第3話「鉄壁のタケシ、竜人族に転生す」
――竜の咆哮が響く谷。
岩肌むき出しの峡谷に、十数体のオークがひしめいていた。彼らの前に、ひとり立ちはだかる巨躯。
「――うるせぇなぁ。順番にかかってこいや、雑魚ども」
その男は、全身が黒銀の鱗に覆われ、頭には角、背中には小さな翼すら生えていた。だがその眼光、口調、そしてぶっとい両腕の構えは、紛れもなくあの頃のままだった。
「まさか、俺が“ドラゴン族”に転生するとはな……」
名は黒崎 武。
かつて神堂龍也としのぎを削り、町の喧嘩番付で“鉄壁”と称された守備特化型ヤンキー。
殴られても倒れない。鉄パイプで叩かれても立ち上がる。
信条は一つ――「仲間を守るのが、男の役目だ」。
そんな彼が今、異世界で物理的に“鉄壁”と化していた。
「ドラゴン族は筋力と耐久のステータス特化、か……最高じゃねぇか。殴られるために生まれてきたような種族だな、こりゃ」
目の前のオークたちが一斉に突っ込んでくる。
――ガン!
――ゴン!
――ドカ!
殴られても、斬られても、まったく動じない。
「なめんなァ!! 痛みは心の栄養だって、昔じいちゃんが言ってたんだよ!」
拳を叩きつける。一発で地面がひび割れ、オークが吹き飛ぶ。
「クソ硬ぇ……いや、もはや岩だな、アイツ!」
「なんなんだよこの竜人、タンクじゃねぇか!」
オークたちが逃げ出そうとしたその時――
「おう、タケシじゃねぇか!!」
聞き覚えのある声が谷に響いた。
振り返るタケシ。そこには、神堂龍也と花園蓮の姿。
「リュウヤ! それに……レンも!」
「お前、完全に怪獣じゃねぇかよ!」
「うるせぇ、こっちはこっちでちゃんと成長してんだよ!」
三人の再会に言葉はいらない。拳と笑顔でわかる。
「よっしゃ、これで三人。あとはアイツらを探せば――」
「ま、地獄でも天国でも、アイツらはどっかで暴れてるだろ」
その時、突然ステータス画面が三人の前に表示された。
【イベント更新】
《転生愚連隊:再結成ミッション開始》
目標:旧仲間10人を集め、異世界最強チームを作れ。
報酬:世界の運命が変わる(マジで)
「……おい、ミッションとかあるのかよ」
「なんで報酬が雑なんだよ、“世界の運命が変わる(マジで)”って」
「まあ、やることは一つだろ。全員集めて、世界ぶっ壊すほどの喧嘩、しようぜ!」
三人が拳を突き合わせた瞬間――空に雷鳴が轟いた。
伝説の転生愚連隊が、ついに本格的に動き出す。
次回予告
第4話「喧嘩上等! 異世界バイクとレディース魂」
蓮が異世界にバイクを召喚!? 魔力で走る爆炎バイク《紅蓮号》が街を疾走し、敵も味方も置き去りにする!