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本日2話目です、1個前のプロローグから先にお読みください。
◇
あの復帰配信から半年近い時間が流れた。
前のような無茶はしないようになった……と思う。
少なくとも夜配信は週1~2くらいになったから、進歩しただろ?
『それで進歩したと思ってるうちはまだまだにゃー』
『でも……それが、マホロさん、です……』
『しえるちゃんはほんとマホロっちに甘いにゃー』
『親友、ですから……むふーっ』
『なんか負けた気がするにゃ……』
なんだかんだで彼女たちとの交流も続いている。
まぁ、同期なのに交流なかったら不仲説出ちゃうし、それはまずい。
ちなみにタマの性別についてはあっさりと判明した……しえるは『またですか』って顔してたけど。
『まさか本当に男と思われてたとはにゃー』
「あれはしょうがないだろ……僕でキャップ被って……ズボンだったし」
『それは……タマさんが、悪い……です』
『えー!? しえるちゃんだって昔は似たような格好だったんでしょ!?』
「いつの話だと思ってんだ、小学生だぞ?」
『僕は中2だってば』
「お前のことじゃねぇよ」
こうしたやり取りも、もはや定番と化している。
ちなみにしえるとの関係についてはタマとゆら先輩にも話してある。
『気付かなかったってマジ?』みたいな顔されたけど、事情を話せば理解してくれたので助かった。
配信としてはまだ出していないが……今後どうするかは、改めてしえると相談だな。
『……勘の良いリスナーなら、気付いてそうだけどにゃー』
「まぁそうかもな……つっても、デリケートな問題だからなぁ」
俺としえるだけの問題で済むならそれでもいいんだが、ことはそう簡単じゃない。
ほぼ男が確定してる疑惑のマホロと、結構ガチ恋勢が多いらしいしえる。
火種しか見当たらん。
「俺が燃える分には勝手にしてくれって思うんだが……」
『ダメです』
「あ、はい」
『はいはい、お砂糖ごちそうさまにゃ』
『むふーっ……』
「なんでしえるは得意げなんだ……?」
『マジで言ってるなら精神科行ってこいにゃ』
……わかってるよ。
『……どう思う?』
『絶対、わかってない、です……』
『ねー?』
「楽しそうね、君ら……」
『面白いオモチャがそこにあるからにゃー』
『ふふっ……こんな、風に……誰かと話せる、なんて……今でも、夢、みたいです……』
しえる……。
「夢じゃないさ、過去がなくなるわけじゃないけど……これから先の未来は、楽しいものになるだろ?」
『クッサイにゃー……でも、そんなところもマホロっちらしさかにゃー?』
『……はい!』
……
…………
………………
【全員集合】じゅうだいはっぴょー!【AP/月見里マホロ/猫野タマ/波亭しえる/獅童ゆら】
・なんかキタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!
・凄い急だけどどしたん?
・みんな集まるのって何気に初?
・2期生コラボとかはあったけど、ゆらママ込みは初か?
・朝活じゃないマホロちゃんも最近じゃ珍しい
「おはこんマホロ~! アナザーパンデミック2期生、福を呼ぶかもしれないし、祟るかもしれない座敷わらし系VTuber『月見里マホロ』なのじゃ!」
「こんばんにゃー、AP二期生、猫野タマにゃー」
「こんばんワンワン……AP2期生、波亭しえる……です……もぐ」
「こんガオ~! AP1期生、獅童ゆらだよ!」
「わしだけ滑ってるみたいにするのやめて欲しいんじゃが?」
みんな自己紹介短すぎない?
コメントにもあるけど、全員集まったのはじめてだよ?
「あちしはマホロっちみたいに自己紹介ないからしょうがないにゃ」
「私も……実は、ない、です……」
「アタシはあるけど……迷える君たちをゆらゆら導く指導者ライオンってなんかダサ――」
「ちょちょちょ、それはまずいですって!」
それで言うなら俺のもかなりキツいんだわ。
ほんと自由だなこの先輩……。
……それが許されるだけの地位を確立してきた自信、ってことかね。
・ゆらママのそれ、かなり初期の設定だしなぁ
・ソロでやってた頃からだから……5年くらい?
