第2話「爆焔のレディース、花園レン登場!」
炎が、森を包んでいた。
「おいおい……マジかよ。あの森、誰かバーベキューでもしてんのか?」
神堂龍也は、草原を抜けて小高い丘の上から見下ろしていた。遠くの森の一角が、まるで火山でも爆発したかのように、真っ赤に燃え上がっている。
――ゴオオオォォ!
次の瞬間、空に向けて火炎の柱が吹き上がった。
「あれ……“火炎魔法”か? ってことは、あの中に魔法使いがいるな」
だがその炎の中、龍也は見覚えのあるシルエットを見つけていた。
長い髪が炎のように揺れ、革ジャンを思わせる赤いローブ姿で、炎を背負って佇むその人物――
「まさか……あれ、レンか!?」
――
数分後。龍也は森に踏み込んでいた。火の粉と熱気に包まれる中、魔物の群れがバタバタと倒れていく。
「ハァッ、ハッ……雑魚ばっか。こっちも少しは退屈しのぎになる奴出しなさいよ」
炎の中で立つのは、花園蓮。
かつて、神堂龍也と肩を並べて町を制していたレディースのカリスマだ。美貌と凶暴さを兼ね備え、喧嘩では誰にも負けなかった彼女。
その彼女が、異世界では火炎魔法の適性を得て、村を襲う魔物を一人で殲滅していた。
「……やっぱレンだったか」
「……っ!」
蓮が振り返る。そこに立っていたのは、間違いなくあの男――
「リュウヤ……? あんた、生きてたの?」
「いや、死んで転生して、今に至るってとこだな。お前もか?」
「ま、そんな感じ」
二人の間に、数秒の沈黙。
――ドゴッ!
「いってぇッ!? なんで殴んだよ!」
「こっちはずっと、魔物と戦いながら仲間探してたっつーのに! アンタ、のんびりしてたでしょ!」
「いや、俺も狼と喧嘩してたし!」
「バカかアンタは!」
「褒め言葉か!? じゃあもう一発もらっとくか!」
……そんな再会だった。
でも、どこか安心する。懐かしいノリ、遠慮なしの拳、そして――
「……ま、会えてよかったよ、バカ」
ぽつりと、蓮が小さくつぶやく。
「おう。こっちも同じだ。とりあえず――仲間、また集めようぜ。アイツら全員」
「当然。あたしも、こんな中途半端な世界で終わるつもりないし」
二人の間に立ち昇る煙と炎。それがまるで、再び始まる“伝説”の狼煙のようだった。
次回予告
第3話「鉄壁のタケシ、竜人族に転生す」
拳で語る漢・タケシが、まさかのドラゴン族に転生!? 全身スケイルアーマーの暴走ヤンキーが異世界を揺るがす!