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あの4人コラボのあと、正式に他事務所コラボの情報がお披露目された。
相手は3人のVが所属する小規模事務所『スーパー・ノヴァ』。
そこに所属している『高美者うらら』というのが先輩の友人だそうだ。
確か……以前先輩が大勢の他事務所Vとコラボした時のうちのひとりだったかな?
向こうも3人と小規模で、件の高美者嬢がソロで切り盛りしてきたという、ウチと似た背景を持っている。
本当に受けてくれるとは思っていなかったようで、興奮した様子で連絡してきたと社長が言っていた。
……ただなぁ。
「向こうは女性Vオンリーなんだよな……いや、ウチも実質そうなんだけど」
こっちは俺という爆弾を抱えているので、どうなるか……。
……ん?
「よく考えたら、別に俺らがコラボするわけじゃないんだし気にしなくても――」
『いいわけないにゃ』
「……ですよねぇ」
どうやら最初はゆら先輩と高美者嬢のふたりコラボにする予定だったらしいのだが。
なぜかわからんが向こうの後輩ふたりがやる気満々らしく、後輩は後輩でコラボすることになってしまった。
……どうせなら俺抜きで、女性だけでコラボしない?
俺はほら、ひとりでその様子を面白おかしく同時視聴とかしてるからさ?
『マホロっち~?』
「……はい」
『向こうはマホロっち指定してんだから、逃げられるわけないにゃ』
「……そうなんだよなぁ」
どうして? 俺なんて別に何の面白みもないただの男疑惑座敷わらしロリ声Vだよ?
『属性盛りすぎにゃ』
「好きで盛ったんじゃないんだが……?」
『そもそもこのVTuber戦国時代で、朝活がメインのVってほとんどいないにゃ』
「え、そうなの?」
『……マホロっち、前に自分のまとめ記事見てたにゃよね?』
……あぁ、あれか。
そういえば記事には『朝活はあまりオススメできない』みたいなこと書いてあったっけ?
『朝はみんな通勤・通学の準備で大忙しにゃ、Vの配信……特に生配信なんて、ゆったり見たいに決まってるにゃ』
「それはそう」
『なのにどっかの座敷わらしは朝活がメインで、しかもそれがハマってどんどんリスナーが増えてるにゃ』
「……そうなんだ?」
『自分のことにゃろが!』
……そんな怒らんでも。
やっぱ俺の配信って変なのかなぁ?
『……さっきも言ったにゃ、それがハマってウケてるから『月見里マホロ』は凄いんだにゃ』
「タマ?」
『昔、僕が個人でやってた頃、同じように朝活してみようと思ったこともあるんだ』
え、そうなん?
『……結果は惨敗、なんなら登録者数激減でさすがに辞めたよね』
「……Oh」
『当時の僕は小学生だったし、朝の準備で忙しいママに手伝ってもらうのも悪いから、自分だけで準備してたのも原因だと思うけど……』
まぁそれはしょうがないよな……。
というか普段はママって呼んでるのか、へぇ。
『……なんか変な沈黙を感じるにゃ』
「なんでもないぞ?」
『まぁいいにゃ……そんなわけで、もはや『月見里マホロ』と言えば『朝活』って言われるほどになったのは、マホロっちが頑張った結果にゃ』
「……ありがとう、やっぱタマにそう言ってもらえると安心するな」
『ぐぅっ……天然マホロに被弾したにゃ……!』
「え?」
なんで? 今回そんな特別なことしてなくない?
『どうせ何も特別なことしてないとか思ってるでしょ』
「お、オモッテナイヨー?」
『はぁ……スパノヴァのふたりが堕ちないといいけどね……』
「落ちる……?」
俺の言う事が変すぎてずっこけるってこと?
確かに椅子から落ちたら危ないな……。
『絶対変なこと考えてるにゃ……』
そんなタマの呟きは、ゆら先輩からの通話の音で掻き消えたのだった……。
◆
【先輩組】他事務所コラボ【AP・獅童ゆら/SN・高美者うらら】
「というわけで、みんなこんガオ~! アナザーパンデミック1期生、迷える君たちをゆらゆら導く指導者ライオン、獅童ゆらだよ!」
「オ~ッホッホッホ! ワタクシこそが、スーパー・ノヴァの一番星! 天高く輝く美しき者、高美者うららですわ~!」
・キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!
・マジで実現したんだこのコラボ
・お互い事務所の1期生、というか屋台骨同士か
・知名度で言えば当然ゆらママなんだけど……
・うらら嬢も結構有名だよねー
・お嬢様は今日も美しいですわ~!
・ですわですわ~!
「うららちゃん久しぶりだねー、あるみゃさんとこの大人数コラボ以来?」
「ですわね……あの時やられっぱなしだった恨み、今日こそ晴らさせていただきますわよ!」
「えぇー? あれはアタシ関係なくない……?」
「シャラップですわ!」
「りふじーん」
「誰が李夫人ですの?」
「誰もそんなこと言ってないよ」
・出た、うらら嬢の謎聞き間違え
・いやまぁ、音としては間違ってないんですわよ~?
・意味が全然伝わらないのもお嬢様らしいのですわ~!
・最近見られないゆらママツッコミ枠ですわ~!
・こら、あなたはゆら人でしてよ?
・間違えましたわ~!
「やっぱ凄いねーうららちゃん、もうリスナーのみんなの心を鷲掴みしてるね!」
「オ~ッホッホッホ! ワタクシでしたら当然のことですわ~! ……ところで心を鷲掴みってどういう状態ですの?」
「えっと、心を掴んでるっていうか」
「心臓を鷲掴みにしてるんですの!?」
「そんな猟奇的なこと言ってないよね!?」
・ヒェッ……
・怖すぎィ
・恐ろしいのですわ~!
・普通の表現のはずなのに、そう言われるとめちゃ怖い
・『日本語って凄いね』
・え? 今海外ニキいた?
「あれ、海外ニキだ珍し~、マホロちゃんのとこから来てくれたのー?」
「な、なんですの急に……海外ニキ? ニキってなんですの……? ニョッキ?」
「1ニョッキ!」
「2ニョッキ!」
「あ、これは通じるんだ?」
「当然でしてよ~!」
・なんだこのカオス
・でもこれがゆらママとお嬢だし?
・お嬢様は今日も平常運転ですわ~!
・ゆらママは珍しいのですわ~!
・APの常識人になっちゃったもんなぁ、ゆらママ……
・それはマホロちゃんのほうじゃね?
・シッ……黙ってな
「そういえば先程ちらっとお名前出ましたけれど、マホロさん……でしたか?」
「おん?」
「今度うちの子たちとコラボしてくださるそうで、ありがたいことですわ~」
「みたいだねー、あっちはあっちで仲良くしてくれると嬉しいねー?」
「ですわですわ~!」
「ですわ~!」
「真似しないでくださいまし!」
「なんか移っちゃうんだよねぇ……」
・なんか移るのわかるわ~
・語尾がちょっと変わってしまうんですわ~
・これがお嬢様の魅力のひとつなのですわ~!
このテンションが配信終了まで続くことになるとは、リスナーたちも予想していなかったのだった――。