・そりゃキツい
・やめたれw
「そうなんだよねぇ……さすがにちょっとキツいかなぁって……」
「だからそういう言い方はやめるのじゃ……!」
「だったら今から新しいの考えるにゃ?」
「えー……今更いいよぉ」
「楽しそう……です」
「だったらしえるちゃんたちのやつ考えよ? ね?」
ゆら先輩、自己紹介読むの苦痛だったんかな……。
半年経ってない俺ですら結構キツく感じてるし、長くやればやるだけ辛いんだろうか。
「にゃー……あちしも個人の頃そういうのやってたけど……うーん」
・個人の頃?
・猫野タマなんて配信者知らんが
・……もしかして、って思ってた子はいるんだよな
・だからオレは野良猫なんだよな
「あれ、あちしの前世バレてるにゃ?」
「自分から前世とか言うなって」
・コレ、言ってもいいやつ?
・流石にやめといたほうが
・どうなん社長?
・[別所散華]別に構わんぞ
・社長もよーみとる
・あれ、社長アカウント変えた?
・本名になってる?
ほんとだ、以前コメントしてた時は『AP社長』みたいな名前だったはずなのに。
・[AP社長]何の話だ?
・ガチで間違えて焦ってるやつじゃん
・社長ぇ……
・でもこの前インタビュー記事見たけど社長美人さんだったよ
・ガタッ
・ステイ!
・残念美人……ってコト!?
・[AP社長]残念じゃない、ただの敏腕美人社長だ
自分で言うんだ……でもまぁ、事実だからしょうがない……のか?
「うぅ……身内の、こういう話、恥ずかしい……です」
「あー! 社長がしえるちゃん泣かせたー!」
「実妹からのありがたい忠告を受け取れにゃ」
「社長もお主らには言われたくないじゃろうな……」
・[AP社長]お前も大概だからな?
・ぶふぉっw
・マホロちゃんにだけは言われたくないよな……
・君が一番問題児だった自覚ある?
・今でこそ落ち着いたけどさぁ……
「やめてくれリスナー、その言葉は俺に効く」
・マホロェ!
・今のは先生のほうだろ
・先生が言われるほうじゃね?
「元ネタ解説はせんでいいのじゃ!」
……これでタマの前世云々の話が流れてくれればいいんだけど。
話を逸らすか。
「今更だけど、これって何の集まりなのじゃ?」
「ゆら先輩、が……コラボしよう、って……」
「ふっふっふー! よくぞ聞いてくれました!」
・自信満々なゆらママ……?
・嫌な予感がする
・オレも
・私も
「なんでよ! アタシがみんなに迷惑かけたことなんて……なんて……」
・自覚あったんですね
・よかった、人の心はまだあったんだ
・安心するのはまだ早いんじゃね?
・『今から筋トレ24時間耐久しよう』とか言い出してもおかしくないぞ
・ゆらママだしなぁ……
「自分だけでやるならともかく、後輩ちゃんまで付き合わせるわけないじゃん!」
・よかった、やっぱり人の心はあったんだ
・本当かなぁ……
・そもそも自分なら24時間耐久するって時点で……
・マホロちゃんに無茶しないでって言ってたのはなんだったんだ?
いやほんとそれな?
ゆら先輩的にはそれは無茶に入らないってことか?
どれだけ体力お化けなんだよ……。
「もー! 話が進まない! いい? マホロちゃん、リスナーの言葉を聞くのはいいことだけど、こうなるからね!」
「なんでわしだけ名指しなのじゃ?」
「……なんとなく?」
……まぁ、それで無茶した過去があるから、何も言えないけど。
「結局なんで集められたのにゃ?」
「それはね――」
――ゆら先輩のその一言で、みんなが戸惑うことになるのだった。




