1・はじまり
幼なじみというのは、人生のまだ幼い段階から、こちらの事情などお構いなしに心の風景に存在する特別なものだ。
出会いのきっかけはたいてい覚えていない。気づいたときには、すでに横にいる。
泥だらけで遊んだ公園の記憶、宿題を提出せずに放課後担任の先生に怒鳴られた記憶になぜか自然に混ざり込んでいるのがその人で、まるで風景の一部のように、当たり前に存在している。
幼なじみは、家族のように近く、しかし家族とはまた違う奇妙な距離に立っている。
自分の欠点も癖も、子どもの頃から知り尽くしているからこそ、変に取り繕う必要もなく、ふとした一言で胸の奥を軽々と突いてくることすらある。
幼なじみとは、過去と現在をゆるやかにつなげる細い糸だ。
切れそうで切れないその糸は、大人になっても消えず、時折、意外なほど強い力でこちらの心を引き寄せてくる。
それは、人生のどこかで振り返ることになる、“もうひとりの自分のような存在”――
幼なじみとは、そういうものだ。
僕たちは決して頭は良くなかったし、かと言ってスポーツに全力で打ち込んでいた訳でもない。周りの人間からの信頼はないし、自分でも全力で最後までやり切れる物事があるのか疑問に思うこともある。
それでも毎日が楽しく過ごせているのは俺含めた三人の幼なじみが互いに心の支えになっているのだろう。
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迅羅、遊心、そして俺、空真 ―
今で一緒にいる時間が長かったとはいえ、まさかこんなことまで一緒になるとは…
どうやら俺たち三人は全く同じタイミングで異世界転生してしまったらしい…




