第8話「再結集! 地獄町連合、異世界で最強チームになる」
――陽が落ち、空に双月が浮かぶ頃。
王都から少し離れた草原の丘の上に、5つの影が立っていた。
「……全員、来たか」
最初に口を開いたのは、“爆炎の拳姫”こと花園レン。真紅のレディースジャケットを翻し、満足げにうなずく。
「おう、ったく。てめぇら相変わらずバカやってんな」
鉄壁の防御タンクにして元番長、黒崎タケシ。腕組みしながら、満月を背に立つ。
「まぁまぁ、喧嘩は後でにしてくれや。通信のセキュリティ確認、まだ完璧じゃねぇから」
異世界ハッカーこと電脳のアキラが、空間に浮かぶチャットUIを操作しながら割り込んだ。
「……この距離でも全員にバフ効果かかるの、地味に便利だな」
睨むだけで王都を黙らせた魔眼の千尋がぼそりと呟く。視線の圧でスライムが死んだ。
「やっと会えたな。――俺たちの伝説、ここから再開だ」
そして最後に現れたのは、“風神”風間颯斗。草原の風をまといながら、音もなく仲間の中心に立った。
彼らは――かつて「地獄町」と呼ばれた地区で暴れまわっていた最強のヤンキー連中。
転生した世界でも、自然と“あの頃の空気”がよみがえっていた。
その瞬間、丘の下に現れる大量の魔物の群れ。
「うわ、また雑魚どもかよ。歓迎会にしちゃ多すぎだろ」
「まぁ、こっちも久しぶりに暴れたかったところだしな」
タケシが拳を鳴らし、レンが髪をかき上げ、アキラが戦闘用バフを展開する。
颯斗が地を蹴り、千尋が睨みだけで前列を沈黙させる。
「――地獄町連合、再結成だ」
それは、合図。
数秒後には魔物の軍勢が一掃されていた。
【地獄町連合(仮)】
異世界に転生した不良たちによる自警団。
現在のメンバー:
・神堂龍也(未登場)
・花園レン(爆焔)
・黒崎タケシ(鉄壁)
・風間颯斗(風神)
・真堂千尋(魔眼)
・芹沢アキラ(電脳)
戦闘後、焚き火を囲んでバカ騒ぎが始まる。
「レン、火力で肉焦げすぎなんだよ!」
「タケシが薪入れすぎなんじゃねぇの?」
「通信ログ飛んでるから静かにしてくれ……」
喧嘩し、笑い、語り合う。
異世界に来ようが、転生しようが、変わらなかった。
――こいつらは、仲間だ。
その夜、星空の下で誓いが交わされた。
「次は……“この世界で最強になる”ってのはどうだ?」
「おう、面白ぇじゃねぇか」
「魔王? 倒してから考えるか」
地獄町連合、ついに再結集。
伝説のヤンキーたちが、今、異世界で物語を作り始める!
次回予告
第9話「帰ってきた最凶男・神堂龍也、魔王の城を単騎でぶっ壊す」
地獄町の首領格がついに登場!? “狂犬”と呼ばれた伝説の男が、魔王城をブチ抜く