホロちゃんだけがコラボ相手だったのか
・確かに、しえるちゃんがマホロちゃんとコラボする機会を捨てるわけないよな
・[波亭しえる]……じー
・ひぇっ……ごめんなさい
・しえるちゃんもよーみとる
「では早速始めるか……どうすればいいのじゃ?」
「「お互いにありがとうを交互に言って、言えないほうが……負け?」」
「感謝の言葉を伝えたいだけなのに、負けとかあるのかな? ねぇシャルル?」
「感謝の言葉を伝えたいだけなのに、負けとかあるのかな……ねぇファルル?」
「……だったら別に、ゲームとかにしなくてよくないか?」
「「それは恥ずかしい……」」
あ、はい。
「では早速わしから……そうじゃなぁ……コラボしてくれてありがとう」
「「うっ!」」
・あーあ双子ちゃん死んじゃった……
・早い、早すぎる
・はえーよホセ
・[波亭しえる]
・しえるちゃんも流れ弾で死んでる
・いやなんで!?
・しえるちゃん、マホロちゃんのこと好きすぎるから……
・そもそもなんでマホロちゃんから始めてんだ?w
「普通にありがとうって言っただけじゃのに……」
「じゃ、じゃあボクたちから言おう! ねぇシャルル?」
「じゃ、じゃあボクたちから言おう? ねぇファルル?」
「うむ、どんと来いじゃ」
……さて、一体何を感謝されるんだろうな。
「「……ボクたちを助けてくれて、ありがとう」」
「ん?」
いきなり重いんだが?
・またマホロちゃんが人を救ってる……
・でもわかるわー、マホロちゃんの朝活があるからなんか生きてるって感じする
・流石に言い過ぎ……とも言えないんよなぁ
・なんかマホロちゃんに行ってらっしゃいって言われると……
・おっし、じゃあ行くかーってなるんだよな
「……なんかよくわからんが、わしのやったことで誰かが救われたのなら、よかったのじゃ……そんな風に思ってくれて、ありがとう」
「「うっ!」」
・また双子ちゃんが死んだ!
・この人でなし!
・まぁ妖怪だしな
・この座敷わらし!
・ただの事実だなぁ?
・天然ジゴロ!
・[猫野タマ]ただの事実にゃ
・タマもよーみとる
……そんなに人たらしとか言われるようなことしてないと思うんだけどなぁ……?
「あ、今の間はなんとなくわかるよ!『そんなことしたつもりないのになぁ』って思ってるよ! ねぇシャルル?」
「あ、今の間はなんとなくわかるよ……『そんなことしたつもりないのになぁ』って思ってるよね……ねぇファルル?」
・箱外にまでバレバレなんだよなぁ
・だって月民だし
・ガチ月民だし
・ガチ恋……ではないんだよな?
・ガチ恋ではないかな?
「恋? そんな感情じゃないよ! これはそう……『崇拝』だよ! ねぇシャルル?」
「恋? それは否定できないかもだけど……これは『崇拝』だよ、ねぇファルル?」
「「あれ?」」
・あれ、意見が食い違ってる?
・珍しいな……
・[波亭しえる]むむ……
・しえるちゃんステイ
「しえるちゃんだ! コメントなのにかわいいね! ねぇシャルル?」
「しえるちゃんだ……コメントなのにかわいいね、ねぇファルル?」
・さっきからいたんだけどな
・まぁそれどころじゃなかったし……
・[波亭しえる]むむーっ!
・対抗心剥き出しにしたい気持ちと、褒められて嬉しい気持ちが戦っておられる
・なんでそんなにしえるちゃんの心の声に詳しいんだ……
・お茶菓子としては当然です
・お茶菓子こわ……
それ言ったらリア凸しそうな月民のほうが怖くない?
実際にはしてないからいいんだけど。
「……マホロちゃんわかってないと思うんだけど! ねぇシャルル?」
「……マホロちゃんわかってないと思うんだけど……ねぇファルル?」
・月民もそう思います
・お茶菓子もそう思います
・野良猫もそう思います
・ゆら人もそう思います
・ウララーもそう思います
・コメッ子もそう思います
・知らん人何人かいたんだけど?
・向こうさんの人やろ
「……この話、もうやめんか? 次の企画なんかないか?」
「逃げようとしてるよ! ねぇシャルル?」
「逃げようとしてるね、ねぇファルル?」
「でもそんなマホロちゃんに、助け舟を出しちゃうよ! ねぇシャルル?」
「でもそんなマホロちゃんに、助け舟を出しちゃうよ……ねぇファルル?」
・お?
・なになに?
・次は何やるんだろ
次に双子が提案したその企画は――。




